三大都市圏以外では唯一の大手私鉄。現在は鉄道線のみを営業しているが、かつては福岡市内や北九州エリア等の軌道線も保有しており、直接の前身は北九州の軌道線を開業させた九州電気軌道である。
 
2023.11 端間〜味坂間
戦前〜終戦直後
 旧九州鉄道
 大牟田線開業時の1形は木造車で、続く11形から半鋼製になった。201系は13m級でキハ07形のようなスタイル。晩年は甘木線専用となって1994年まで残っていた。1939年に登場した300系は急行用2扉セミクロスシートで、戦前のロマンスカーの1つに数えられる看板車両であった。
 
2018.9 モ211:筑紫野市内
形式 登場時 西鉄合併時 宮地岳線 両数 戦後 登場 消滅
1形 モ1-16
ク51-54
モ1-8
ク51-61
20 19 1924.4-27.2 1960.9
11形 モ17-20 モ11-14 モ21-24 4 4 1936.3 1980.10
201形 モ21-30 モ201-216
ク251-260
26 26 1937.9-42.3 1994.2
301形 モ301-302
ク351-352
4 4 1939.9 1979.3
101形 モ101-112
ク151-159
モ18
ク58
21 .21 1941.8 1983.7
貨物 モワ101-102 モワ801-802. .2 .2 1923.11 1979.3
モワ803-804 2 1942.2 2004.1
モト201-202 モト901-902 2 2 1923.11 1985.6
 旧博多湾鉄道汽船
 1924年の宮地岳線開業時は非電化で、先に開業していた粕屋線(現在のJR香椎線)のSLが共通で使用された。1929年に電化され、新造電車6両と客車を改造した3両が登場している。また、合併直前には大阪電気軌道の車体流用車などが導入されたが、いずれも現存していない。
種類 登場時 戦後 両数 登場 消滅  備考
PC ナハ1-3 モ1・2・14 3 1925.9 1979.3 1929電車化
EC デハ4-9 モ4-9 6 1929.7-29.12 1981.12
デハ10-11 モ11-12 2 1936.7 1979.9
コハフ1-8 モ3・13・16・17
ク51-54
8 1936-38 1981.12 大軌の車体流用
1940-45電車化
デハ13 モ15(ク64) 1 1940 1977.9 国鉄モニ30払下げ
DC キハ1-4 大牟田線ク62-65 4 不明 1994.2 1947電車化
キハ5-6 大川線キハ201-202 2 不明 1949.4
SL 2・5・6 1-3 3 不明 1950.4
 旧大川鉄道
 大川鉄道開業時のSLは5両のBタンクで、1921年にCタンクを1両増備した。また、1933年にはガソリンカーを導入している。このうちSLの4号(開業時の2号)が、大川線の廃線跡にあたる三潴小学校近くで保存されている。
 
2018.2 4号:三潴小学校付近
種類 登場時 戦後 両数 登場 消滅  備考
SL 1-5 4-5 5 1911.1 不明
6 6 1 1921.9 不明
DC キハ1-7 キハ1-7 7 1933.3 1953.11
キハ8-9 サハ61-62 2 1941.1 1950.3
PC ハ1-12 サハ51-56 12 1911.12 1952.9
 合併後
 301形に次いで登場した急行用500形は、高速鉄道としては珍しい連接車体。戦後に中間車を増備して3連接になったが、2編成のみに終わった。旧600形も急行用として登場したものだが、1000形の登場後は役割を失い、1300形と303形に改造編入されて短命に終わっている。
番号 両数  登場  消滅  備考
500形 モ501ABC
サ502ABC
6 1942.12-48.1 1975.3
旧600形 モ601-602、611-612
ク651-652
6 1951 1961 4両→1300系
2両→303形
宮地岳線 ク55-58 4 1944-46 1979.9 国鉄キハ5000等改造
ク59-63 4 1952 1980.10 国鉄モハ3等払下げ
ED201-202 2 1949.10 1978.1
戦後の旧型車
 303形
 戦後最初に増備された303形は、急行用301形の続番であるが、運輸省規格A’形の通勤用3扉で、コンセプトがまったく異なる。303-は17m級車体であるが、308-からは18m級車体になったため、308形と呼ばれることもある。登場時は2両編成で、1961年に4本が3両化されたが、この時の中間車のうち2両は旧600形が転用された。1978年から86年にかけて、16両が宮地岳線に転属し、宮地岳線の旧型車を淘汰している。晩年は、車体更新により貫通型のままノーシル・ノーヘッダーとなったものや非貫通2枚窓になったものなど、様々な形態であった。
  
