京都は、794年に平安京が建設されてから、明治時代の初めまで約1100年間にわたって日本の都であった。明治以降も主要都市として発展したため、市街地は昔の面影が少なくなったが、多くの社寺は昔のまま残っている。このうち17ヶ所の社寺が、1994年に日本で5番目の世界遺産として登録されている。

 
京都市内
 1.上賀茂神社(賀茂別雷神社) 
 豪族賀茂氏が営む、平安京以前から続く京最古の神社の1つ。平安時代には王城鎮護の神として栄えた。本殿と権殿が国宝になっているが、見ることはできず、四脚中門での参拝となる。重要文化財は34棟。下鴨神社とともに、世界遺産になったと聞いて初めて訪れたが、そういう目で見たためか風格を感じた。
1997.5 中央が橋殿(重文)、右が土屋(重文) 1997.5 細殿(重文)
1997.5 楼門(重文) 1997.5 四脚中門(重文)
 2.下鴨神社(賀茂御祖神社)  
 こちらも上賀茂神社と同じ成り立ちをもつ、双子のような神社である。東本殿、西本殿の2棟が国宝だが、見ることはできず、行かれるのは幣殿までである。重要文化財は31棟。周辺には糺の森が残っていて、こちらも国の史跡になっている。
1997.5 楼門(重文)
左右に西廻廊(重文)、東廻廊(重文)
1997.5 橋殿(重文) 左奥は細殿(重文)
1997.5 舞殿(重文) 1997.5 幣殿(重文)
 2度目の訪問は、雪景色をねらって東京から日帰りで訪れたが、空が暗くてあまりいい写真にならなかった。
2014.2 中門(重文)、東西楽屋(重文) 2014.2 神服殿(重文)
2014.2 供御所(重文) 2014.2 摂社三井神社棟門(重文)
、東西廊下(重文)、預屋(重文)
 3.東寺(教王護国寺)
 平安京造営の際に、南の入口である羅生門をはさんで、西寺とともに配置されたことに始まる。京都駅のホームからも見える五重塔は55m、日本一の高さである。五重塔と、金堂、御影堂、蓮花門、観智院客殿の計5棟が国宝、重要文化財は11棟ある。いつでも行かれると思っていたら、京都の世界遺産登録物件の中で最後の訪問になってしまった。五重塔のあたりは桜の名所でもあるが、まだ咲き始めだった。 
2011.4 五重塔(国宝)
2011.4 金堂(国宝) 2011.4 講堂(重文)
 2度目の訪問は、あらためて国宝、重文の建物をじっくり見ること。観智院客殿は特別公開期間しか見ることができないので、せめて塀越しにと思っていたが、修復中で姿が隠れていた。
2015.3 御影堂(国宝) 2015.3 蓮花門(国宝)
2015.3 慶賀堂(重文) 2015.3 南大門(重文)
2015.3 北大門(重文) 2015.3 北総門(重文)
2015.3 宝蔵(重文) 2015.3 灌頂院(重文)、東門(重文)
 4.清水寺
 平安京遷都以前からの寺院で、780年に後の征夷大将軍坂上田村麻呂により創建されたといわれ、810年に公認の寺院となった。その後たびたび火災にあい、現在の建物の多くは1633年家光の寄進により再建されている。「清水の舞台」がある本堂が国宝で、重要文化財は15棟。清水の舞台が桜の海に浮かんでいる姿は美しかったが、大混雑だった。
1992.12 仁王門(重文) 1992.12 奥ノ院(重文)
 1994.4 本堂(国宝)  1994.4 三重塔(重文)
 2020年は、青空に惹かれて久しぶりの訪問。どの建物も、ちょうど夕陽に映えていた。
2020.3 仁王門(重文) 2020.3 馬駐(重文)
2020.3 西門(重文)と三重塔(重文) 2020.3 鐘楼(重文)
2020.3 経堂(重文) 2020.3 開山堂(重文)
