くりはら田園鉄道(石越-細倉マインパーク前25.7km) 
  宮城平野の北端、金成や栗駒といった町を結んでいた路線で、細倉鉱山の鉱石輸送も行っていたが1987年に閉山。その後は存廃が議論されながらも、1993年に第三セクターに移行、2年後には電車から気動車に変わったという風変わりな路線であったが、結局廃止になってしまった。
  1921.12.20 栗原軌道石越〜沢辺間開業(22.12.17岩ヶ崎(のちの栗駒)まで延伸)
  1942.12.1  岩ヶ崎〜細倉鉱山間開業
  1955.11.29  栗原電鉄と改称
  1987.3.29  貨物営業廃止、細倉〜細倉鉱山間休止(88.11.1廃止)
  1990.6.16  細倉マインパーク前まで0.2km延伸
  1993.12.15  第三セクターとなる(95.4.1くりはら田園鉄道と改称)
  2007.4.1   全線廃止 
  1941 1949 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
 輸送人員(千人/日) 1.0 1.8 2.9 4.4 5.0 3.8 2.6 2.0 1.4 0.9 0.9 0.7 0.5
 輸送密度(千人/日) 0.6 0.7 0.9 1.7 1.7 1.3 0.9 0.6 0.4 0.3 0.3 0.2 0.2
 貨物輸送量(万t/年) 4.1 12.1 19.2 23.6 23.4 20.6 16.1 9.3 4.6
 営業係数 85 100 73 77 88 95 139 128 140 158 164 185 211
 初乗車は1996年。電車がなくなった3年後で、まだ駅構内に電車の車両が残されていた。
1996.3 細倉マインパーク駅 1996.3 若柳駅構内
 初乗車の際の印象があまり無かったので、廃止間際にもう一度訪問した。この路線の一番の魅力は広大な田園地帯を走ることで、津久毛付近は本領発揮という感じである。また古き良き時代の駅といった雰囲気の沢辺駅も印象に残った。
2007.3 沢部〜津久毛間A
2007.3 沢辺駅@ 2007.3 栗駒駅B
2007.3 栗原〜栗原田町間C 2007.3 尾松駅D
  
 仙北鉄道(築館-登米41.1km)
  瀬峰を中心に東西に伸びていた路線であるが、築館側は1948年に台風被害で休止に追い込まれ、復旧することなく1950年に廃止された。その後も瀬峰〜登米間だけで営業が続き、利用者は順調に増加していたが、1964年に合併で宮城バスとなると間もなく廃止された。ローカル鉄道は廃止すべしという全国的な流れに乗ってしまったのではないかと思われる。
  1921.7.5  仙北鉄道瀬峰〜佐沼間開業(21.10.5登米まで延伸)
  1923.7.22 瀬峰〜築館間開業
  1948.9.16 台風災害により瀬峰〜築館間休止(50.3.1廃止)
  1964.5.1  合併により宮城バスとなる
  1968.3.25 全線廃止 
1941 1949 1955 1960 1965 1967
 輸送人員(千人/日) 2.1 2.4 2.9 3.5 4.7 4.3
 輸送密度(千人/日) 0.6 0.6 0.9 0.8 1.5 1.4
 貨物輸送量(万t/年) 7.3 5.5 5.1 5.6 4.9
営業係数 82 105 107 100 120 110
 先に廃止した区間は、築館駅こそ跡形もなくなっているが、玉萩付近の路線跡は比較的わかりやすい。登米側は佐沼の先までは見つけられなかったが、米谷駅の前後が最大の見所で、とくに米谷駅跡は列車が走って来そうな雰囲気だった。登米も立派な駅舎が残されている。
2007.3 築館駅跡@ 2007.3 玉萩-太沢間A
2007.3 藤里-瀬峰間B
JRの下をくぐる
2007.3 浅水-米谷間C
2007.3 米谷駅跡D 2007.3 登米駅跡E
  
 仙台鉄道(北仙台-西古川43.9km)
 仙台の市街地に乗り入れる長大な軽便鉄道だったが、戦後の度重なる風水害で1950年には加美中新田〜西古川間を除いて運行休止、二度と復旧することは無かった。その後は1駅間だけのミニ私鉄になっていたが10年ほどで全廃となっている。
  1922.10.6 仙台軌道堤通(のちの通町)〜八乙女間開業(23.12.22までに吉岡まで延伸)
  1925.6.20 加美中新田〜中新田(のちの西古川)
  1926.5.14 仙台鉄道と改称
  1929.9.17 通町(のちの北仙台)〜西古川間全通
  1950.11.4 台風災害により北仙台〜加美中新田間不通(51.2.19休止、56.3.14廃止)
  1960.5.1  加美中新田〜西古川間廃止 
1941 1949 1955 1960
 輸送人員(千人/日) 1.7 3.4 1.0 1.6
 輸送密度(千人/日) 0.4 0.9 1.0 1.6
 貨物輸送量(万t/年) 1.0 2.0 0.2 0.1
営業係数 101 125 98 95
 廃線跡は山の寺付近から黒川小野の先までは立派な道路になっているが、富谷あたりからわからなくなり、見つけるのに苦労する。吉岡あたりでは大雨が降り出して、さらに探しにくくなった。大童を過ぎるとサイクリングロードになって、雰囲気のいい所もあるが車で走れないのが残念。大衡の先でまた廃線跡を見失い、日も暮れてきたので加美中新田に直行したが、駅跡にあったスーパーまでが閉店して空き地になっていた。
2008.12 山の寺-陸前大沢間A 2008.12 富谷駅付近B
2008.12 大童-大衡間C
 下の写真は、別の機会に見た東照宮駅付近。JRの下をくぐる道路が廃線跡である。
2009.3.6 東照宮駅付近@
 