1996.4 貝塚駅
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
モ303形
ク353形
303-312
353-362
20 1948.8-49.4 2008.2
モ320形 324-327 4 1961 2008.2 増結用中間車
2両は旧600系編入
 313形
 313形は303形の続番であるが、正面2枚窓、2扉と仕様が大きく変わった。1977年度に全車宮地岳線に転属している。600系が段階的に転属したことにより、2015年1月にさよなら運転を行い、営業を終了した。
 
1996.4 貝塚駅
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
モ313形
ク363形
モ313-316
ク363-366
8 1952.3 2015.3
 20形→120形
 九州鉄道開業時の1形木造車の鋼体化名義で登場したもので、3両編成3本。1形から流用したのは機器や台車などで、車体は1000形とほぼ同じものを新製している。1979年から宮地岳線に転属して120形となり、同時に5本は2両編成となっている。1986年以降、4本がカルダン駆動化されたが、1991年に消滅している。
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
モ20形
ク50形
21-32
55-59、61
18 1958.5-60.6 1982.8 モ1形等鋼体化
モ120形
ク150形
121-126、131
151-156
13 1979.4-81.5 1991.7 大牟田線20形改番
新性能車
 1000・1300形
 戦後最初に登場した優等用2扉車で、西鉄初のカルダン駆動車。車体は全金の18m級2扉で、前面は非貫通湘南型。全車M車の4両固定編成である。1961年には1300形が増備されるが、これは中間車のみ1000形と同仕様で、先頭車は旧600系の流用というものであった。
 冷房化が困難であったため、2000形の登場後は、3扉化やロングシート化などが行われて普通列車用となり、2001年まで残っていた。戦後の西鉄を代表する形式であるが、保存車は無い。

 1957  登場
 1959.5.1 特急運用開始
 1975   ロングシート化
 1976-78 塗装変更、1000形の3扉化
 2001.3.25 最後の営業運転
 
左:1300形一般塗装、右:1000形特急塗装
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
モ1000形 1001-1008
1101-1108
1201-1208
24 1957.6-60.5 2001.3
モ1300形
ク1300形
1301-1308 8 1961.9 1987.3 4両は旧600系改造
 600・700形
 通勤列車向けのカルダン駆動車として登場したもの。車体は西鉄で初めての19m級で、全金の3扉両開き。駆動はWN、制御はABF/ABFM、制動は電磁直通(HSC-D)である。
 600形は2両編成と3両編成があり、最長7両編成で運用された。700形は4両固定編成で、1本のみの製造に終わっている。1990年から91年にかけて11両が宮地岳線に転属、2003年と05年にも2両ずつ転属した。また、2003年には2両が救援車900形に改造されたが、2015年に旅客車に復帰するという特異な車両もある。大牟田線系統の車両は2008年2月に消滅したが、貝塚線には16両が在籍し600形に統一されている。

 1962  登場
 1972-76 冷房化改造
 1978-80 前面方向幕設置、前照灯移設
 1989.3.10 甘木線運用開始
 1990.6.1 宮地岳線運用開始
 2004   甘木線運用終了
 2008.2  天神大牟田線運用終了
   
2009.9:600形:西鉄新宮駅 2016.6 600形:貝塚-名島間
 
600形 大牟田線・更新前
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
モ600形
ク650形
601-631
651-681
57 1962.9-72.12 1両は101形更新
モ700形 701-704 4 1972.12 2006.5
モエ900形
クエ900形
901
902
2 2003.7 2015.1 600系改造、600系に復帰
 2000形
 1975年の新幹線博多開業を控え、特急列車のサービス向上を目的として登場したもの。6両固定編成、新製冷房、転換クロスシートなど、西鉄では初めてづくしの車両となった。車体は全金の19m級2扉両開き。駆動はWN、制御は電動カム軸式(ABFM)、制動は電磁直通(HSC-D)である。
 1年以内に6本が投入され、1000形の特急運用を置き換え。8000形登場後は、3扉化されて急行を中心に運用された。2010年10月にさよなら運転を行い、営業を終えている。西鉄の歴史に残る車両だと思うのだが、1両も保存されることなく解体されている。

