現在の北越急行とほぼ並行するルートにあった路線で、地元の有力者が中心となって建設された。戦後も利用者は少なく、1968年にほとんどの区間が廃止された。中間の一部だけ3年間存続したのは、県道の拡幅を待ったからである。最後まで762mmの軽便鉄道であった。

  1914.10.1 頸城鉄道新黒井〜下保倉間開業(762mm、蒸気)
  1916.5.5  下保倉〜浦川原間延伸
  1944.4.30 合併により頸城鉄道自動車と改称
  1968.10.1 新黒井〜百間町、飯室〜浦川原間廃止
  1971.5.2  全線廃止 
   1941 1949 1955 1960 1965 1970
 輸送人員(千人/日) 1.0 1.7 1.3 1.6 1.6 0.2
 輸送密度(千人/日) 0.6 0.9 0.6 0.7 0.6 0.1
 貨物輸送量(万t/年) 1.5 1.7 1.5 1.8 1.9
 営業係数 81 105 107 118 155 692
廃線跡
 新黒井〜浦川原15.0km 
 2007年に何も下調べをせずに訪れたが、鉄道の痕跡はほとんど発見できなかったので、2013年は百間町の駅にターゲットを絞って訪問した。ここは車両を保存していて、不定期で公開している。2023年には、DC・DL・FC・PCの4両編成で走行する姿を見ることができた。
 
2013.9 百間町駅跡 2013.9 百間町駅跡付近 
2023.9 イベント時の乗車体験走行
 終点の浦川原駅舎は、今もバス営業所として残る。ここも、2007年の訪問の際に探したが、北越急行うらがわら駅から少し離れていて見つけられなかった所である。「頸城バス発祥の地」という碑が建てられていた。
2019.7 浦川原駅跡
車両
 開業時はSLが活躍し、1926年にはガソリンカーが導入された。廃止後、DC92やホジ3、客車・貨車など多くの車両が兵庫県内で保存されていて、2004年に里帰りした。復元整備などの後、2008年にくびき野レールパークがオープンしている。
種類 番号 両数 特徴  登場 消滅 備考
SL 1 1 Bタンク 1914 1954
2-3 2 Bタンク 1914 1918
3U→2U 1 Cタンク 1915 1966 もと大丸組
3V 1 Bタンク 1949 1952 もと仙台鉄道B82
DL DB81 1 5185mm 1952 1968? SL改造
DC92 1 5690mm 1954 1968? SL改造
DC123 1 5500mm 1960 1968?
GC ジ1-2 2 5099mm 1926 1961
ホジ3 1 9652mm 1932 1971 客車改造
ホジ4 1 9652mm 1938 1952 客車改造
PC ホトク1等 10 木造単車 1914-49 1968?
 2号機 
 開業時のSLはBタンク3両だったが、そのうち2両はすぐ譲渡された。代わりに導入されたのが、コッペル製のCタンクである2号機。1911年製で、品川沖の埋め立て工事に使用された後入線した。1966年まで約50年間活躍し、引退後は西武山口線で動態保存運転を行っていたこともあるが、今はくびき野レールパークに里帰りしている。
2023.9 2号機:くびき野レールパーク
 DC92 
 所属していたDLは3両で、うち2両はSLを改造したもの。SL1号機を改造したDC92は、兵庫県内で保存されていたものを、2007年に動態復元している。今もイベント時に走行する姿を見られる。
2023.9 DC92:くびき野レールパーク
 ホジ3 
 ガソリンカーは4両在籍していて、このうちホジ3と4は客車を改造したもの。戦後にディーゼルエンジンに換装された。ホジ3は路線廃止時まで活躍したもので、DC92と同様に兵庫県内で保存されていたものを、2012年に動態復元した。イベント時には自力走行する姿が見られる。
2023.9 ホジ3:くびき野レールパーク
 客車・貨車 
 2軸客車のハ6は、魚沼鉄道から1949年に譲り受けたもので、DC92やホジ3と同様に保存されている。荷物車のニフ1も現存するが、こちらは車体をイメージ復元したもので、オリジナルの車体は残っていない。貨車は、ト5、ワ7、ワ14の3両が保存されている。
 
2023.9 ハ6:くびき野レールパーク  2023.9 ワ7・ワ14:くびき野レールパーク

頸城鉄道