2020.3 北総門(重文) 2020.3 轟門(重文)
2020.3 朝倉堂(重文) 2020.3 地主神社(重文)
2020.3 釈迦堂(重文) 2020.3 阿弥陀堂(重文)、奥の院(重文)
2020.3 本堂(国宝) 2020.3 子安の塔(重文)
 6.醍醐寺  
 山の上まで広がる広大な寺院で、874年に山上に草庵が建てられたことに始まる。秀吉の太閤花見行列で有名な桜の名所。国宝は下醍醐に2棟、上醍醐に2棟、三宝院に2棟の計6棟あり、このうち五重塔は951年に建立された京都最古の建物。1994年の初訪問は、まさに太閤花見行列が行われている時で、身動きできないほどの人だった。 
1994.4 五重塔(国宝) 1994.4 金堂(国宝)
 2001年の訪問は紅葉がお目当て。いちばん見ごたえがあったのは特別名勝の三宝院庭園だったのだが、この時は撮影禁止だったので写真は無い。 
2001.11 五重塔(国宝) 2001.11 林泉の紅葉
 3度目の訪問は上醍醐へ。山道を1時間ほど登ってようやく辿りつく。薬師堂は平安時代のもので、醍醐寺の中でも五重塔に次いで古い。上醍醐にあった五大堂と経蔵は、昭和初期に焼失している。
2016.10 清滝宮拝殿(国宝) 2016.10 薬師堂(国宝)
2016.10 如意輪堂(重文) 2016.10 開山堂(重文)
 この時は、下醍醐は余った時間に少し見ただけ。夕方になると、驚くほど閑散としていた。
2016.10 金堂(国宝) 2016.10 三宝院唐門(国宝)
2016.10 清滝宮本殿(重文)
 三宝院の庭園が撮影できるようになったと聞いたので、4度目の訪問。紅葉の時期ほどのインパクトはなかったが、やはり美しいと思う。
2018.10 大玄関(重文) 2018.10 表書院(国宝)
2018.10 三宝院庭園(特別名勝) 2018.10 庭園側から見た唐門(国宝)
 7.仁和寺
 京都でも1・2を争うほど歴史のある寺院で、886年、光孝天皇の発願により建立されたのに始まり、904年には宇多法王の御室も建てられた。平安・鎌倉期に大いに栄えるが、応仁の乱によって一山すべて焼失。1634年になって、御所の建て替えにあたって紫宸殿ほか多数の建造物を譲り受けてようやく再興した。皇室出身者が門跡をつとめる門跡寺院の代表でもある。金堂は国宝で、重要文化財は14棟ある。 
1991.11 五重塔(重文)
1991.11 御殿庭園 1991.11 御殿庭園
 2019年に、文化財の建物めぐり。御殿庭園にある飛濤亭、遼廊亭という2つの茶室は、木々の中であまり見えなかった。
2019.10 二王門(重文) 2019.10 中門(重文)
2019.10 本坊表門(重文) 2019.10 飛濤亭(重文)と五重塔(重文)
2019.10 金堂(国宝) 2019.10 御影堂(重文)
2019.10 鐘楼(重文) 2019.10 経蔵(重文)
2019.10 観音堂(重文) 2019.10 九所明神(重文)
 10.高山寺  
 奈良時代に光仁天皇の勅願で創建されたという古い歴史を持ち、高雄では唯一国宝建築がある。訪れたときは紅葉ばかり気をとられて建物は注意していなかった。
1991.11 石水院(国宝)
 11.西芳寺(苔寺)
 奈良時代に行基が建立したと伝えられ、夢窓疎石が再興して庭を整えた。今のように苔に覆われるようになったのは比較的最近といわれる。以前は自由に見学できたが、今は申し込みが必要で、1時間ほど写経をしないと庭を見ることができない。それでも、生物のように盛り上がった一面の苔はまぶしいほどで、京都の庭園の中でも一・二を争うほど印象に残った。 
2003.6 庭園(特別名勝) 2003.6
