戦前の三重県には数多くの軽便鉄道が存在したが、ここもその1つ。前身は松阪軽便鉄道で、戦時中の合併により三重交通松阪線となっている。三重交通の北勢線・湯の山線・志摩線などは、いずれも1965年に近鉄に合併されて現存するが、利用者が少なく観光資源も無い松阪線だけは、合併の前年に廃止された。

  1912.8.17 松阪軽便鉄道松阪〜大石間開業(762mm、蒸気)
  1919    松阪鉄道と改称(28.1.20松阪電気鉄道と改称)
  1927.11.16 松阪〜大石間電化
  1944.2.11 合併により三重交通松阪線となる
  1964.2.1  三重交通の鉄道部門が分離し三重電気鉄道となる
  1964.12.14 全線廃止
   1941 1949 1955 1960 1963
 輸送人員(千人/日) 2.3 3.7 3.5 4.1 4.4
 輸送密度(千人/日) 1.1 2.0 1.8 2.1 2.2
 貨物輸送量(万t/年) 0.5 0.1 0.1 0.1
廃線跡
 松阪線(松阪〜大石20.2km)
 松阪の市街地で、松阪線と伊勢電気鉄道が交差していたが、現在ではどちらも道路に転用されて交差点になっている。その先も廃線跡の道路が続くが、国道42号に近づいた所で途切れ、国道の脇に路盤が残っている。
2015.2 花岡駅付近@
正面の道は伊勢電気鉄道跡、左から斜めに交差する道が松阪線跡
2015.2 駅部田〜蛸路間A
 蛸路駅の手前で国道と分かれ、未舗装の道路となる。進んでいいものかと不安になりながら先へ行くと、蛸路駅跡のホームが現れた。下蛸路駅の手前まで未舗装で、このあたりが松阪線のハイライトである。
2015.2 蛸路駅跡B 2015.2 蛸路〜下蛸路間C
 下蛸路駅の前後は、舗装はされているものの細い道で雰囲気が残るが、射和からは立派な県道となって、鉄道の面影が消える。ここから大石まで、バス停の名前から駅の位置は何となくわかるが、鉄道を思わせるものは何も無かった。終点の大石駅はバスターミナルになっている。
2015.2 下蛸路駅跡D 2015.2 射和駅跡E
2015.2 御麻生薗駅跡F 2015.2 大石駅跡G
 

三重交通松阪線