 東北本線旧線(利府-品井沼17.0km)
 今の東北本線が1890年に一ノ関まで開業した時、岩切〜品井沼間は現在の利府を通るルートだったが、1944年に開業した海側のルートがメインになり、旧線の利府以北は廃止された。
  1890.4.16  日本鉄道岩切〜一関間開業
  1906.11.1  買収、東北本線となる
  1944.11.15 陸前山王〜品井沼間開業(この時点では利府経由が本線のまま)
  1962.4.20  松島(旧)〜品井沼間廃止、岩切〜松島間は支線となる
  1962.7.1   利府〜松島(旧)間廃止

 廃止からかなり時間がたつが、多くの区間は細い道路になっているためわかりやすい。現在の松島駅よりはかなり山側にある旧松島駅も駅舎が残っているが、これはきれいすぎて古さが感じられなかった。逆にいちばんの見所は現在線とほぼ並行している愛宕以北で、橋脚やトンネルがよく残っていた。
2008.12 利府付近@ 2008.12 利府-松島間A
2008.12 旧松島駅舎B 2008.12 松島-品井沼間C
 塩釜線(陸前山王-塩釜港4.9km)
 1887年、日本鉄道(現在の東北本線)が宮城県まで延伸した時、仙台を超えてここが終点になったという由緒ある路線である。1956年に現在の塩釜駅が開業したため、塩釜線は旅客輸送を廃止。ただ、臨時列車の運転はあったようで、1970年頃間で旅客の輸送実績がある。その後は貨物線として残っていたが、貨物輸送が急速に減少し、1997年に廃止された。
  1887.12.15 日本鉄道郡山〜塩釜(のちの塩釜港)間開業(90.4.16岩切〜塩釜間は支線となる)
  1906.11.1  買収、塩釜線となる
  1956.7.9   客扱い廃止
  1994.4.1   休止(97.4.1廃止) 
  1932 1937 1949 1956 1960 1965 1970 1973 1977 1980 1983 1986
 輸送人員(千人/日) 0.9 1.7 4.6 0.9 0.2 0.06 0.02
 輸送密度(千人/日) 0.9 1.5 4.6 0.9 0.2 0.06 0.02
 貨物輸送量(万t/年) 25.8 48.8 57.6 82.3 107.1 140.1 149.1 133.0 92.6 72.8 48.7 13.5
 塩釜港駅は最近までホームが残っていたようであるが、行ってみると再開発で巨大なショッピングセンターに変貌していた。しかし仙石線の西塩釜駅の脇には路盤の跡がはっきり残り、いい雰囲気だった。
2008.12 西塩釜駅E 2008.12 塩釜港駅跡F
 別の機会に、陸前山王駅から廻ろうとしたが、すぐ深い藪になり、日も暮れてきたのであきらめた。
2009.3 陸前山王〜西塩釜間D
 秋保電気鉄道(長町〜秋保温泉16.0km)
 秋保温泉の湯治客輸送と石材輸送を目的とした鉄道。最後は仙南交通に合併されるが、その時には廃止が事実上決まっていたようである。
  1914.12.23 秋保石材軌道長町〜湯元(のちの秋保温泉)間開業(馬車軌道)
  1922.10.29 秋保石材電気軌道と改称(25.1.12秋保電気軌道、44.8.1秋保電気鉄道と改称)
  1925.6.14  電気運転開始
  1959.7.1   合併により仙南交通となる
  1961.5.8   全線廃止
1941 1949 1955 1960
 輸送人員(千人/日) 1.8 4.5 3.6 1.9
 輸送密度(千人/日) 不明 1.7 1.4 0.7
 貨物輸送量(万t/年) 0.7 0.3 0.3 0.2
営業係数 65 100 100 162
 起点の長町付近は、区画整理が進んでいるので痕跡はないかと思ったが、廃線跡と思われる狭い道路や空間がまだ残されていた。
2009.3 長町〜長町南間@
 旗立付近は廃線跡がバス専用道路になるという先進的な事例になっている。その先の2つのトンネルも現役であった。終点の秋保温泉には車両が展示してあるが、駅跡とは位置が違うようである。
2010.3 旗立〜太白山間A
バス専用道路
2010.3 旗立〜太白山間A
第1号トンネル
2010.3 萩の台〜茂庭間B
第2号トンネル
2010.3 秋保温泉駅跡C
 仙石線地下化区間(仙台〜陸前原ノ町)
 仙石線は、かつては現在の仙台駅東口側から出発していたが、2000年3月に地下化して西口側のあおば通りが起点となった。旧線はまだあちこちに空地として残されている。
2009.10 2009.10
2011.11 2011.11

宮城県の廃線