153系の急行型電車をベースに、片側3扉の近郊向けとして開発された、国鉄初の新性能近郊型電車。車体は鋼製の20m級3扉で、座席はセミクロスシート。台車は101系と同等のコイルばね・ウイングばね式のDT21BとTR62。111系の主電動機は101系と同等のMT46A(1時間定格出力100kW)。駆動は中空軸平行カルダン、制御は電動カム軸式、制動は電磁直通(発電併用)である。113系は111系の翌年に登場したもので、主電動機は115系で開発されたMT54(1時間定格出力120kW)を採用している。最高運転速度は100km/hと変わらない。動力車以外は111系と113系で共通である。
国鉄
 111系 
 1962年の111系登場時、大船電車区に最初に配置され、東海道本線東京口で運用された。1974年以降、広島・下関地区や関西線、阪和線等でも使用される。1987年3月に予讃線の一部が四国で初めて電化された際には、おもに111系が投入された。113系更新車に置換えられて、2001年3月に四国の111系が消滅した。
 クハ111-1は、長く大船に配置されていた車両で、静岡に移ってJR発足直前に廃車となった。原形に復元されて、リニア・鉄道館で保存されている。
 
 2015.11 クハ111-1:リニア・鉄道館
 113系0番台 
 0番台は、1963年から77年までの15年間にわたって製造されたため、さまざまなタイプがある。大きく分類すると、大目玉、非冷房の初期車が0番台、シールドビーム、新製冷房車を0’番台と呼んでいる。
1980.7 0’番台湘南色:伊豆熱川駅
 1000・1500番台 
 1000番台は、1972年に総武快速線東京〜錦糸町間の地下線開業に向けた、地下線対応車。0番台と同様に、大目玉、非冷房の1000番台と、シールドビーム、新製冷房の1000’番台の2つのグループがある。1979年にはシートピッチを拡大した1500番台も登場するが、これは少数に終わっている。
1985.4 大目玉スカ色:旭駅
 2000番台 
 暖地向けのシートピッチ拡大車。最初は1978年に東海エリアに投入され、その後京阪神エリアや東海道線東京口などに広まった。113系の中では新しいため、東日本や東海エリアから撤退した後も、山陽エリアで活躍している。
 2017.3 左:1000’番台スカ色、右:2000番台湘南色:いすみ市ポッポの丘
1000’番台は、タイフォンの位置が他の番台と異なる
 700・2700番台 
 700番台は、湖西線開業時に導入された寒地向けの車両。2700番台は寒地向けのシートピッチ拡大車で、1980年の草津線電化に合わせて登場した。いずれも、JR発足後に高速化改造を受け、5700番台・7700番台に変更されている。
 番台 M
110
M
111
M
112
M
113
Tc
111
Ts
110
Ts
111
Ts
112
Ts
113
T
111
 前歴 登場 消滅
0番台 64 64 262 45 新製 1962.5-63.2  2001.3
    338 338 5 1963.12-77.11
300番台 268 1962.-
700番台 25 25 17 1974.4-76.3 2012.11
750番台 17
1000番台 265 265 140 17 48 1969.5-77.6 2011.9 
1200番台 88
1300番台 155
1000番台 10 18 0番台 1972
1500番台 24 24 6 11 1979.8-81.9 2011.10
1600番台 6
2000番台 124 124 76 25 1978.3-82.3
2100番台 65
2700番台 4 4 2 1980.1 1992.2
2750番台 2
2700番台 8 2000番台 1983.12-84.2
0番台 63 31 Ts153等 1965.1-88.1 1998.7 
300番台 11 Ts181等
350番台 12 Ts489
400番台 1 Ts165
500番台 1 Ts165
900番台 2 Ts153
1300番台 5 Ts183
1350番台 8 Ts489等
300番台 4 T115 1984 1999 
 ※国鉄時代のおもな形式を示す
JR東日本
 大船電車区 
 111系登場時に最初に配置されたところで、1980年までは東海道線の車両も配置されていた。東海道線と横須賀線の分離後は、地下線対応のスカ色1000番台、1500番台が配置される。横須賀線の113系運用終了は1999年であるが、その前年に大船所属車は消滅している。

  1962.6  東海道本線東京口において営業運転開始
  1964.2  横須賀線運用開始
  1980.10.1 横須賀線と総武快速線の直通運転開始
  1999.12.3 総武快速線・横須賀線運用終了
 
