1960年に登場した、日本初の特急型気動車。初期車の先頭はブルドックと呼ばれたキハ81形で、1961年から量産されたキハ82形は貫通先頭車となっている。機関は新たに開発されたDMH17H(出力180ps)。台車は、ペデスタル式で空気ばねを採用したDT27・TR67で、キハ82形以降はディスクブレーキ付のDT31A・TR68に変更された。制動はDARS。最高運転速度は100km/h。1967年までに384両製造、全国に特急網を広げる立役者となった。
国鉄
 キハ81形
 6両のみが製造された、ブルドックスタイルの先頭車。当初は故障が多発したが、客車に比べて大幅なスピードアップを実現した。東北線電化後は「つばさ」「いなほ」「くろしお」で使用され、1979年までに全車廃車。キハ81-3が大阪の交通科学博物館で保存され、交通科学博物館の閉館後は京都鉄道博物館に移設されている。

  1960.12.10 特急「はつかり」にて営業運転開始
  1968.9.10 東北線電化により「はつかり」運用終了、「つばさ」に転用
  1969.10.1 特急「いなほ」「ひたち」運転開始、「つばさ」運用終了
  1972.10.2 羽越線電化により「いなほ」「ひたち」運用終了、「くろしお」に転用
  1978.10.2 紀勢線電化により「くろしお」運用終了
 
2016.6 キハ81-3:京都鉄道博物館
 キハ82形
 キハ81形の成果を踏まえた量産車で、1961年に北海道から九州まで一斉に投入された。増備は1971年まで続き、四国以外の非電化幹線で活躍。しかし電化の進展やキハ181系、キハ183系への置き換えにより数を減らし、JRに引き継がれたのはJR北海道の18両とJR東海の50両のみだった。最後の定期運用は特急「南紀」で、1992年に定期運用を終了した後も保存目的で4両が車籍を残していたが、2009年3月に車籍を抹消されている。

  1961.10.1 特急「おおぞら」「ひばり」「つばさ」「白鳥」「かもめ」「みどり」
        「へいわ」「まつかぜ」にて営業運転開始
  1964.10.1 特急「おおとり」「やまばと」運転開始
  1965.3.1 特急「くろしお」「あすか」運転開始
  1967.10.1 九州に配置、特急「有明」運転開始
  1968.10.1 特急「ひだ」「にちりん」運転開始
  1972.10.2 「白鳥」等の運用終了、東北から撤退、特急「あさしお」運転開始
  1974.4.25 特急「おおよど」運転開始
  1975.3.10 「かもめ」廃止、特急「おき」運転開始
  1978.10.2 「くろしお」運用終了、特急「南紀」運転開始
  1980.10.1 「にちりん」「おおよど」運用終了、九州から撤退
  1985.3.14 「まつかぜ」運用終了、山陰から撤退
  1986.11.1 「北海」「おおとり」等の運用終了、北海道の定期運用消滅
1986.8 函館駅
○キハ82-1、キシ80-12・34
 キハ82形のトップナンバーで、準鉄道記念物に指定されている車両。小樽市総合博物館で保存されている。後ろにはキシ80を連結している。
 
2017.9 キハ82-1:小樽市総合博物館2
○キハ82-87・100、キハ80-145・150、キロ80-52、キシ80-27
 北海道で使用され、1987年に廃車となったもの。三笠市のクロフォード公園で、食堂車、グリーン車を含めた6両編成のまま屋外展示されている。

○キハ82-101
 青函連絡船として活躍した八甲田丸は、船内に貨車等をそのまま積み込むことができた。おそらく気動車は積んでいなかったと思うが、青森港にあるメモリアルシップ八甲田の船内で展示されている。
 
