大津線は、京津線と石山坂本線の総称。それぞれ京津電気軌道と大津電車軌道がルーツである。京津線と京阪線の直通運転を行った時期もあるが、1961年に直通運転廃止。1997年の京都市東西線開業により、三条〜御陵間を廃止して東西線への乗り入れを始めた。
  
戦前〜終戦直後
 合併前
 前身である京津電軌や大津電軌の車両は、すべて木造。このうち800形はセミクロスシート車で、合併後に京阪線へ転属し、最後は交野線で使用されていた。
登場時 戦後 両数 登場 消滅  備考
京津1-15 15 1912 1933
京津16-25 20-29 10 1914 1966.3
大津1-10 80-89 10 1913 1950.6
大津11-14 90-93 4 1921 1950.6
琵琶湖101-112 801-812 12 1927.2 1967.7
京津26-27 2 1916 1932 電動貨車 
 合併後
 合併直後に登場した30型は半鋼製となり、続く50型では日本初となる複巻モーターを使った回生ブレーキ車であった。また、70型は50型とほぼ同じ車体の更新車である。1949年の四宮車庫火災で、30型4両、50型8両、70型9両などが焼失する(一部はその後復旧)。70型で唯一生き残った72は車籍を失った後も寝屋川車庫の入換車として健在である。
   
2018.10 70形:寝屋川車庫
形式 番号 両数 登場 消滅  備考
30型 31-42 12 1926.10-28.5 1968.12
50型 51-58 8 1932.6-33.2 1968.12
70型 70-79 10 1943.12-49.5 1967.12 100形車体更新
95型 95-96 2 1940.7 1950.6 電動貨車改造
1型 1-3 3 1945.3 1959.2 もと愛宕山1-3
5型 5-7 3 1945-50 1953.8 もと京阪神34-36
10型 11-18 8 1949 1967.3 もと京阪神1形
電動貨車 28-29 2 1927-28 1956 京津1形改造
 60型
 京阪線と大津線の直通運転のために開発されたもので、愛称は「びわこ号」。ポールとパンタグラフ、そして高床ホーム用と低床用のドアを持つ車両であった。戦後は直通運転こそイベント時などに限られるが、京津線内の特急運用などで活躍する。1970年の廃車後、63がひらかたパークで保存されていたが、2000年に寝屋川車庫へ移動、そして2014年には動態に復元されている。
  
2018.10 寝屋川車庫
 形式 番号 両数 登場  消滅  備考
60型 61-63 3 1934.3 1970.10
戦後〜1970年代
 260・300・350型
 いずれも、京阪線や大津線で使用された200・300・800型の機器を流用し車体を新造したもの。とくに260型の製造は10年以上にわたったため、両運と片運、片開き扉と両開き扉、前照灯1灯と2灯など、さまざまな形態があった。多くは車体を500・600・700型に流用して消滅し、残ったものは1997年の昇圧時に廃車となっている。
  
350形
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
260型 261-286 26 1957.4-68.11 1997.10 200形機器流用
6両→500形、12両→600形
300型 301-308 8 1965.6-68.3 1984.10 300形機器流用
全車→600形
350型 351-361 11 1966.12-67.7 1997.10 800形機器流用
4両→700形
 80型
 戦後の大津線で初めてとなる完全な新造車。93までは両運で登場したが、94以降は片運となり、両運車もすべて片運に改造されて2両固定編成となっている。1997年の昇圧時に全車廃車となった。81のカットボディと82が保存されていたが、2015年に82は解体され、カットボディのみが錦織車庫に残されている。
 
2017.11錦織車庫
 形式 番号 両数 登場  消滅  備考
80型 81-96 16 1961.8-70.10 1997.10
 500型
 大津線初のカルダン駆動車。280型の車体を流用しているが、運転台部分は新造なので前面は280形と全く異なる2枚窓である。昇圧対応が困難だったため、1993年に廃車となり、車体は700形に流用されている。
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
500型 501-506 6 1979.3-81.6 1993.5 281-286改造
全車→700形
1980年代以降
 600型
 大津線初の冷房車として登場したもの。前期車は300型、後期車は260型の車体を流用しているが、新造扱いである。車体は鋼製で、全長15000mmの2扉。前面の窓は、前期車は平面だが、後期車はパノラミックウィンドウとなっている。駆動はTDカルダン、制御はACRF、制動は非常直通式空気(SME)である。
 昇圧改造では、界磁位相制御、制動は電気指令式(HRD-1)に変更された。また、2017年以降新塗装に変更されている。

 1984.4  営業運転開始
 1993-94 昇圧対応工事
 2017-21 新塗装に変更
   
2017.6 前期車:浜大津付近 2020.1 後期車:島ノ関駅
 
2017.11 後期車:近江神宮前駅
 形式 番号 両数 登場  消滅  備考
600型 601-608 8 1984.4-84.10 300形車体流用
609-620 12 1986.4-88.7 260形車体流用
 700形
 当初から大津線の昇圧に対応したもの。前期車は350型、後期車は500型の車体を流用しているが、やはり新造扱いである。車体は鋼製で、全長15000mmの2扉。駆動はTDカルダン、制御は界磁位相、制動は電気指令式(HRD-1)である。

 1992.5.1 営業運転開始
 2017.6-21.2 新塗装に変更
   
2011.4 710・トーマスラッピング:石山寺駅
   
2020.1 703・おでん電車:島ノ関駅 2017.11 706・ちはやふるラッピング
近江神宮前駅
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
700形 701-704 4 1992.4-92.7 350形車体流用
705-710 6 1992.11-93.5 500形車体流用
 800形
 京都市東西線への直通運転のために製造されたもので、完全な新造車は80型以来約30年ぶり。車体は鋼製で、全長16500mmの3扉。駆動はTDカルダン、制御はVVVFインバータ(IGBT素子)、制動は電気指令式(HRDA-1)である。Mc-M-M-Mcの4両編成となっている。

 1997.10.12 営業運転開始
 2018.1-21.2 新塗装に変更
   
 2019.7 旧塗装:四宮〜京阪山科間 2021.7 新塗装:四宮〜京阪山科間 
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
800形<Mc>
850形<M>
801-816
851-866
32 1997.10
形式別車両数
種類 形式 1940 1954 1964 1972 1981 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
一般 京津 7 6 4
  大津 12
  琵琶湖 12 11 11
30型 12 12 12
50型 8 4 4
70型 1 1
10型 8 8
260型 19 26 20 20 8 8
  80型 4 16 16 16 16 16
  300型 8 8
350型 11 11 11 11 6
500型 6 6 6
600型 8 20 20 20 20 20 20 20
  700形 10 10 10 10 10 10
800形 32 32 32 32 32
年表

 ○京津電気軌道
  1912.8.15 三条大橋〜上関寺仮、上関寺〜札ノ辻間開業
  1925.2.1  京阪電気鉄道に合併
  1925.5.5  三条〜浜大津間全通
  1997.10.12 三条〜御陵間廃止、全線1500V昇圧

 ○大津電車軌道
  1913.3.1  大津(現・浜大津)〜膳所(現・膳所本町)間開業
  1927.1.15 合併により琵琶湖鉄道汽船となる
  1927.9.10 石山(現・石山寺)〜坂本(現・坂本比叡山口)間全通
  1929.4.11 京阪電気鉄道に合併
  

京阪電気鉄道・大津線