事業用貨車

 営業車以外の貨車の総称。車掌車(ヨ)、雪かき車(キ)、操重車(ソ)、検重車(ケ)、控車(ヒ)、工作車(サ)、救援車(エ)、歯車(ピ)、職用車(ヤ)があった。
車掌車
 ヨ2000形
 国鉄最初の新製車掌車であり、また最初の鋼製車掌車。1937年に登場し、1985年まで約50年間活躍した。1両が加悦SL広場で保存されている。
  
2020.3 ヨ2047:加悦SL広場
 ヨ3500形
 戦後、すべての貨物列車に車掌車・緩急車を連結するという方針を受けて、大量に増備された車掌車。新造車と、トキ900形からの改造車がある。最高速度が75km/hであったため、後年1000両以上が85km/h化改造を受けてヨ5000形に編入された。ヨ3500形のまま残った車両のうち5両はJRに引継がれ、2016年まで残っていた。
2016.5 ヨ3961:碓氷峠鉄道文化むら 2015.9 ヨ4843:糠平駅跡
 ヨ5000形
 最高速度85km/hに対応する車掌車として登場したもの。新造車は100両のみで、1000両以上がヨ3500形の改造編入である。コンテナ専用特急貨物「たから号」向けの車両もあった。JRには5両のみが引継がれている。
  
2016.6 ヨ5008:京都鉄道博物館 
 
2017.10 ヨ14493:青森駅付近 2017.1 ヨ14041:韮崎市中央公園
2017.4 ヨ13959等:いすみポッポの丘 2016.7 ヨ13721:昭和の杜
 ヨ6000形
 ヨ5000形の後継となる車掌車で、すべて新造。ヨ5000形より全長が短くなっている。JRに引継がれることなく消滅した。
2016.10 ヨ6114:有田川鉄道公園 2017.9 ヨ7904:小樽市総合博物館
2015.9 ヨ7908:忠類駅跡 2011.7 ヨ7913:六郷駅跡
  
2017.10 ヨ6798:メモリアルシップ八甲田丸
 ヨ8000形
 ヨ6000形の後継となる車掌車。便所の設置や暖房の石油ストーブ化など、車内環境が改善されている。336両がJRに引継がれ、2020年現在も現役で残っている。
2016.7 ヨ8006:クロフォード公園 2017.6 ヨ8627:若桜駅
2023.10 ヨ8593:SLキューロク館
   
2021.10 ヨ8841:碓氷峠鉄道文化むら  2018.5 ヨ8809:那須川清流鉄道保存会
2004.12 ヨ8955:久木野駅跡 2009.10 ヨ8103:萱野駅跡
 
2013.3 ヨ8332:湯之尾駅跡 2013.3 ヨ8952:薩摩大口駅跡
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
ヨ1形
ヨ1500形
1-603
1500-1563
667 1926-27 1950 改造
ヨ2000形 2000-2099 100 1937-38 1985  
ヨ2500形 2500- 700 1947 1959 改造 
ヨ3500形 3500-3549
3850-3949
4400-4844
595 1950-58 2016
3550-3849
3950-4399
750 1951-53 改造
ヨ5000形 5050-5149 100 1962 1989
5000-5011
13500-
1078 1959- 改造
ヨ6000形 6000-6915
7900-7917
905 1962-69 1987
ヨ8000形 8000- 1170 1974-79
ヨ9000形 1-2 2 1968 1987
雪かき車
 キ100形
 30年近くにわたって製造された、鋼製の単線用ラッセル車。木造のキ400形を鋼体化したものも含まれる。JR発足時にも2両が現役であったが、間もなく消滅した。
   
2017.9 キ270:小樽市総合博物館   2016.7 キ274:三笠鉄道村
   
2020.3 キ165:加悦SL広場 2011.7 キ276:西春別駅跡
 キ550形
 複線用のラッセル車で、単線用とは前頭部の形状が異なる。登場時はキ250形と称した。半数近くは、キ100形を改造して編入したものである。
   
2017.9 キ1567:小樽市総合博物館  2017.3 キ555:米原市公民館
 キ600形
 雪を吹き飛ばして除雪する、ロータリー時期の除雪車。アメリカから2両輸入し、それをもとに国内で量産していた。
   
2015.9 キ604:名寄公園  2017.9 キ601:小樽市総合博物館
 キ700形
 駅や操車場などで広い範囲を除雪する、ジョルダン式の除雪車。1979年以降の近代化改造により、車体も大きく変わり、750番台に改番された。JR発足後もしばらく使用されていた。
  
2009.10 キ703:北見相生駅跡
2017.9 キ718:小樽市総合博物館 2015.9 キ704:音更駅跡
   
2017.9 キ752:小樽市総合博物館  2016.7 キ756:三笠鉄道村
 キ800形
 1両のみ製造された、マックレー式除雪車。線路脇にできた雪の壁を崩すのが目的で、雪を吹き飛ばすロータリー式除雪車とセットで使用された。
  
2017.9 キ800:小樽市総合博物館
 キ900形
 キ800形の改良型として登場した、マックレー式除雪車。機関車-マックレー-ロータリー-機関車の編成は、「キマロキ」と呼ばれた。今も、キマロキの編成そのままに名寄公園で保存されている・
  
2015.9 キ911:名寄公園
   形式 番号 両数  登場  消滅  備考
ラッセル キ1形 1-87 86 1911-27 1958
キ100形 100-257、276-293 176 1928-56 1989
  258-275 18 1953 改造
キ500形 500- 6 1913-24 1956
キ550形 550-556、559-588 37 1932-59 1987
557-558、589-599
、1550-1569
33 1956-68 改造
ロータリー キ600形 600-615 16 1923-40 1974
キ620形 620-624 5 1948-49 1975
ジョルダン キ700形 700-723 24 1926- 1993
マックレー キ800形 800 1 1928- 1959
キ900形 900-919 20 1929-51 1976
ローダー キ950形 950 1 1951 1969
操重車
 ソ30形
 アメリカから輸入されたソ20形をベースに、初めて国内で量産された操重車。当初の動力は蒸気機関だったが、1970年代にディーゼル機関へ変更された。
  
2017.9 ソ34:小樽市総合博物館
 ソ80形
 ソ30形の後継で、当初からディーゼル機関が採用されたもの。操重車の中で最多の両数となった。JR発足時に9両が引継がれ、2001年まで残っていた。
  
2016.7 ソ81:三笠鉄道記念館
 ソ300形
 ソ20形・ソ80形のような事故時の救援用ではなく、橋桁を架設するための操重車。2両が製造され、ともにJR東日本に引継がれた。
  
2016.5 ソ300:碓氷峠鉄道文化むら
   形式 番号 両数  登場  消滅  備考
事故救援 ソ20形 20 1 1928 1966
ソ30形 30-36 7 1936-47 1986
ソ80形 80-99、180 21 1956-69 2001
ソ100形 100-113 14 1951-56 1987
ソ150形 150-152 3 1957-58 1987
ソ160形 160-161 2 1957-58 1987
橋桁架設 ソ1形 1-6 6 1928 1969
ソ200形 2001-2002 2 1960 1987  
ソ300形 300-301 2 1966 2001  
レール積降 ソ50形 50-51 2 1950 1974 改造
ソ60形 60-73 14 1972-75 1987  
控車
 ヒ600形
 控車は、連絡線に車両を積み込む際に、船舶に機関車の重量をかけないようにすること等の用途で用いられた車両。ヒ600形は、有蓋車等を改造して制作されており、数両がメモリアルシップ八甲田内で保存されている。
  
2018.10 ヒ833:メモリアルシップ八甲田丸