1984年頃 北鎌倉駅
 番台 M
112
M
113
 Tc
111
T
111
Ts
110
Ts
111
Ts
113
 前歴  登場  消滅  備考
1000番台 110 110 116 15 57 8 1 国鉄 1987.4 1998.11
1500番台 18 18 8 9
2000番台 9
 ※車両数はJR発足時のもの
 幕張電車区/幕張車両センター 
 幕張電車区発足時からの所属。1000・1500番台はおもに総武快速線の地下線向け、0番台は房総地区地上線向けである。JR発足時は379両を引継ぎ、その後も転入・転出が多かった。総武快速線運用車は、1999年までにE217系に置き換えられて消滅。房総地区も209系に置換えられて2011年に営業運転を終了している。

  1972.7.15 東京〜錦糸町間地下線開業、総武快速線運転開始
  1980.10.1 横須賀線と総武快速線との直通運転開始
  1999.12.3 総武快速線・横須賀線運用終了
  2011.9.1 定期運用終了
  2011.10.15 最後の営業運転
1985.4 1000’番台スカ色:大網駅
 番台 M
112
M
113
 Tc
111
T
111
Ts
110
Ts
113
 前歴  登場  消滅  備考
 0番台 35 35 27 国鉄 1987.4 2013.11
1000番台 126 126 163 13 20 16
1500番台 6 6 4 2
2000番台 3
 ※車両数はJR発足時のもの
 国府津電車区 
 1979年に国府津電車基地として開設した時から配置されている。JR発足時も幕張等からの転入があり、2020年時点では454両所属していた。E231系に置換えられ、2006年3月に営業運転を終了している。

  1979.10.1 東海道本線運用車が大船電車区から国府津電車区に転属
  2006.3.17 営業運転終了
 番台 M
112
M
113
Tc
111
T
111
Ts
110
Ts
124
Ts
125
 前歴 登場 消滅 備考
0番台 40 39 47 29 5 国鉄
幕張
1987.4- 2006.6
1000番台 32 32 22 11 34
1500番台 7 7 3 10
2000番台 43 43 36 13
 ※車両数は2000年現在のもの
 田町電車区 
 東海道線東京口の113系は、当初は大船電車区、後に国府津電車区に所属していたが、1981年に田町電車区にも配置されるようになった。田町所属車は少数で、JR発足後まもなく211系に置換えられている。
 番台  M
114
M
115
 Tc
111
T
111
Ts
110
Ts
111
 前歴  登場  消滅  備考
 0番台 16 16 11 2 4 2 国鉄 1987.4 1991.3
1000番台 8 8 2 10 18
2000番台 15 15 13 1
 ※車両数はJR発足時のもの
 小山電車区 
 横須賀・総武快速線へのE217系投入によって余剰となった113系が、湘南色に変更されて1998年12月に東北線東京口の運用を開始した。E231系登場までの暫定措置で、2年弱で消滅している。
    
 番台  M
112
M
113
Tc
111
T
111
 前歴  登場  消滅  備考
1000番台 9 9 14 2 大船 1998.8-99.1 2000.9
JR東海
 静岡運転所/静岡車両区 
 静岡は、大船電車区とともに1962年に最初の111系が配置されたところである。JR発足時は0番台を中心に200両所属していたが、211系・313系などに置換えられ、2007年3月に営業運転を終了している。中間車ユニットが6年ほど浜松工場で保管されていたようだが、結局解体された。

  1962.6   東海道本線にて営業運転開始
  2004.11.29 東京乗り入れ終了
  2007.3.18  営業運転終了
 番台 M
112
M
113
Tc
111
 前歴  登場  消滅  備考
 0番台 31 31 82 国鉄 1987.4 2007.11
 1000番台 11 11 6
 2000番台 12 12 4
 大垣電車区/大垣車両区 
 JR東海時、名古屋圏では大垣と神領に別れて配置されていたが、1989年に大垣へ集約。2000番台を中心に212両が所属した。最後まで湘南色で、集約分散式冷房化改造された5000番台も登場していた。211系・313系に置換えられて、1999年12月に運用を終了している。
1987.3 美濃赤坂駅
 番台 Mc
113
M
112
M
113
Tc
111
 前歴  登場  消滅  備考
0番台 24 24 42 国鉄 1987.4 2007.11
1000番台 3 3 2
2000番台 8 27 19 30
5000番台 8 8 14 0番台 1988.2-8
 ※車両数は1989年4月現在のもの
JR西日本
 網干電車区 
 東海道・山陽線には、東京口より2年ほど遅れて111・113系が投入されており、0番台や2000番台が使用された。塗装は基本的に湘南色であった。1999年頃から更新改造を受けたものは、+5000番の改番が行われている。2004年10月に、東海道・山陽線での運用が終了している。

