現在の万葉線の歴史は複雑で、新湊の前後で大きく異なる。新湊〜越ノ潟間は越中鉄道として開業した射水線の一部で、戦時中に富山地方鉄道に合併していた。一方、高岡駅前〜新湊間は富山地方鉄道が戦時中に建設を始めた路線だが、1959年に分離して加越能鉄道となる。さらに、富山新港の整備により射水線が分断されたため、越ノ潟以西は加越能鉄道が引き継いでいる。加越能鉄道は、利用者の減少により2002年に路線廃止の意向が示されたが、高岡市等が第三セクターを設立し、万葉線として再スタートをきっている。
2015.2 六渡寺〜庄川口間
富山地方鉄道・高岡軌道線
 1948年の開業時は、日立電鉄と大沼電鉄の中古車が使用されたが、1950年に登場した5010形に置き換えられる。1959年に加越能鉄道となった際には5010形を8両引き継ぎ、さらに1967年に6両を譲り受けたが、翌年に8両を富山地方鉄道に返却した。残る6両も、1971年までに営業を終えるが、5022が除雪用に改造される。1992年に車籍が無くなった後も機械扱いで残り、今は新吉久駅の前で保存されている。
2018.12 5010形:新吉久駅
 形式 番号  前歴 両数 登場 消滅 備考
1形 1-3 日立デハ1-3 3 1948 1951
10形 10-12 日立デハ4-6 3 1948 1951?
13形 13 大沼デ3 1 1948 1951?
5010形 5021-30、37-40 新造 14 1950 1992.4
加越能鉄道・万葉線
 7000・7060形
 基本的には富山地方鉄道の7000形と同型なので、番号が重複しないように7051から始まっている。7060形は、密着式連結器が装備されたので形式が分けられている。いずれも2008年に消滅したが、7052がいすみポッポの丘、7061が二塚かっぱ村、7062が伏木貨物ヤードで保存されている。
 
1991.8 7000形:高岡駅前
 
2017.4 7052:いすみポッポの丘  2017.7 7062:伏木貨物ヤード
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
7000形 7051-53 3 新造 1961.7 2008.12
7060形 7061-62 2 新造 1965.12 2008.4
 7070形  
 7000・7060形と似ているが、側面の窓配置等が異なる。 
 
2015.2 越ノ潟駅付近 2018.12 新吉久付近 
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
7070形 7071-76 6 新造 1967.7
万葉線引継ぎ後
 MLRV1000形  
 2両連接の低床車で、愛称は「アイトラム」。ほぼ同型車が岡山電気軌道にも導入されている。万葉線としては、実に36年ぶりの新形式である。 
 
2018.12 中新湊駅 2017.10 米島口 
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
MLRV1000形 1001-06 6 新造 2003.12-09.3
形式別車両数
種類 形式 1950 1959 1964 1967 1972 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
EC 1形等 7
5010形 8 8 14 1 1 1
7000形 3 3 3 3 3 3 3 2
7060形 2 2 2 2 2 2 1
7070形 6 6 6 6 6 6 6 5 5
  MLRV1000形 2 6 6 6
年表

  1933.12.25 越中鉄道新富山〜新伏木口(現・六渡寺)間19.9km全通
  1943.1.1  合併により富山地方鉄道射水線となる
  1948.4.10 地鉄高岡〜伏木港間7.3km開業
  1951.4.1  米島口〜新湊(現・六渡寺)間3.6km開業し高岡軌道線全通
  1959.4.1  新高岡〜新湊間、米島口〜伏木港間を加越能鉄道に譲渡
  1966.4.5  越ノ潟〜新湊間4.9kmを加越能鉄道に譲渡
  1971.9.1  米島口〜伏木港間2.9km廃止
  2001.3.30 万葉線株式会社設立
  2002.4.1  新高岡〜越ノ潟間12.9kmを万葉線に事業譲渡

万葉線(加越能鉄道)