明治日本の産業革命遺産 製鉄、鉄鋼、造船、石炭産業

 非西洋世界における近代化の歴史を伝えるものとして、2015年に日本で19番目の世界遺産として登録された。日本で初めて、稼働中の資産が含まれる世界遺産である。東北地方から九州地方まで8県にまたがっており、23の資産が対象となっている。

 
 1.萩反射炉
 2.恵美須ヶ鼻造船所跡
 3.大板山たたら製鉄遺跡
 4.萩城下町
 萩は、薩摩藩とともに日本の近代化をすすめた、長州藩の城下町。明治維新前の1856年に、反射炉や造船所が建設された。城下町は江戸時代のものなので、なぜ世界遺産対象になっているのか謎である。  
2012.10 堀内地区 2012.10 堀内地区
2012.10 平安古地区
 5.松下村塾
 吉田松陰が講義した私塾。ここから明治維新に深く関わる高杉晋作、伊藤博文、山形有朋らが輩出された。萩の城下町から少し離れているので、この時はレンタサイクルで訪れた。  
1989.8 松下村塾(史跡)
鹿児島
 6.旧集成館
 7.寺山炭窯跡
 8.関吉の疎水溝
 薩摩藩が近代化のために整備した工場群で、集成館事業と呼ばれる。反射炉や機械工場、紡績工場などが建設された。関連の深い2ヶ所の遺構とともに、世界遺産の構成資産となっている。  
2017.3 旧鹿児島紡績所技師館 2017.3 旧集成館機械工場
韮山
 9.韮山反射炉
 1857年に江戸幕府の直営で建設された反射炉で、実際に大砲を鋳造した実用炉としては、日本で唯一現存しているものである。  
2015.7 韮山反射炉
釜石
 10.橋野鉄鉱山
 1858年に建設された、日本で現存する最古の洋式高炉跡。製鉄の街釜石のルーツとなったところで、採掘場から運搬路、高炉まですべての遺構が残っている。  
佐賀
 11.三重津海軍所跡
 佐賀藩の訓練場・造船所で、1865年に日本初の実用蒸気船を建造したところである。日本で現存する最古のドライドックの遺構が残っている。とは言っても、遺構は埋め戻されて公園になっているので、昔の姿を想像するのは難しい。
  
2021.11
長崎
 12.小菅修船場跡
 13.三菱長崎造船所 第三船渠
 14.長崎造船所 占勝閣
 15.長崎造船所 ジャイアント・カンチレバークレーン
 16.長崎造船所 旧木型場 
 いずれも、現在の三菱重工業長崎造船所内にあるもの。小菅修船場は日本で初めての蒸気機関を用いた西洋式ドックで、カンチレバークレーンも大型のものとしては日本初であった。また、第三船渠は完成当時東洋最大規模の大型ドックで、木型場も国内最大を誇っていた。占勝閣は迎賓館として使われたもので、今も現役である。 
2016.1 第三船渠
2016.1 ジャイアント・カンチレバークレーン 2016.1 占勝閣
 17.高島炭坑  
 1868年に、日本で初めて蒸気機関で立坑を開削した、近代的な炭坑。当初は佐賀藩とグラバー商会の共同経営だったが、後に三菱の経営となり、1986年に閉山している。  
 18.端島炭坑  
 1870年に石炭の採掘が始まった炭坑の島。最盛期には高層住宅が立ち並び、日本一人口密度が高いと言われた。1974年に閉山した後は無人となり、ビル群だけが残る異様な雰囲気から、軍艦島と呼ばれている。  
2016.1 軍艦島 2016.1 軍艦島
2016.1 軍艦島 2016.1 軍艦島
 19.旧グラバー住宅  
 高島炭坑や小菅修船所などを経営したグラバーの邸宅で、日本最古の木造洋風建築。現在はグラバー園の中にある。
2016.1 旧グラバー住宅
三池
 20.三池炭坑、三池港  
 1873年に操業が始まり、後に三井の経営となった、日本最大規模の炭坑の1つ。宮原坑、万田坑と、専用鉄道敷跡、および三池港が世界遺産の対象となっている。
2015.12 万田坑 2015.12 万田坑
2015.12 宮原坑
2009.11 専用鉄道敷跡 2009.11 専用鉄道敷跡
 21.三角西(旧)港  
 明治期の港湾の中では、唯一完全な状態で残っているもの。当時の埠頭のほか、海運倉庫や郡役場、簡易裁判所などが残っている。
八幡
 22.官営八幡製鐵所
 日本最大規模の製鉄所で、明治期の重工業化のシンボル的存在。現在も稼働しており、見学することはできないが、1899年に建てられた旧本事務所は見える所にある。
2009.5 東田第一高炉跡 2016.9 旧本事務所 
 23.遠賀川水源地ポンプ室
 八幡製鐵所で使用する工業用水を、遠賀川から取水する施設。1910年に建設され、今も現役である。