小坂線は、1908年に藤田組の小坂鉱山専用鉄道として建設され、翌年に一般営業を開始した。一方、花岡線は花岡鉱山の専用鉄道を藤田組が鉱山ごと買収し、小坂鉄道の路線としたものである。どちらも762mmの軽便鉄道で、戦後になって1067mmに改軌されている。1994年に小坂線の旅客営業が廃止された後は、小坂精練の濃硫酸輸送のみであったが、これも2008年3月に終了している。 
 ○小坂線
  1908.9.15 小坂鉱山専用鉄道として大館〜小坂、茂内〜二ツ屋(のちの長木沢)間開設
  1909.5.7  私設鉄道の小坂鉄道小坂線、長木沢線となる
  1926.7.31 長木沢線の旅客営業廃止
  1951.4.5  長木沢線廃止
  1957.12.1 合併により同和鉱業小坂鉄道となる
  1962.10.1 1067mmに改軌
  1989.10.1 同和鉱業から分離し小坂精錬小坂鉄道となる
  1994.10.1 旅客営業廃止
  2009.4.1  全線廃止 

 ○花岡線
  1914.1.26  花岡鉱山専用鉄道として開設
  1916.1.17  私設鉄道として営業開始
  1951.11.25 1067mmに改軌
  1957.12.1  合併により同和鉱業花岡線となる
  1985.4.1   全線廃止
1941 1949 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
 輸送人員(千人/日) 2.3 2.1 2.2 2.8 4.8 5.3 3.4 1.5 0.4 0.2
 輸送密度(千人/日) 0.8 0.7 0.6 0.7 1.7 1.9 1.3 0.6 0.3 0.2
 貨物輸送(万t/年) 46.2 28.6 34.8 54.8 81.6 123.3 57.8 52.0 24.7 25.2 27.1 24.2 17.4
営業係数 103 97 97 108 101 92 129 119 98 100 112 132 233
営業中
 小坂線は旅客営業廃止の3年前に乗車できたのだが、なぜかほとんど覚えていない。
1991.2 小坂駅
廃線跡
 小坂線(大館〜小坂22.3km)
 廃線跡を訪れたのは.2011年。2年前まで貨物営業を行っていたため、線路や橋梁などはほとんど現役時代のまま残っていた。とくに東岱野〜雪沢温泉間に連続するガーター橋は見応えがある。旅客営業は17年も前に廃止されているが、新沢駅の駅舎も健在だった。
2011.10 大館〜岱野間@ 2011.10 東岱野〜雪沢温泉間 A
2011.10 東岱野〜雪沢温泉間B 2011.10 新沢駅跡C
 新沢〜深沢間にかかる橋梁の先では、廃線跡を利用してトロッコ列車のようなものが走っていた。その後、パナソニックがエボルタ電池鉄道を走らせたようである。茂内は線路もホームも残っていて現役のように見える。
2011.10 新沢〜深沢間D 2011.10 茂内駅跡E
 篭谷は何も残っていないので位置が判断できない。終点の小坂駅は、中に入ることはできなかったが、現役時代のまま保存されていて廃止しているとは思えない雰囲気だった。ここは2014年にテーマパークとしてオープンしたようである。
2011.10 篭谷駅付近F 2011.10 小坂駅跡G
 花岡線(大館〜花岡4.8km)
 廃止からかなり時間がたっているが、小坂線と分かれてJRをオーバーパスする築堤や下内川の橋梁など、よく残っている。終点の花岡駅は痕跡がなくなっていた。
2011.10 大館〜松峰間H
JR南側の築堤
2011.10 大館〜松峰間I
下内川橋梁
2011.10 花岡駅跡J
車両
 762mm、SL・EL・PC
 戦前は、小坂線・花岡線ともに762mmのSLが活躍した。このうち1926年に製造された11号は、1962年の改軌後も小坂駅前で保存されており、今は貴賓車ハ1とともに小坂レールパークに移っている。
種類 番号 両数  特徴 登場  消滅  備考
SL 1 1 1B1サドルタンク 1906 1941
2-4 3 Cタンク 1907 1954
5-6 2 Dサドルタンク 1908 1936
7-8 2 Cタンク 1915 1928
9-10 2 Cタンク 1917 1952
11-12 2 Cタンク 1926 1962
21 1 1B1タンク 1919 1938
EL 31-32 2 B-B凸形 1927 1964
PC ハ1-13 13 木造 1907-20 1962
 
2017.6 11号:小坂レールパーク 2017.6 ハ1:小坂レールパーク
 1067mm、DC・PC
 1951年の花岡線改軌後、ガソリンカーや機械式DCが導入されたが、小坂線改軌後は、キハ21000形に統一された。これは、全長20.1mの大型車で、常総筑波鉄道(現在の関東鉄道)キハ800形とほぼ同タイプ。7両が製造され、小坂線旅客営業廃止まで使用された。現在は2両が小坂レールパークに残るが、保存車リストには含まれておらず、かなり傷んでいるようである。また、片上鉄道に2両、弘南鉄道に2両が譲渡されているが、すべて解体された。
種類 番号 両数 特徴 登場  消滅  備考
DC キハ1001 1 2軸ガソリンカー 1955 1961 もと片上キハニ101
キハ1005 1 16300mm機械式 1959 1963? もと国鉄キハ41500形
キハ2101-03、
   2105-08
7 20100mm液体式 1962-67 1994
PC ホハフ50 1 半鋼製 1951頃 1963 もと片上
ナハ51
ホハ52
2 木造 1951頃 1963 もと国鉄
 
1991.2 キハ2100形:小坂駅 2017.6 キハ2100形:小坂レールパーク
 1067mm、機関車
 1067mmのSLは、すべて花岡線向けで、DLの導入後まもなく消滅した。最後まで活躍した機関車は、自社発注のDD130形と片上鉄道から転属したDD13形の計4両。いずれも国鉄DD13形と同タイプで、4両とも小坂レールパークで保存されている。
種類 番号 両数  特徴 登場  消滅  備考
SL 101 1 Cタンク 1947 1956
2347 1 C1タンク 1954 1958 もと国鉄2347
256 1 1B1タンク 1961 1962 もと秋田中央交通
DL DC1-4 4 7450mmC形 1956-59 1980
DD11-13 3 11100mmB-B形 1962 1995
DD131-133 3 13600mmB-B形 1967-68 2009
DD13 556 1 14400mmB-B形 1978 2009 もと片上鉄道DD13556
   
2017.6 DD130形:小坂レールパーク 2017.6 DD13形:小坂レールパーク

同和鉱業(小坂鉄道)