リトアニアは、バルト三国の他の2国と異なり、ドイツやスウェーデンなどの勢力の侵入を防いで16世紀まで独自の国家を築いた。そして、ゲティミナス大公の時代には、現在のベラルーシ、ウクライナの大半とロシアの南西部を支配する大国となっている。しかし、ポーランドと共同国家になって独自性が失われ、やがてロシアに併合されていくのである。

 1236年 サウレの戦い、帯剣騎士団を破り侵入を阻止
 1253年 ミンダウガス大公、リトアニア初の王位に就く
 1316年 ゲティミナス大公即位、黒海沿岸まで領土を拡大する
 1385年 ヨガイラ、ポーランド王女と結婚し同君連合となる
 1410年 タンネンベルグの戦い、チュートン騎士団を破り侵入を阻止
 1569年 ポーランドと共同国家になる(実質的な併合)
 1795年 第3次ポーランド分割、ロシア領となる
 1918年 リトアニア独立宣言
 1920年 ポーランド、ヴィリニュスを占領。首都がカウナスとなる。
 1940年 ソ連に併合される
 1990年 リトアニア独立宣言

リトアニア
 トラカイ
 トラカイは、1323年にヴィリニュスに遷都するまで、リトアニアの首都だったところである。城は14世紀後半に建設されたもので、荒廃していたが戦後のソ連時代に復元されている。
 ここがバルト三国の旅の最初を飾るはずだったのだが、あいにくの大雨。せっかく湖上の美しい城なのにまったく絵にならない。内部も見所は少なく、ほとんど記憶に残っていない。
2014.9 トラカイ城 2014.9 トラカイ城
2014.9 トラカイ城内部
 ヴィリニュス(世界遺産)
 ヴィリニュスは、1323年にゲティミナス大公によって都に定められた。しかしポーランドと共同国家になると重要性は薄れ、第1次大戦後に独立した際もここはポーランドに占領されてしまった。1990年の再独立後は首都に返り咲いている。
 トラカイから戻って、まずは旧市街から離れた聖ペテロ・パウロ教会へ。1668年に建設が始まった教会で、見どころは漆喰彫刻。その数の多さに圧倒された。
2014.9 聖ペテロ・パウロ教会 2014.9 聖ペテロ・パウロ教会内部
 バスで旧市街に入って、大聖堂の前で降りる。ここは18世紀に大改築されているので外観は比較的新しい。中にある聖ガジミエルの礼拝所は17世紀のもので、やはり彫刻が素晴らしかった。
 
2014.9 大聖堂 2014.9 大聖堂内 聖ガジミエルの礼拝所 
 大聖堂の前から旧市街散策。といっても、すぐトイレ休憩を兼ねて琥珀ミュージアムに入ってしまい、その後は聖アンナ教会の外観見学のみ。燃えるように赤い教会は確かに美しいが、天気が悪いので写真映りはよくない。
 次は展望台からの眺めを楽しむということだったので、ゲティミナス城のある丘に登るだろうと楽しみにしたが、旧市街から少し離れた道路脇に行っただけ。この日の観光は不満だらけだった。
 
2014.9 聖ヨハネ教会  2014.9 聖アンナ教会
  1時間だけ自由時間がもらえたので、夜明けの門から旧市街に入る。高い所からの旧市街をちゃんと見たいが、ゲティミナス城まで行く時間はなさそうなので、ここでいちばん高い聖ヨハネ教会の塔に登った。眼下に赤い屋根が集まる風景はやはり素晴らしい。ようやくこの街のいい所を見つけることができた。
2014.9 夜明けの門の礼拝所 2014.9 聖ガジミエル教会
2014.9 聖ヨハネ教会より 旧市街北側
中央左がゲティミナス城のある丘
2014.9 聖ヨハネ教会より 旧市街南側
中央に聖ガジミエル教会
2014.9 城壁
 ☆世界遺産「ヴィリニュス歴史地区」 1994年登録
 カウナス(世界遺産)
 カウナスは、1920年にヴィリニュスがポーランドに占領されてから、1940年のソ連併合までの間、リトアニアの首都となった街。第2次世界大戦が始まる中、杉原千畝さんが命のビザを発給して多くのユダヤ人を救ったのも、この街である。そのため、日本のツアーは必ずといっていいほどこの街を訪れる。
 当時の日本領事館は、郊外の普通の住宅地にある。中ではビデオの上映があり、わかりやすく作られていると思ったら日本で製作されたものだった。
2014.9 旧日本領事館
  続いて旧市街散策。展望台から見ると、本当に小さい旧市街であると感じる。15世紀に建てられた聖ペテロ・パウロ教会内部の彫刻が印象に残った。
 なお、カウナスはモダニズム建築都市として2023年に世界遺産に登録された。どの建物が登録されたかの情報が見つからないが、旧市街にもあるようである。
2014.9 カウナス旧市街
左手前がヴィタウタス大公教会で、その後ろに市庁舎。右奥が聖ペテロ・パウロ教会
2014.9 市庁舎
2014.9 聖ペテロ・パウロ教会 内部 2014.9 カウナス城
 ☆世界遺産「モダニズム建築都市カウナス 楽天主義の建築」 2023年登録
 シャウレイ
  カウナスから北上して、ラトヴィア国境に向かう途中に、十字架の丘がある。ロシアに抑圧されていた時代に十字架が立てられるようになったと言われ、リトアニア民族団結の象徴となった。見学している間にも、十字架を持って歩いている人を見かけた。
2014.9 十字架の丘

リトアニア大公国