 1973.5.10 営業運転開始
 1988-   3扉化、ロングシート化
 2010.10.17 最後の営業運転
 
2000系 2扉時代
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
モ2000形
ク2000形
2011-2016
2021-2026 等
36 1973.4-74.2 2010.12
 5000形
 600・700形に続く19m級3扉の通勤車で、全面の運転席側だけがパノラミックウィンドウとなっているのが特徴。塗装もアイスグリーンが初めて採用され、後の大牟田線通勤車の標準塗装となった。車体は全金の19m級3扉。駆動はWN、制御は電動カム軸式(ABFM)、制動は電磁直通(HSC-D)である。
 4両編成16本、3両編成24本の計136両が16年にわたって製造されたが、仕様はほとんど変わっていない。2004年に3両が事業用車に改造されている。

 1975   登場
 2001-  室内リニューアル工事
   
1999.5 太宰府駅 2017.10 筑紫駅付近
 
2017.10 910形:筑紫車両基地
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
モ5000形
ク5000形
5101-04、11-31、36-40F
5005-10、32-35F
136 1975.9-91.12
モエ910形
クエ910形
911-913 3 2014.5 5000系救援車化
 8000形
 2000形以来16年ぶりの特急向け車両。2000形と同じ6両編成6本が製造された。車体は鋼製の19m級2扉。座席は転換クロスシートではあるが、扉付近はロングシートとして通勤輸送にも配慮されている。駆動はWN、制御は電動カム軸式(ABFM)、制動は西鉄初の電気指令式(MBS)である。
 8051編成は2014年に大宰府観光列車「旅人」に、また8061編成は2015年に柳川観光列車「水都」に改造されている。2017年10月にさよなら運転を行い、登場から30年未満で消滅することとなった。

 1989.3.10 営業運転開始
 2014.3.22 観光列車「旅人」運行開始(〜2017.9.16)
 2015.10.4 観光列車「水都」運行開始(〜2017.7.22)
 2017.10.15 最後の営業運転
 
2016.6 薬院駅
   
2017.3 「水都」:小郡駅 2017.3 「旅人」:西鉄二日市駅
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
モ8000形
ク8000形
8011-8016
8021-8026 等
36 1989.2-89.4 2018.1
VVVFインバータ制御車
 6000・6050形
 ラッシュ時の乗降時間短縮のため、西鉄で初めて19m級4扉が採用されたもの。6000形は従来と同じ抵抗制御だが、6050形は西鉄で初めてVVVFインバータ制御が採用されている。制動も西鉄通勤車としては初の電気指令式である。
 6000形は4両編成6本と2両編成3本で登場し、2両編成は後に中間車を新製して3両化された。6050形は当初から4両編成5本と3両編成2本である。6053編成は、レストラン列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」に改造されている。

 1993   登場
 2019.3.23 レストラン列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」運行開始
   
2017.10 6000形:筑紫駅付近 2016.6 6050形:薬院駅
 
2021.11 THE RAIL KITCHEN CHIKUGO:宮の陣駅
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
モ6000形
ク6000形
サ6000形
6001-06F
6701-03F
33 1993.3-99.4
モ6050形
ク6050形
6051-55F
6156-57F
26 1995.2-00.3
 7000・7050形
 大牟田線花畑以南のワンマン運転開始に伴って登場した、2両編成の新製車。同じ19m級だが、7000形は4扉、7050形は3扉である。制御はVVVFインバータ(IGBT素子)、制動は電気指令式となった。6000形等との併結は可能であるが、通常は2両または4両で運用されている。
2017.3 7000形:西鉄二日市駅 2023.11 7050形:端間〜味坂間
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
モ7100形
ク7500形
7101-11F 22 2001.2-01.6
モ7150形
ク7550形
7151-59F 18 2003.3-04.4
 3000形
 600・700形や2000形・8000形などを置き換えるために登場したもの。3扉ながら転換クロスシートが採用され、特急から普通まで運用される汎用車である。車体は西鉄で初めてのステンレスで、前面は鋼製。制御はVVVFインバータ(IGBT素子)、制動は電気指令式となった。
 5両編成4本、3両編成8本、2両編成8本が登場している。また、3010Fは大宰府観光列車「旅人」、3017Fは柳川観光列車「水都」に改造されている。

