液体を輸送するものがタンク貨車、粉や粒状のものを輸送するのがホッパ貨車である。タンク車(タ)、ホッパ車(ホ)のほか、水運車(ミ)、石炭車(セ)があった。
タンク車
 タンク車は、輸送品目ごとに専用車があるため、形式が非常に多い。また、基本的には私有貨車となっている。
 「タ」級
 荷重13t以下の、2軸タンク車。日本アルコール販売が所有していた、アルコール輸送専用のタ2001と、東洋高圧工業が所有していた、ホルマリン輸送専用のタ3077が保存されている。
    
2018.6 タ2001:貨物鉄道博物館  2018.5 タ3077:那須川清流鉄道保存会
 「タム」級
 荷重14-16tの、2軸タンク車。日本石油輸送が所有していた、ガソリン輸送専用のタム2920と、三菱瓦斯化学が所有していた、過酸化水素専用のタム8000が、いずれも貨物鉄道博物館で保存されている。
   
2018.6 タム2920:貨物鉄道博物館 2018.6 タム8000:貨物鉄道博物館 
 タキ1900形
 1964年から81年にかけて製造された、40t積みのセメント輸送専用タンク車。1729両製造され、住友セメント、太平洋セメント、三菱マテリアルなどが所有している。
  
2021.7 三岐鉄道 保々〜北勢中央公園口間
 タキ43000形
 1967年から93年にかけて製造された、43・44t積みのガソリン輸送専用タンク車。819両製造され、日本オイルターミナルと日本石油輸送が所有している。
 
2022.10 川崎貨物駅
 タキ44000形
 1967年から82年にかけて製造された、43t積みの石油類(除ガソリン)輸送専用タンク車。170両製造され、日本オイルターミナルと日本石油輸送が所有している。
 
2022.10 川崎貨物駅
 タキ1000形
 1993年に製造が始まった、ガソリン輸送専用タンク車。タキ43000形と比較してタンクを大型化し、45t積みになった。20年以上製造が続き、1000両を超えている。
 
2022.10 川崎貨物駅
ホッパ車
 ホッパ車も、タンク車と同様に輸送品目ごとに専用車がある。国鉄・JRが所有しているものと、私有貨車がある。
 ホキ700形
 1957年に登場した、バラスト散布用の30t積みホッパ車。事業用貨車である。1958年には改良型のホキ800形が登場したため、55両の製造にとどまった。
  
2016.7 ホキ746:クロフォード公園
 ホキ800形
 ホキ700形の改良版で、外観はほぼ同じ。1958年から74年にかけて1066両が製造された。JR各社に引継がれ、2021年現在も145両が残っている。
  
2022.10 新小岩駅
 ホキ2200形
 1966年に登場した、穀物輸送用の30t積みホッパ車。1000両以上製造され、小麦やトウモロコシなどが輸送された。JRに引継がれ、2000年まで残っていた。
   
2016.7 ホキ2341:クロフォード公園 2017.9 ホキ2226:小樽市総合博物館 
 ホキ2500形
 1967年に登場した、石灰石輸送用の35t積みホッパ車。おもに奥多摩と美濃赤坂からの石灰石輸送に使用された。JRに引継がれ、1999年まで残っていた。
  
2018.5 ホキ2610:那須川清流鉄道保存会
 ホキ10000形
 1980年から81年にかけて製造された、石炭輸送専用の35t積みホッパ車。電気化学工業と秩父セメントの所有で、常備駅は北陸線の青海と秩父鉄道の武州原谷。272両製造された。一部は、後に専用種別を石灰石に変更している。
  
2017.1 昭和駅
 ホキ1000形
 1990年から95年にかけて製造された、フライアッシュ・炭酸カルシウム輸送専用の35t積みホッパ車。三岐鉄道東藤原駅常備、小野田セメントの所有で、その後太平洋セメントに社名が変わっている。34両製造された。
  
2018.6 三岐鉄道壬生川駅付近
 ホキ2000形
 2011年から製造されている、石灰石輸送専用の35t積みホッパ車。西濃鉄道乙女坂駅常備で、矢橋工業の所有である。
  
2016.3 名古屋貨物ターミナル
石炭車
 セム1形
 15t積みの2軸石炭車。3000両以上が製造され、戦前の石炭車の代表形式だった。
  
2020.1 セム1000:若松駅前
 セキ3000・6000形
 セキ3000形は、1951年から65年にかけて2730両製造された、30t積みの全鋼製石炭車。積載時の最高速度が55km/hであったため、1509両は最高速度65km/hとする改造が行われてセキ6000形になった。JRに引継がれ、1998年まで残っていた。
   
2017.9 セキ7342:小樽市総合博物館  2016.7 セキ6657:三笠鉄道むら

タンク貨車・ホッパ貨車