  1964.9    京阪神快速にて営業運転開始
  1966.10   1等車連結開始
  1999.    西日本更新色への変更始まる
  2004.10.16 京阪神快速の運用終了
西日本更新色
 番台 M
112
M
113
Tc
111
T
111
 前歴  登場  消滅  備考
0番台 90 90 134 4 国鉄 1987.4 2007.12
2000番台 26 26 40 12
 ※車両数はJR発足時のもの
 宮原電車区/宮原総合運転所 
 JR発足時は、おもに700番台と2700番台が所属。700番台は、湖西線開業時に導入された寒地向けの車両。2700番台は1980年の草津線電化に合わせて登場した寒地向けのシートピッチ拡大車である。湖西線・草津線運用車は5700・7700番台への改造を経て京都へ移管され、2004年に一度宮原から113系が消滅する。2006年に福知山線運用車が転入し、配置が復活したが、2012年3月に福知山線の運用を終えている。
 番台 M
112
M
113 
Tc
111
 前歴  登場  消滅  備考
700番台 25 25 34 国鉄 1987.4 2004.11
2700番台 4 4 12
5700・5750番台 25 25 34 700番台 1992.1-3
7700番台 4 4 12 2700番台 1992.1-3
5000番台ほか 13 13 16 京都・岡山 2006.1- 2012
 ※700・2700番台の車両数はJR発足時のもの
 向日町運転所/吹田総合車両所京都支所 
 向日町に最初に配置された113系は、山陰線で運用する7000番台等。その後も転配があり、1996年に宮原から転入した湖西線・草津線運用の5700番台、7700番台がその後の主力となっている。2011年頃から、京都地域色の緑色単色に変わってきている。
 
2017.6 5700番台:貴生川駅 2018.3 5700番台・忍ラッピング:山科駅 
 
2022.3 7700番台緑色:山科駅
 番台 M
112
M
113 
Tc
111
 前歴  登場  消滅  備考
800番台 1 1 2 網干等 1989.11-  
7000番台 18 18 18
7500番台 18
5700番台 13 13 22 宮原 1996.3
7700番台 4 4 12
 日根野電車区/吹田総合車両所日根野支所 
 関西線、阪和線では、国鉄時代から関西快速色、阪和快速色という独自塗装が登場して異彩を放っていた。0番台が主力で、2000番台も使用されていた。阪和線では、2011年12月まで活躍していた。

  1972    阪和線新快速にて営業運転開始、阪和快速色
  1973.10.1 関西線奈良-湊町間電化、関西快速色による運用開始
  1985.3   関西線運用車が奈良電車区へ転属
  2002.4   2両編成の2050番台G編成登場
  2011.12.10 4両編成の運用終了
  2012.8   青緑色単色への変更始まる
  2020.3.13 定期運用終了
 
 2016.3 2050番台青緑色:御坊駅
 番台 Mc
112
Mc
113
M
112
M
113
Tc
111
 前歴 登場  消滅  備考
0番台 18 18 23 国鉄 1987.4 2013
1000番台 1
2000番台 2 2 2
2050番台 2 2 7000番台 2002.7-8
 ※2050番台以外の車両数はJR発足時のもの
 奈良電車区
 関西線では、1973年の電化後、日根野所属の113系関西快速色が活躍していた。1985年の奈良電車区発足時に転入するが、同時に105系や221系への置き換えが始まり、1994年に運用を終了している。

  1973.10.1 関西線奈良-湊町間電化、関西快速色による運用開始
  1985.3   奈良電車区に転属
  1994.3   奈良地区における運用終了
 1987年頃 関西快速色
 番台  M
112
M
113
 Tc
111
 前歴  登場  消滅 備考
0番台 28 28 38 国鉄 1987.4 1998
2000番台 6 6 6
※車両数はJR発足時のもの
 福知山運転所/福知山電車区
 福知山線向け800番台、山陰線向け300番台、小浜線向け5700・7700番台が所属した。
 800番台は、1986年に電化された福知山線に投入するため、半自動ドア化等の改造を行ったもの。この800番台に対し、さらにワンマン化改造を行ったものが3800番台、高速化改造を行ったものが5800番台である。福知山エリアの電化拡大により、福知山線向けは800番台4両編成(K編成)と3800番台2両編成(N編成)、山陰・舞鶴線向けの5300・5800番台2両編成(S編成)に整理されていった。2010年に5800番台が廃車となり、800番台の仲間は消滅している。
 300番台は、1996年の山陰線園部〜福知山間電化の際に、ワンマン運転のため中間車を先頭車化改造し2両編成としたもの。運転台は113系先頭車のものを流用しているので、見かけの差はあまりない。高速化改造により5300番台となっている。
 5700・7700番台は、小浜線電化時に耐寒・耐雪化等の改造をされたもの。元から5700・7700番台だったものは番号が変わっていない。4両編成3本で、小浜線独自の塗装となっていた。活躍の期間は短く、2006年に小浜線運用終了。すべて京都へ転出した。。