2016.7 キハ82-100ほか:クロフォード公園  2017.10 キハ82-101:メモリアルシップ八甲田丸
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ80 0番台 166 新製 1960.9-67.1 2008.3 中間車
900番台 1 キロ80 1968.10 1979.12 普通車化改造
キハ81 6 新製 1960.9-11 1979.7 非貫通先頭車
キハ82 0番台 110 1961.7-67.1 2009.3 貫通先頭車
900番台 2 キロ80 1968.12-70.2 1982.7 普通先頭車化改造
キロ80 0番台 62 新製 1960.9-67.1 2009.3 グリーン車
キシ80 0番台 37 1961.7-67.1 1990.2 食堂車
900番台 3 キサシ80 1968.12-69.12 1976.2 全室食堂車化改造
キサシ80 3 新製 1960.9-11 1969.12 半室食堂車
JR北海道
 国鉄末期まで特急「北海」「北斗」「おおぞら」「おおとり」「オホーツク」の運用が残っていたが、JR発足直前の1986年11月に定期運用終了。波動用の14両と「フラノエクスプレス」のみJRに引継がれた。翌年にはほとんどが苗穂に転属している。1992年9月にさよなら運転を行って、ジョイフルトレイン以外は廃車となっている。
1992.2 函館駅
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ80 0番台 6 国鉄  1987.4  1992.10   
キハ82 0番台 5
キシ80 0番台   3
 ジョイフルトレイン  
○フラノエクスプレス
 1986年12月に登場した、北海道のリゾート列車。富良野プリンスホテルとタイアップしていた。また1987年6月-10月は全日空とタイアップして「ANAビックスニーカー」として運行していた。1998年11月に営業終了。2004年まで車籍があり、その後も先頭車1両が長い間保存されていたが、2015年に解体された。

○トマムサホロエクスプレス→マウントレイク大沼
 1987年12月に登場した北海道のリゾート列車で、フラノエクスプレスに似た外観である。1999年からは塗装が変更され「マウントレイク」と改称された。2002年10月に営業終了し、こちらも先頭車などが保存されていたが、2013年に解体された。
1988.3 フラノエクスプレス:札幌駅
 名称 番号 両数  前歴  登場  消滅
フラノエクスプレス キハ84 1-2
キハ80 501
キハ83 1
4 0番台 1986.12 2004.9
トマムサホロエクスプレス キハ84 101-102
キハ83 101-102
キシ80 501
5 0番台 1987.12 2004.3
JR東海
 JR東海の特急「ひだ」「南紀」は、JR発足時に残っていた唯一の定期運用であった。キハ85系に置き換えられて、1992年までに定期運用終了。1995年にさよなら運転を行った。その後も4両が保存目的で長く車籍を残していたが、2009年までに廃車。このうち1両のみ解体を免れ、リニア・鉄道館で展示されている。

  1968.10.1 特急「ひだ」運転開始
  1978.10.2 特急「南紀」運転開始
  1990.3.9 「ひだ」「ホームライナーみえ」定期運用終了
  1992.3.13 「南紀」定期運用終了
  1995.1.21 最後の営業運転
1989.7 「ひだ」:飛騨金山駅 1989.7 「南紀」:松阪駅
 
2015.11 キハ82-73:リニア・鉄道館
 形式 番号 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ80 0番台 23 国鉄 1987.4 2008.3 中間車
キハ82 0番台 18 2009.3 先頭車
キロ80 0番台 9 2009.3 グリーン車
 ジョイフルトレイン  
○リゾートライナー
 1988年7月に登場した欧風気動車。展望室が設けられている。活躍の期間は短く、1995年3月に廃車となった。
 名称 番号 両数  前歴  登場  消滅
リゾートライナー キロ82 801
キロ80 701、801
3 0番台 1988.7 1995.3
車両配置表

  1962 1964 1968 1972 1975 1977 1980 1985 1987 1990 1995 2000 2005
札幌・苗穂 17 38 38 38 14 9 6 1
函館 15 25 86 113 120 120 120 56 18
秋田 25
山形 17
尾久 60 72 65
名古屋 10 22 54 53 50 51 4 4 4
金沢 20 10
向日町 78 110 140 133 114 84 84 22
和歌山 43 64 74 83
鹿児島 13 22 27 27 27

キハ80系