紋別を通るオホーツク海岸の主要路線で、国鉄廃止路線のうち唯一の本線。当初は、名寄〜中湧別間は名寄線、遠軽〜湧別間は湧別線と、異なる路線であった。存廃の基準となった輸送密度は894人、収支係数1066で、第2次特定地方交通線の基準に達していたが、路線延長が長いため長大5路線の1つとして存廃が議論された。一時は一部存続という方向とみられたが、地元負担の問題から廃止が決まった。

  1915.11.1  湧別軽便線下生田原〜社名淵(のちの開成)間開業
  1916.11.21 湧別軽便線社名淵〜下湧別(のちの湧別)間開業
  1919.10.20 名寄線名寄〜下川間開業(20.10.25上興部まで延伸)
  1921.3.25  名寄東線中湧別〜興部間開業
  1921.10.5  上興部〜興部間開業し、名寄東線統合
  1932.10.1  遠軽〜中湧別〜湧別間を名寄線に編入(中湧別〜湧別間は支線)
  1985.8.2   第2次特定地方交通線として廃止承認
  1989.5.1   全線廃止 
  1932 1937 1949 1956 1960 1965 1970 1973 1977 1980 1983 1986
 輸送人員(千人/日) 1.8 2.6 7.7 10.2 11.4 9.9 7.9 6.9 6.0 4.7 3.9 2.8
 輸送密度(千人/日) 0.3 0.4 1.2 1.4 1.5 1.5 1.2 1.1 1.0 0.8 0.6 0.4
 貨物輸送量(万t/年) 31.4 42.9 55.5 94.2 102.9 125.0 107.5 64.1 39.2 27.5 5.3
営業中
 国鉄時代は廃止するとは思わずに、時間つぶしで紋別-遠軽間を往復したりといった贅沢な乗り方をしていた。オホーツク海はほとんど見えないので、車窓はあまり印象に残っていない。支線の終点である湧別駅の佇まいは印象に残っている。
1986.8 紋別駅M
1988.3 湧別駅 d 1988.3 湧別駅 d
廃線跡
 名寄〜遠軽138.1km
 上興部は駅舎と気動車が1両保存されている。きれいに整備されすぎていて、廃線跡という雰囲気は少ない。
 西興部駅付近には橋梁が残っているはずなのだが、見つけられない。宇津駅付近の橋梁も苦労するかと思ったが、ここはちょうど展望台のように駐車場があった。
2009.10 上興部駅跡C 2009.10 宇津駅付近E
  中興部は雰囲気のある木造駅舎、そしてその裏にはホームが昔のまま残されていて、まるでタイムスリップしたかのよう。廃線跡の中でもお気に入りの1つになった。 
2009.10 中興部駅跡D 2009.10 中興部駅跡D
  興部〜紋別間は国道の近くを通っていて、いくつかの橋梁が国道から見える。右の写真の橋は、すぐ手前が道路工事現場になっていたので、間もなく消える運命だと思われる。 
2009.10 興部〜豊野間G 2009.10 豊野〜沙留間H
 2度目の訪問は、名寄方から。中名寄駅跡の建物は、当時の駅舎のようである。上名寄も駅名標があるのですぐわかった。
2015.9 中名寄駅跡@ 2015.9 上名寄駅跡A
 下川駅跡にはディーゼルカーが保存され、信号も残る。しかしディーゼルカーの変な色がいただけない。
2015.9 下川駅跡B
 興部駅跡は、広い公園として整備されている。保存されている車両は、一見客車のような塗装になっているが、ディーゼルカーである。
 
2015.9 興部駅跡F 2015.9 興部駅跡F
 沙留駅跡は、集落のはずれに広い空き地があって、なんとなくわかる。富丘駅跡は高架の上で、右の写真の右側にホームへ上がる階段のシェルターが見えている。
 
2015.9 沙留駅跡I 2015.9 富丘駅跡J
 渚滑駅跡は、SLが保存されている。渚滑から潮見町にかけて、かつての線路跡が道路にはさまれた空き地になっていて、ルートを辿りやすい。
 
2015.9 渚滑駅跡K 2015.9 渚滑〜潮見町間L
 紋別駅跡は、完全に整備されてしまって、どこを線路が通っていたかよくわからない。紋別市街地のはずれにあった元紋別駅跡も、何も残っていないので、あまり自信がない。
   
2015.9 紋別駅跡M 2015.9 元紋別駅跡N
 小向駅跡は、公園になっている。沼の上駅跡は少し見つけにくいが、草むらの中にホームが残っている。川西駅跡は難易度が高く、国道から離れているので、見つけるのにかなり時間を要した。ここも草むらの中にホームらしきものが見えた。
 
2015.9 小向駅跡O 2015.9 沼の上駅跡P
 
2015.9 川西駅跡Q
 中湧別駅跡は、ホームや跨線橋を残して広い公園になっている。除雪用モーターカーや車掌車が保存されていた。
 
2015.9 中湧別駅跡R 2015.9 中湧別駅跡R
 中湧別から上湧別にかけての区間は、廃線跡が立派な2車線道路になっている。その先で道路は途切れるが、開盛駅跡は石碑があるのですぐにわかった。
 
2015.9 北湧駅跡S 2015.9 上湧別駅跡 a
 
2015.9 開盛駅跡 b
 湧別支線(中湧別〜湧別4.9km)
 湧別支線は、ほとんどの区間が道路に転用されていて、北海道らしい一直線の並木が雰囲気を残している。しかし終点の湧別駅は大きな文化センターになっていて、雰囲気がよかった終着駅の面影はどこにもなかった。
2015.9 中湧別〜湧別間 c 2015.9 湧別駅跡 d

名寄線