古代のグルジアは、東部と西部で異なる歴史を持つ。西部には紀元前13世紀頃からコルキス王国が成立し、アルメニアに栄えたウラルトゥと覇権を争うが、紀元前83年ポントスに占領されて滅亡した。一方、東部では紀元前4世紀頃までにイベリア王国が成立、ペルシャやローマの支配を受けながらも存続する。そして、ローマの属国となっていた334年、世界で2番目、ローマ帝国より早い時期にキリスト教国となった。

 BC13C頃 西グルジアにコルキス王国成立
 BC4C頃 東グルジアにイベリア王国成
 BC83年 コルキス王国、ポントスに占領される
 BC1世紀 イベリア王国、ローマに従属する?
 250年頃 イベリア王国、ペルシャの属国となる
 298年  イベリア王国、ローマの属国となる
 317年  ミリアン3世、キリスト教を国教とする
 363年  ササン朝支配
 502年  イベリア王国、トビリシ遷都
 645年  イベリア王国、ペルシャの属国となる

グルジア・カルトゥリ地方
 ムツヘタ(世界遺産)  
 紀元前3世紀頃からのイベリア王国の都。334年にゴルガザリ王がキリスト教を国教とした際、最初に教会を建てた、グルジア正教発祥の地でもある。現存する最も古い教会は6世紀のジュワリ聖堂で、ここはグルジアにキリスト教を広めた聖ニノが、最初に十字架を建てた場所という伝説がある。ムツヘタでは、このジュワリ聖堂とバグラト朝時代のスヴェティ・ツホヴェリ聖堂の2ヶ所が世界遺産に登録されている。
 ジュワリ聖堂では、まず少し離れた所でバスを降りて写真を撮った。近づくと赤い屋根が見えなくなってしまうので、ここからが最も絵になる。聖堂内部は、中央に木製の大きな十字架があって印象的だったが、残念ながら撮影はできなかった。ここは丘の上にあるため、ムツヘタ市街を見下ろす眺めもすばらしかった。
2011.8 ジュワリ聖堂 2011.8 ジュワリ聖堂
2011.8 ジュワリ聖堂のレリーフ 2011.8 ジュワリ聖堂よりムツヘタ市街
 ☆世界遺産「ムツヘタの文化財」 1994年登録
 トビリシ  
 イベリア王国は、6世紀はじめにトビリシに都を遷す。この時代に建てられたのがアンティスハティ教会で、ジュワリ聖堂とは対照的に直線的な三廊式バジリカである。
 ここは予定された市内観光には入っていなかったので、朝の散歩で訪れた。実は前日も旧市街を歩き回ってここだけ見つけられなかったのだが、川の方から行ったらすぐわかる場所にあった。教会の近くには積み木を傾いたまま積み重ねたような塔があって、こちらもとても気になったが未だに何かわからない。
 
2011.8 アンチスハティ教会 2011.8 アンティスハティ近くの建物

古代イベリア王国