現在のベリーズも、マヤ古典期に最も栄えた地域の一部である。とくにカラコルは、マヤの盟主と言われたティカルと50km程度しか離れておらず、ティカルと覇権を争った都市国家であった。

ベリーズ
 カラコル遺跡
 初期のカラコルは、最も強大だったティカルに従属していたと考えられているが、562年にティカルを破ってマヤ世界の中心都市の1つとなる。しかしカラコルの全盛期は100年ほどで、680年にナランホに敗れて衰退した。中心となるカーナ神殿を始め、遺跡はよく残っていて、世界遺産になってもいいのではないかと思う。
 サンイグナシオの街から車で3時間。ほとんど未舗装で、出発前に大雨が降ったので道路の状況が心配されたが、予定通りに到着した。再び雨が降り出さないうちにということで、入り口付近の小さい遺跡をとばしてカーナ神殿へ。高さは43mと、ティカルより少し低いが、幅が100mもあるので威圧感がある。下から見るとわかりにくいが、上部には小さな広場があって、そのまわりを3つの神殿が囲むという珍しい構造であった。カーナ神殿の正面には神殿B5があるが、半分は発掘されず森のままになっていた。
 2015.5 カーナ神殿 2015.5 カーナ神殿上部
神殿B18から神殿B19(左)とB20を見る
2015.5 カーナ神殿最奥のB19からの眺め
奥はカーナ神殿正面にある神殿B5の一部
2015.5 B20にあるレリーフ
 カーナ神殿から森の中を進むと、グループAと呼ばれる建物群がある。木製まぐさ神殿という変な名前の神殿は、他にはない複雑な形をしていた。神殿A2、A3はそれほど高くはないが、どちらも上に登ることができた。 
 2015.5 神殿A3 2015.5 神殿A2
神殿A3上部より
 2015.5 木製まぐさ神殿 2015.5 球技場
 さらに奥に進むと南のアクロポリスがあるが、ガイドはほとんど説明せず通過したので、走って遺跡の中を見に行った。入口へ戻る途中には、ここから発掘された祭壇やステラが屋根の下に集められているところがあった。
 2015.5 南のアクロポリス 2015.5 祭壇12
 カルペチ遺跡
 カルペチ遺跡は、サンイグナシオの街を見下ろす丘の上にある。宿泊したホテルも同じ丘の上にあって、歩いて5分ほどで遺跡に到着した。遺跡に入るとまず球技場、続いて広場Bに出る。ここにはB1、B2、B3という3つの神殿が並んでいて、B2は登ることができた。広場の反対側にA1があるが、木が多くてあまり見通せない。
2015.5 球技場 2015.5 神殿B2、B1
 建造物A2が門のようになっていて、そこをくぐると広場A、そしてカルペチ最大の神殿A1がある。A1は左側面に登る階段があるが、右側の斜面からも登ることができた。ここも木が多くて景色はあまり良くないが、アーチを複雑に組み合わせた建造物A2の様子がよくわかった。
2015.5 神殿A1 2015.5 建造物A2
 神殿A1の裏側には広場Eがある。この辺りは建物が複雑で、広場Fに向かって高低差もあるので迷路の中にいるような感覚である。マヤ・アーチがいくつも残っていて印象に残る。
 最後にもう一度広場Aへ戻ると、入り口と反対方向に抜ける通路を見つけた。ここにもマヤ・アーチがあってなかなかいい雰囲気だった。
2015.5 建物E-1
奥の山は神殿A1
2015.5 広場Aへの入口
 シュナントゥニッチ遺跡
 カルペチ遺跡の次は、グアテマラ国境のすぐ近くにあるシュナントゥニッチ遺跡へ。車ごと渡し船に乗って川を渡る珍しい所があるが、それを含めても30分ほどで到着した。
 ここは、ティカルやカラコルの力が衰えた後の時代に建設されたと考えられているが、詳しいことはわかっていない。遺跡の構造は単純明快で、エル・カスティーヨ、A1、A11の3つの大きな建造物が一直線に並んでいる。エル・カスティーヨはベリーズの紙幣にも描かれているもので、青空に恵まれてとても絵になる風景だった。
 
  2015.5 エル・カスティーヨ(奥)と建造物A1 2015.5 エル・カスティーヨ
 エル・カスティーヨの側面には、漆喰装飾が残されている。古く見えないのは、保護のために樹脂製のカバーが掛けられているからである。上からの眺めは雄大で、隣国グアテマラの山並みも見えている。
 
  2015.5 エル・カスティーヨ側面の装飾 2015.5 エル・カスティーヨ前面の居室
 
  2015.5  エル・カスティーヨ上部より
建造物A1(中央)とA11(奥)
2015.5 建造物A11
 ラマナイ遺跡
 ラマナイは、紀元前の時代から建造物が建てられ、7〜8世紀までの長い期間栄えていたと考えられている都市である。しかし王の存在などはわかっていないようで、まだまだ謎に包まれている。
 この遺跡は、オレンジウォークからニューリバーをボートで遡って行く。途中にはワニやサル、多くの鳥が見られて、移動も観光の一部である。朝、バスの故障で1時間ほどロスしたので遺跡到着は12時近くとなり、先に食事をしてから観光になった。まずは一番近いジャガー神殿。ジャガーのレリーフがあることが名の由来だが、あまりジャガーに見えない。上に登れたが、大神殿などの他の建造物は見えなかった。
2015.5 ジャガー神殿 2015.5 ジャガー神殿のレリーフ
2015.5 居住区 2015.5 球技場 
 居住区などを見ながらジャングルの中を進むと、高さ33m、ラマナイで最も高い大神殿が現れる。以前は正面の崩れかけた階段を登っていけたようだが、そこは通行禁止になり裏側に立派な階段がつくられていた。上に登るとジャングルの海やニューリバーが見えて、やはり高い所は気持ちいい。
2015.5 大神殿 2015.5 大神殿の上より
 さらに奥へ進むとマスク神殿。ここにはパンフレットによく登場するレリーフがある。マヤの遺跡にはさまざまなレリーフが残されているが、このように明らかな人の顔は珍しい。マヤより古いオルメカ文化の影響を受けているのではないかと思う。このレリーフも樹脂製のカバーが掛けられているので、見えているのはオリジナルではないが、黒ずんだ色になっているのでそれなりに雰囲気があった。
 
2015.5 マスク神殿 2015.5 マスク神殿のレリーフ 

マヤ文明 -ベリーズ