戦後に開業した新しい私鉄で、当初は砂鉄輸送のウェイトが大きかったようである。東北本線が複線化された際にルートが変わったため、旧線を借り受けて野辺地まで延伸した。しかし国鉄が民営化され、野辺地までの用地買い取りを要求されたことが廃止のきっかけになっている。

  1962.10.20 千曳(のちの西千曳)〜七戸間開業
  1968.8.5   野辺地〜西千曳間開業
  1997.5.6   全線休止
  2002.8.1   全線廃止 
1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995
 輸送人員(千人/日) 0.5 0.6 0.4 0.4 0.3 0.2 0.1
 輸送密度(千人/日) 0.21 0.17 0.11 0.16 0.12 0.07 0.04
 貨物輸送量(万t/年) 3.2 2.5 3.4 3.3
営業係数 135 197 151 139 203 292 317
営業中
 鉄道なのに4段ギア、クラッチのあるレールバスは、私の乗ったローカル私鉄の中でも最も印象に残っている。観光用として存続する話もあり、廃止でなく休止扱いだったので期待していたが、復活はなかった。 
1991.2 七戸駅にて 1991.2 七戸駅
廃線跡
 野辺地〜七戸20.9km
 廃線から12年後、西千曳の駅跡は荒れ果てている。草むらの中に、辛うじてホームが見えていた。  
2009.12 西千曳駅跡@ 2009.12 西千曳〜後平間A
 後平駅もホームが残っていて、雰囲気はいい。下調べによると坪川の先にはガーター橋が残されているはずだったのだが、橋脚だけになってしまっていた。
2009.12 後平駅跡B 2009.12 坪川〜道ノ上間C
やや左に橋脚が見える
 天間林駅もホームが残るが、草むらの中でよく見えない。七戸駅の手前では、カーブを描く雰囲気のいい道床跡を見つけた。
2009.12 天間林駅跡D 2009.12 盛田牧場前〜七戸間E
 終点の七戸は、駅舎やホーム、広々とした構内がすべて保存されている。車庫の中にレールバスも保管されているはずだが、この時は見ることができなかった。
2009.12 七戸駅跡F 2009.12 七戸駅跡F
  
車両
 南部縦貫鉄道に在籍した車両は、DC4両、DL3両の計7両。このうち、廃止時まで残っていた6両すべてが、七戸駅跡で保存されている。動態保存の車両も多く、イベント時には車庫外で展示される。
種類 番号 両数  特徴  登場 消滅 備考
DC キハ101-102 2 10296mmレールバス 1962 2002
キハ103 1 12456mm液体式 1963 1980 もと常総筑波キハ302
キハ104 1 20000mm液体式 1980 2002 もと国鉄キハ1045
DL DB11 1 4500mmB形 1962 2002
D451 1 11250mmB-B形 1962 2002
DC251 1 7050mmC形 1973 2002 もと羽後DC2
 キハ101・102
 全長10mあまりのレールバスで、開業時から廃線になるまで、旅客輸送の主力として活躍した。廃線後も動態保存され、イベント時に体験乗車が行われている。
2023.10 キハ101:七戸駅跡 2023.10 キハ102:七戸駅跡
 キハ104
 国鉄のキハ10形を譲り受けたもので、1956年製。南部縦貫鉄道唯一の20m級大型車である。おもに朝ラッシュ時に使用された。国鉄キハ10形唯一の動態保存車となっている。
2023.10 七戸駅跡
 D451
 南部縦貫鉄道開業時に、貨物輸送用として導入されたもの。1984年の貨物輸送廃止後は、ほとんど使用されなかった。
2023.10 七戸駅跡
 DC251
 もと羽後交通DC2で、1959年に製造されたもの。1973年に入線した。イベント時には自力走行する姿を見ることができる。
2023.10 七戸駅跡
 DB11
 登場時は車籍のないモーターカーであったが、1964年に車籍をとった。工事用や除雪用として活躍していた。
2023.10 七戸駅跡

南部縦貫鉄道