  1986.11.1  福知山線電化、800番台による運用開始 
  1990.2-91.10 塗装変更
  1996    山陰線園部〜福知山間電化、300番台による運用開始
  2003.3.15  小浜線電化、5700・7700番台運用開始
  2004.10   800番台4両編成(K編成)の運用無くなる
  2006.10.21 小浜線定期運用終了
  2008     3800番台2両編成(N編成)の運用無くなる
  2010.8    5800番台消滅
   
1991.3 800番台福知山色:福知山駅 2016.8 5300番台緑色:福知山駅
 
2024.10 福知山旧塗装(リバイバル):和田山-梁瀬間
   
 3800番台  7700番台小浜色 
 番台 Mc
112
Mc
113
M
112
M
113
Tc
111
 前歴 登場 消滅 備考
800番台 14 14 9 19 25 0番台 1986.8-95.10 2005.9
3800番台 9 9 800番台 2000.10-01.2 2008.9
5800番台 3 3 800番台 1997.3 2010.8
300番台 6 6 0番台
5000番台
1995.2-7 1996.12 →5300番台
5300番台 6 6 300番台 1996.10-12
5700番台 1 1 京都・網干 2002.11-03.3 2008.10 →京都
7700番台 2 2 6
 岡山電車区  
 1999年から余剰車の転入が始まる。一度所属が無くなったが、再び増加している。
 
2019.6 黄色:清音駅 
 番台 M
112

113
Tc
111
 前歴  登場  消滅  特徴
0番台 6 日根野等 2012-
2000番台 13 13 20
 下関総合車両所広島支所  
 広島支社管内では、国鉄時代に111系が転入していたが、1987年までに一度撤退する。1999年から下関に、また2008年から広島に再び余剰車の転入が始まったが、広島地区では2019年までに227系に置換えられて撤退している。
 
2016.1 西日本更新色:広島駅
 番台  Mc
112
M
113
Tc
111
 前歴  登場  消滅  備考
0番台 3 3 2 京都 2008.8-12.3 2019.2 →岡山等 
700番台 4 4 14
2000番台 10 10 18
5000番台 2
7000番台 5 5 8
JR四国
 松運転所  
 1987年3月に予讃線の一部が四国で初めて電化された際、おもに111系が投入された。2000年には、その置換え用としてJR東日本から113系の4両編成3本が譲渡されている。この113系はリニューアル改造を受けて前面デザインが大きく変わり、塗装もブルー、ピンク、イエローの3色となって活躍していた。2019年3月に定期運用を終了し、四国エリアから113系が消滅している。

  1987.3.23 予讃線一部電化(113系の営業開始日不明)
  2000.4.1  リニューアル編成運用開始
  2019.3.15 定期運用終了
  2019.8.31 全車廃車
 
2016.3 ピンク:児島駅 2015.11 ブルー:坂出駅
 形式 M
110
M
111
M
112
M
113
Tc
111
Tc
112
Tc
113
 前歴  登場  消滅  備考
0番台 3 3 3 国鉄 1987.4 2001.3
300番台 3
0番台 2 2 2 車籍復活 1988
3000番台 2
0番台 3 3 3 3 JR東 2000.3-01.3 2019.8
車両配置表

1964 1968 1972 1980 1985 1987 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
大船 140 493 604 477 463 479 492 466
津田沼 42 184 168
幕張 436 441 582 610 603 365 328 182
国府津 182 355 362 392 414 454 398
田町 135 143 91
小山                 34        
静岡 127 127 199 298 304 200 197 192 181 165
神領 130 142 138
大垣 100 104 100 132 130 14
宮原 84 40 56 104 104 166 42 42
網干 243 248 244 422 396 181 168 13
京都 72 76 148 162 80 64 64
高槻 226 202 265 244
明石 84
鳳/日根野 18 226 92 66 68 44 60 52 36 4 4
奈良 136 112 45 9
福知山 68 49 61 64 51 14 12 12
岡山 12 12 52
広島 64 68
下関 94 66 7 5 5 2
高松 12 20 20 12 12 12 12
111・113系