 2006.3.25 営業運転開始
 2017.7.22 観光列車「水都」運行開始
 2017.9.16 観光列車「旅人」運行開始
 
2016.6 薬院駅
2019.1 「旅人」:西鉄二日市付近 2017.10 「水都」:宮の陣駅
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
モ3100形<Mc>
モ3300、3600形<M>
ク3000、3500形<Tc>
サ3400形<T>
3001F-
3103F-
60 2006.3-16.3
 9000形
 5000系の初期車を置き換えるために登場したロングシート車。車体はステンレス製の19m級3扉で、前面は鋼製。駆動はTDカルダン、制御はVVVFインバータ(ハイブリッドSiC素子)、制動は電気指令式である。

 2017.3.20 営業運転開始
 
2021.11 宮の陣駅
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
モ9100形<Mc>
モ9300形<M>
ク9000、9500形<Tc>
9001F-
9103F-
29 2017.3-21.8
形式別車両数
天神大牟田線系統
種類 形式 1941 1954 1964 1972 1981 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
戦前 70 77 59 57 46 30 3
戦後 21形 18 18 6
  303形 20 24 24 24 14
313形 8 8 8
501形 6 6 6
601形 6
1000形 24 24 24 24 24 24 12
1300形 8 8 8 8
600形 13 56 57 57 57 46 43 15
  700形 4 4 4 4 4 4
  2000形 36 36 36 36 36 36 36 36 36 12
5000形 54 103 130 136 136 136 136 133 123
8000形 36 36 36 36 36 36
6000形 38 59 59 59 59 58
  7000形 40 40 40 40
3000形 42 50 60
  9000形 25
事業用 800形 2 4 4 4 3 3 2 2 2
900形 2 2 2 2 4 4 2 2 3 3
  花20形 3 3 3
宮地岳線系統
種類 形式 1941 1954 1964 1972 1981 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
戦前 博鉄 15 16 15 15 5
戦後 20・50形 12 11 13
  120形 9 13 11
301形 6 4 16 16
313形 8 8 8 8 8 8 2
600系 11 11 13 14 16 16
EL 200形 2 1 1
年表

 ○九州鉄道
  1924.4.12 福岡(現・西鉄福岡)〜久留米(現・西鉄久留米)間開業
  1924.7.10 三井電気軌道を合併
  1934.6.30 太宰府軌道を合併
  1937.6.22 大川鉄道を合併
  1938.12.1 太宰府線:軌道から鉄道へ変更
  1939.7.1 福岡〜大牟田間74.8km全通
  1942.9.19 九州電気軌道に合併
  1942.9.22 西日本鉄道と改称
  1948.11.9 甘木線:600Vkら1500Vに昇圧
  1951.7.1  宮地岳線:宮地岳〜津屋崎間延伸
  1951.9.25 大川線:休止(66.5.6廃止)
  1954.3.5  宮地岳線:博多〜貝塚間を福岡市内線へ編入
  1958.11.27 福島線:廃止
  1960.8.1  甘木線:軌道から鉄道へ変更
  2007.4.1  宮地岳線:西鉄新宮〜津屋崎間9.8km廃止、貝塚線と改称
  
 ○三井電気軌道→(1924.7.10)九州鉄道→(1942.9.19)西日本鉄道
  1915.10.15 福島〜日吉町間開業
  1924.3.13 福島〜甘木間全通
  1924.7.10 九州鉄道に合併

 ○大宰府馬車鉄道
  1902.5.1 太宰府〜二日市駅前間開業
  1907.7.17 太宰府軌道と改称
  1913.1.20 蒸気動力化
  1927.9.24 1435mmに改軌、電化
  1929.9.5  二日市〜二日市駅前間廃止
  1934.6.30 九州鉄道に合併

 ○大川鉄道
  1912.12.30 縄手(現・上久留米)〜若津間開業
  1920.12.26 若津〜榎津(現・西鉄大川)間延伸
  1937.6.22 九州鉄道に合併

 ○博多湾鉄道汽船
  1924.5.23 新博多〜和白間開業
  1925.7.1  新博多〜宮地岳間全通
  1929.8.16 全線電化
  1942.9.19 九州電気軌道に合併

西日本鉄道・鉄道線