 12.天龍寺  
 1339年、後醍醐天皇の菩提を弔うために、足利尊氏と夢窓疎石により開創されたもので、もとは梅壇寺や後嵯峨上皇の仙洞御所があった所である。室町時代には五山の1位または2位に位置づけられていたが、応仁の乱でほとんどが焼失し、秀吉の時代に本格的に復興された。幕末にも蛤御門の変で長州藩の陣所となり、多くが焼失したため、重要文化財級の建物は1つもない。庭園は夢窓疎石作の面影を残しており、特別名勝に指定されている。
1991.11 庭園(特別名勝) 1991.11 庭園(特別名勝)
 13.鹿苑寺(金閣)
 足利義満が山荘・北山殿として建てたもので、当時は豪華な御殿が建ち並んでいたが、応仁の乱で多くが焼失、残った金閣も昭和25年に僧の放火により焼失した。現在の金閣は復元されたものだが、池に移る姿はやはり絵になる。庭園は特別名勝と特別史跡に指定されている。
 
1991.11 金閣、庭園(特別名勝・特別史跡) 1991.11 金閣
 京都の冬景色を一度見たいと思っていたので、京都積雪のニュースを見て東京から日帰りで訪れた。真っ先に向かったのが金閣で、期待通りの美しさだった。
2014.2 金閣、庭園(特別名勝・特別史跡)
 14.慈照寺(銀閣)
 足利義政によって1428に造営された山荘で、義政の死後禅寺となった。東山文化を代表する寺院である。銀閣と東求堂は国宝、そして庭園は特別名勝と特別史跡に指定されている。
 1991.11 銀閣(国宝) 1991.11 東求堂(国宝)
庭園(特別名勝・特別史跡)
 15.龍安寺  
 1450年、管領の細川勝元が大徳寺家の別荘を譲り受けて開創。応仁の乱でほとんど焼失し、その後再興されている。有名な石庭も室町末期のもので、特別名勝に指定されている。1986年の京都初訪問の際にも訪れたが、やはり紅葉の方がいい。  
1991.11 方丈庭園(特別名勝) 1991.11 庭園(名勝)
 16.本願寺(西本願寺)  
 浄土真宗本願寺派の総本山で、1272年に京都の大谷に廟堂を建てたのが始まりとされる。その後大阪などに移転をくりかえし、1591年に現在の地を秀吉から寄進されて移った。正式名称は「本願寺」だが、真宗大谷派の東本願寺と区別するため西本願寺と呼ばれる。国宝が6棟、重要文化財も6棟あるが、国宝のうちいつでも見られるのは唐門のみ。伏見城からの移築とも、聚楽第からの移築とも言われるが、確かなことはわからない。南側の奥まった所にあるため、知らないと見損ねてしまう。
2003.6 唐門(国宝)
 京都駅から徒歩圏で、いつでも行かれると思うとなかなか行かず、2015年にようやく2度目の訪問。通常訪れるのは御影堂と阿弥陀堂で、それぞれ734畳と492畳という巨大な建物である。
2015.3 御影堂(重文) 2015.3 阿弥陀堂(重文)
 唐門の北側に、国宝の書院、黒書院、伝廊、北能舞台をはじめとする建物群がある。ここは、予約をするか特別公開をねらわないと入ることができず、入っても撮影禁止である。外から書院の屋根は見えたが、他の国宝3棟はまったく見えない。
2015.3 玄関(重文) 2015.3 奥の屋根が書院(国宝)
中央手前の屋根が南能舞台(重文)
 南東の隅には、国宝の飛雲閣があるのだが、ここも通常は非公開。塀越しに見ることしかできなかった。
2015.3 飛雲閣(国宝) 2015.3 鐘楼(重文)
 17.二条城
 1603年家康によって建造が始められた、将軍の居館。大政奉還もここで行われた。国宝6棟、重要文化財22棟という文化財の宝庫である。初訪問は、桜の時期で、観光客がとても多かった。
1994.4 二の丸庭園(特別名勝) 1994.4 唐門(重文)
