有蓋貨車

 屋根の付いた貨車の総称。一般的な有蓋車(ワ)のほか、鉄製有蓋車(テ)、鉄側有蓋車(ス)、冷蔵車(レ)、通風車(ツ)、家畜車(カ)、豚積車(ウ)、活魚車(ナ)、陶器車(ポ)、家禽車(パ)があった。
有蓋車
 ワ1形
 国鉄や買収私鉄などの、10t積みの2軸貨車。柱は鋼製、側板は木製である。近江鉄道に譲渡されたワ5490が、国鉄時代の姿に復元されて貨物鉄道博物館で保存されている。
  
2018.6 ワ5490:貨物鉄道博物館
 ワム3500形
 ワム1形に続いて登場した、15t積みの2軸貨車。柱は鋼製、側板は木製である。当初はワム32000形と称した。10000両以上製造され、戦前の代表形式となっている。1両が京都鉄道博物館で保存されている。
 
2016.6 ワム7055:京都鉄道博物館
 ワム80000形
 パレットを使用して荷役作業の機械化・効率化を図るために登場した、パレット対応の2軸有蓋貨車で、通称「ワムハチ」。1960年から20年以上にわたり、26000両以上が製造された。とび色の車体もこの形式で初めて採用されている。JR発足後も、貨物輸送や事業用車として活躍。2012年3月に貨物輸送が消滅したが、2020年現在、現役車両が残っている。また、全国で廃線跡のモニュメントや倉庫などに活用されている。
 
1985.4 銚子駅
 
2017.9 ワム82506:小樽市総合博物館 2016.6 ワム380411・380128
:岳南富士岡駅
2015.9 ワム80000形:中札内駅跡 2015.9 ワム80000形:士幌駅跡
 ワフ21000形
 車掌車を代替するために登場した、初の鋼製有蓋緩急車。15t積み有蓋車と同じ大きさである。西濃鉄道に譲渡されたものが、貨物鉄道博物館で保存されている。
  
2018.6 ワフ21120:貨物鉄道博物館
 ワフ29500形
 戦後になって登場した、有蓋緩急車の最終形式。貨物搭載量は5tである。JR発足前にすべて引退したが、保存車が比較的多い。
2017.9 ワフ29984:小樽市総合博物館 2011.7 ワフ29587:幌似駅跡
  
2018.2 ワフ29603:有田川鉄道公園
   形式 番号 両数  登場  消滅  備考
10t ワ1形 1- 約9000 不明 1962
  ワ22000形 22000-28385 6386 1930-40 1971  
  ワ10000形 10000-10499 500 1955 1982  
ワ12000形 12000-12499 500 1956 1984
15t ワム1形 1- 約1700 1914-17 1968
ワム3500形 3500- 11748 1917-26 1970
ワム20000形 20000- 500 1928 1979
ワム21000形 21000- 1000 1929-30 1984
ワム23000形 23000- 約6500 1938-41 1971
ワム50000形 50000-53644 3645 1943-46 1985
ワム60000形 60000-68579 8580 1961-63 2001
ワム70000形 70000-75709 5710 1958-60 1987
ワム80000形 80000- 26605 1960-81
ワム90000形 90150- 3395 1954-58 1986
17t ワラ1形 100-17464 17367 1962-66 1987
25t ワキ1形 1-399 390 1930-40 1979
30t ワキ1000形 1000-1739 740 1949-56 1984
ワキ5000形 5000-6514 1515 1965-69 2018
ワキ10000形 10000-10190 191 1965-68 2007
緩急車 ワフ21000形 21000-21774 775 1933-39 1985
ワフ22000形 22000-22974 975 1947-48 1981
ワフ25000形 25000-25909 910 1938-42 1983
ワフ29000形 29000-29099 100 1954 1986
ワフ29500形 29500-30149 650 1955-61 1986
ワムフ100形 100- 80 1951-55 1986
鉄製有蓋車
 テラ1形
 鉄製有蓋車は、油などの危険物を輸送するために、車体内部にも木材を使わず、すべて鉄製とした車両。テラ1形は、15t積みのテム300形を改良して17t積みとしたもの。貨物鉄道博物館で1両保存されている。
  
2018.6 テラ146:貨物鉄道博物館
   形式 番号 両数  登場  消滅  備考
12t テ1000形 1000-1049 50 1955 1971
  テ1200形 1200-1299 100 1956 1971  
15t テム100形 100-299 200 1953-55
テム300形 300-1149 850 1957-63 1985
17t テラ1形 1-180 180 1963-66 1986
35t テキ1形 1-64 64 1962-63 1972 私有
  テキ200形 200-219 20 1966-68 1988 私有
冷蔵車
 レサ10000形・レムフ10000形
 冷蔵車は、その名のとおり冷蔵品を輸送するために開発されたもの。初期の車両は妻全氷漕式だったが、レ2900形以降は天井氷漕式となる。レサ10000形・レムフ10000形は、最高速度100km/hの高速走行を可能としたもので、特急鮮魚列車「とびうお」「ぎんりん」として活躍した。1986年に引退し、鉄道博物館で1両保存されている。
   形式 番号 両数  登場  消滅  備考
12t レ2900形 2900-3789 890 1927-35
  レ5000形 5000-5564 565 1936-46 1973
レ6000形 6000-6387 388 1946 1973
レ7000形 7000-7329 330 1949-52 1974
レ10000形 10000-10542 543 1950-53
レ12000形 12000-13840 1300 1958-59 1979
14t レム1形 1-300 300 1957-58 1969?
15t レム400形 400-1109 703 1960-63 1974  
レム5000形 5000-6609 1481 1964-69 1986  
24t レサ10000形 10000-10136 137 1966-69 1986  
25t レキ1形 1-250 250 1948 1966  
緩急車 レムフ10000形 10000-10010 11 1966 1986