前身は神戸電気鉄道で、1917年に神戸市が買収した。軌道線は1971年に廃止となるが、同じ年から地下鉄の建設が始まり、5年後の1976年に市営地下鉄が開業している。
 神戸市電は、早くからボギー車を導入し、1935年には日本初の転換クロスシートの路面電車車両を登場させるなど、先駆的であった。

  ○神戸電気鉄道→(1913.5.1)神戸電気→(1917.8.1)神戸市
   (軌道線:石屋川〜須磨他   35.6km  1910.4.5開業 1971.3.13廃止)
戦前
 C車
 1919年に登場した木造車91-100号は、日本初の低床式ボギー車で、C車と呼ばれた。1932年に鋼体化され、さらに戦後の車体更新で570形に編入される。廃車後、木造車時代の前面が復元され、名谷基地で保存されている。
  
 2022.10 C車(復元):名谷基地
 700形
 木造車E車、I車の更新名義で1936年に登場したもの。路面電車としては初の転換クロスシートや弾性車輪を採用し、ロマンスカーと呼ばれた。全長13.6mで、グリーンとベージュのツートンカラーもこの車両が最初である。戦時中にロングシート化されたものの、戦後も市電全廃の直前まで活躍。1両が保存されている。
  
 2022.10 700形705:名谷基地
 800形
 700形と同時期に登場したもので、ロングシート車。全長14.0mと大型化され、3扉が採用された。市電全廃まで活躍し、1両が700形とともに保存されている。
  
 2022.10 800形808:名谷基地
戦後
 750形
 戦後最初の新形式で、700形に続く転換クロスシートのロマンスカー。全長は12.7mで、700形より少し短い。しかし、需要増に対応できず10年ほどでロングシート化された。前頭部のカットボディが保存されている。
  
 2022.10 750形760:名谷基地
 1100・1150形
 750形に続いて増備されたボギー車で、このうち1150形は間接制御・カルダン駆動などの新技術を取り入れた、いわゆるPCCカー。しかし故障が多かったため、後に直接制御・吊り掛け駆動に変更されている。合わせて13両のうち12両が広島電鉄に譲渡され、今も1両は車籍を有している。
   
 2016.12 1103号:御崎公園 2018.6 もと1150形:広島電鉄千田車庫 
 570形
 570形のルーツは、神戸市電初のボギー車である木造車のC車・E車と、鋼製車のI・J・K・L車。いずれも500番台を名乗っていたが、1958年からの更新により570形22両に整理された。17両はワンマン化改造され、市電廃止まで活躍している。この17両は広島電鉄に譲渡され、今も1両は車籍を有している。
  
 2018.6 もと570形:広島電鉄千田車庫
種類 形式 番号  登場年 1925 1935 1954 1964 1969 備考
木造車 A-H車 1-240 1910-24 208 60
単車 300形 301-380 1931.6-32.7 80 56 9 A・B車鋼体化
400形 401-458 1932.12-35.3 58 18 D・F車鋼体化
ボギー車 I車 531-550 1924.8 20 20
J-L車
(570形)
551-597
(571-592)
1925.12-31.4 47 22 22 21 →広電570形
600形 601-610 1932.10 9 9 9 C車鋼体化
700形 701-740 1936.7-38.12 22 22 18 E・I車更新
750形 751-760 1949-53 10 10 10
800形 801-818 1937-47 18 18 18
900形 901-946 1947-49 46 46 46
1000形 1001-1020 1949-50 20 20 20
1100形 1101-1105 1954.6-60.6 5 5 →広電1100形
1150形 1151-1158 1955.1-56.10 8 8 →広電1150形
100形 不明 1964 20 もと大阪市801形
200形 不明 1964 15 もと大阪市901形

神戸市電(廃止)