 2度目の訪問は2018年なので、24年ぶりとなった。二条の駅から入口の東大手門はいちばん遠い側なので、外堀沿いにずっと歩くことになる。
2018.1 西南隅櫓(重文) 2018.1 東南隅櫓(重文)、北方多門塀(重文)
2018.1 東大手門(重文) 2018.1 唐門(重文)
 二の丸御殿は、6棟の建物がつながっていて、6棟すべてが国宝。内部も見学できるが、撮影禁止なので写真は無い。
2018.1 遠侍と車寄(国宝) 2018.1 大広間(国宝)、式台(国宝)
2018.1 黒書院(国宝)と二の丸庭園(特別名勝) 2018.1 白書院(国宝)
 本丸櫓門をくぐって内堀の中に入ると本丸。現在の本丸御殿は、京都御所に合った旧桂宮邸御殿を明治時代に移築したもので、非公開。本丸の西南隅にある天守台に登れるが、本丸御殿以外はあまり見えない。
2018.1 本丸櫓門(重文) 2018.1 桃山門(重文)と内堀
2018.1 本丸御殿玄関(重文) 2018.1 本丸御殿御浄御殿(重文)
 本丸西虎口から西側に出て、北側の建物群を見ながら入口に戻る。途中に仕切門があるのが面白い。 
2018.1 西北土蔵(重文) 2018.1 北中仕切門(重文)
2018.1 北大手門(重文) 2018.1 台所(重文)
京都市・大津市
 5.比叡山延暦寺
 都の鬼門を守るため、桓武天皇の命により最澄が建立。標高848mの山上にある天台宗の本山寺院である。戦国時代には信長の焼き討ちに遭い、現在見ることのできる建物の多くはその後に再建された。それでも、根本中堂が国宝に指定され、重要文化財は19棟ある。 
1993.8 根本中堂(国宝) 1993.8 戒壇院(重文)
 2023年に30年ぶりの訪問。初めて横川エリアも訪れた。西塔エリア、東塔エリアに比べると人が少なく、雰囲気がよかった。
2023.6 四季講堂(重文) 2023.6 横川鐘楼(重文)
2023.6 元三大師御廟拝殿(重文)
 バスで西塔エリアに戻り、東塔エリアまで歩いて巡る。途中までは時々陽が射していたが、浄土院のあたりから土砂降りになってゆっくり見学するどころではなくなった。
2023.6 釈迦堂(重文) 2023.6 常行堂(左)、法華堂(右)と廊下(いずれも重文)
2023.6 西塔鐘楼(重文) 2023.6 相輪橖(重文)
2023.6 瑠璃堂(重文) 2023.6 浄土院拝殿(重文)
2023.6 山王社(重文) 2023.6 阿弥陀堂(重文)
2023.6 大講堂(重文) 2023.6 文殊楼(重文)
宇治市
 8.平等院
 西方極楽浄土を出現させるため、藤原道長の別荘「宇治殿」を寺院にしたもの。鳳凰堂は1053年に藤原頼通が建立しており、奈良県内を除くと醍醐寺五重塔に次いで古い建物である。1996年の藤の季節に初訪問したのだが、カメラ故障で写真が1枚も残っていない。2度目の訪問時は快晴の青空に恵まれたが、逆光なのが残念である。
2014.11 平等院鳳凰堂(国宝)
2014.11 平等院鳳凰堂(国宝) 2014.11 観音堂(重文)
 9.宇治上神社  
 あまり知られていない所だが、平安時代に建立された、日本最古の神社建築が残る。世界遺産に登録されて始めてその名を知ったほどである。本殿は、中に3つの内殿があるという造りなのだが、中の様子は見られなかった。  
1996.5 本殿(国宝)
 平等院再訪の際、22年ぶりに訪れたが、本殿は修復中でカバーがかけられていた。1ヶ月後には修復が完了したようなので、タイミングが悪かった。  
2014.11 拝殿(国宝) 2014.11 摂社春日神社本殿(重文)

古都京都の文化財