前身となる小田原急行電鉄の開業は1927年なので、首都圏大手私鉄の中では最も遅いスタート。しかし小田原線80km以上を一気に開業し、2年後には100kmを超える路線網となっている。また、今の井の頭線にあたる帝都電鉄を合併するが、戦時中の大東急を経て分離した時には、京王の路線になっていた。
2021.12 新松田〜開成間
戦前
 小田原急行開業時の車両は、通勤向けのモハ1形と郊外向けのモハ101形。また、同じ年に電気機関車も導入されている。戦前の車両のうち最後まで残ったのは、荷物車に改造されたデニ1300形で、1984年まで残っていた。モハ10は、小田急創業時の車両として保存され、2021年からロマンスカーミュージアムで展示されている。
 
2022.4 モハ10:ロマンスカーミュージアム デニ1300形 
登場時 戦後 両数 登場 消滅  備考
モハ1-18 デハ1150-1168
→1101-1109
(デニ1101)
18 1927.3 1976.10
モハニ101-112
、121-123、131-133
デハ1201-1218 18 1927.3-27.10 1968.11
モハニ151-155 デハ1251-1255
→1301-1305
(デニ1301-1304)
5 1927.10 1984.7
モハ201-215
クハ501-505
クハ551-565
デハ1351-1367
→1401-1416
クハ1301-1318
→1451-1468
35 1929.3-30.3 1969.5
モハ51-53 デハ1101-1103 3 1938.11 1943.6 もと省電
デニ1-4 デニ1001-1002 4 1927.11 1984.7
ED1-2 デキ1011-1012 2 1927.7 1984.7
ED101 デキ1021 1 1930.11 1969.1
ED201 デキ1031 1 1930.11 1997.6
戦後の旧型車
 東急時代
 東急時代の新造は1600形のみで、国鉄63系の割当車や復旧車が導入された。1800形は小田急初の20m車であり、1957年から車体を更新して1980年代まで使用されていた。
左:1600、右:1800形
形式 番号 両数  登場  消滅  備考
デハ1500形
クハ1550形
1458→1501
1501→1551
2 1947.11 1960.7 帝都線より転属
デハ1600形
クハ1650形
1601-1610
1651-1660
20 1943.4-53.5 1976.11
デハ1800形
クハ1850形
1801-1813
1851-1863
28 1946.9-48.12 1981.7 国鉄63系割当車
デハ1820形
クハ1870形
1821
1871
2 1953.2 1981.7 国電の戦災復旧
 1900・1910・2100形
 1900形は、戦後最初の新造車で、運輸省規格型。特急向けは1910形に区分され、後に2000形と改番したが、1956年に格下げ改造されて1900形に編入されている。次に登場した2100形は小田急オリジナルの設計で、最後に登場した吊掛け駆動車である。
1910形
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
デハ1900形
サハ1950形
1901-1906、1911-1913
1951-1959、1961-1963
20 1949.11-56.4 1976.9
デハ1910形
サハ1960形
1911-1914→2001-2004
 →1907-1910
1961-1962→2051-2052
 →1958・1960
6 1949.11-50.5
デハ2100形
クハ2150形
2101-2104
2151-2154
8 1954.2 1975.1
 事業用車
 小田急では、規模は小さいながら1984年まで荷貨物営業が行われていた。事業用車は荷貨物営業や構内入換等に使用され、2003年まで残っていた。
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
デキ1040形 1041 1 1951.7 1996.6
デキ1050形 1051 1 1959.3 2003.9 日本専売公社より
デト1形 1 1 1954.9 2003.9 モニ1形改造
新性能車
 2200・2220形
 小田急初のカルダン駆動車で、全車電動車。車体は17m級3扉で、2200形は最終増備車を除いて非貫通2枚窓、2220系は貫通型の4両固定編成。制御器にABFMを採用し、2300・2320形とともに「ABFM車」と呼ばれる。駆動は2200形が直角カルダン、2220形はWNで、制動は電磁直通(HSC-D)である。引退後は富士急や新潟交通に譲渡された。笛吹市で2両保存されている。

 1954.7  営業運転開始
 1969   新塗装に変更
 1984.6  営業運転終了
   
2017.1 もとデハ2212:山梨県笛吹市
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
デハ2200形 2201-2218 18 1954.7-59.1 1984.6
デハ2220形 2221-2236 16 1958.3 1984.6
<譲渡>
 富士急行(1982.11-97.3、8両)
 新潟交通(1985.1-99.4、2両)
 2400形
 ホーム長の制約の中で、編成あたりの輸送力を高めるため、中間車のみ19.3m、先頭車は16mとした変則編成。4両固定編成で3扉両開きとなった。制御器はバーニアを初採用。駆動はWN、制動は電磁直通(HSC-D)である。特殊な仕様であったためか、他社に譲渡された車両は無い。

 1960.1.20 営業運転開始
 1989.3  運用終了
  
2400系
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
デハ2400形
クハ2450形
2401-2458
2450-2499、2551-2558
116 1959.12-63.6 1989.3
 2600形
 1800形以来となる20m車で、小田急の標準スタイルを確立した車両。駆動はWN、制御は界磁位相(ABFM)、制動は電磁直通(HSC-R)である。当初は5両編成で、最終的には6両編成22本が製造された。
 1972年から冷房化が始まり、1993年以降は一部が8両編成に組み替えられている。2004年6月にさよなら運転を行った。辻堂海浜公園で1両保存されているほか、喜多見検車区と神奈川消防学校にも保存車がある。

 1964.11.5 営業運転開始
 1969.4-  新塗装に変更
 1972-81 冷房化改造
 1993-  8両編成化
 2004.6.2 最後の営業運転
   
2015.10 クハ2658:辻堂海浜公園
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
デハ2600形
クハ2650形
サハ2650形
2651-2672F 132 1964.9-68.10 2004.6
 4000形
 旧型車の機器を流用し、2600形と同じ車体を新造した吊り掛け駆動車。3両編成で登場し、一部は5両化された。1985年から、2400形の機器を流用してカルダン駆動化され、同時に冷房化されている。

 1966.12  登場
 1969-   新塗装に変更
 1985-88 カルダン駆動化、冷房化改造
 2004.12  最後の営業運転
   
4000系
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
デハ4000形
クハ4050形
4001-4022F 92 1966.12-76.11 2005.1
 5000・5200形
 混雑緩和のため、急行列車を20m級8両編成とする目的で登場したもの。小田急最初の新製冷房車で、アイボリーとロイヤルブルー帯の小田急標準塗装もこの車両が最初である。駆動はWN、制御はバーニアで、制動は電磁直通(HSC-D)である。1977年までに4両編成15本が製造されたが、1978年からは一部仕様が変わって6両編成となったため、5200形と区分されている。小田急を代表する形式であるが、2012年までに引退し、保存車は無かった。

 1969.10  営業運転開始
 1977.7.1 10両編成の運用開始
 1982.7.12 箱根登山鉄道乗入れ開始
 2012.3.16 営業運転終了
   
左:5200系、右:5000系
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
デハ5000形
クハ5050形
5051-5065F 60 1969.10-77.11 2012.5
デハ5200形
クハ5250形
5251-5270F 120 1978.1-82.6 2012.1
チョッパ制御車
 9000形
 千代田線との直通運転のために開発されたもの。車体は全金の20m級4扉で、前面デザインは小田急標準スタイルとは異なる独特なものになった。駆動はWN、制動制御は電磁直通(HSC-DR)で、界磁チョッパ制御が採用されている。
 1000形登場後は地上線に転用されたが、2006年5月にさよなら運転を行って引退している。1両が喜多見検車区で保存されているが、公開の機会はほとんどない。

 1972.3  営業運転開始
 1978.3.31 千代田線との相互直通運転開始
 1990.3.27 千代田線直通運用終了
 2006.3.17 定期運用終了
 2006.5.13 最後の営業運転
   
9000系
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Mc>9001-、9301-
<M>9101-、9201-
9001-9009F 90 1972.1-77.11 2006.7
<Mc>9401-、9701-
<M>9501-、9601-
<T>9551-、9651-
9401-9409F
 8000形
 吊掛け駆動車を置き換える目的で導入された、地上線向けの汎用車。4両編成、6両編成それぞれ16本ずつ製造されている。車体は全金の20m級4扉。駆動はWN、制御は界磁チョッパ、制動は電磁直通(HSC-R)である。
 2003年以降のリニューアル車は、VVVFインバータ制御、制動は電気指令式(MBSA)に更新されている。

 1983.3.22 営業運転開始
 2003    VVVFインバータ制御への更新開始
   
2019.3 大和駅
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Tc>8051-、8151-
<M>8001-、8101-
8051-8066F 64 1984.2-87.10
<Tc>8251-、8551-
<M>8201-、8301-、8401-
 、8501-
8251-8266F 96
VVVFインバータ制御車
 1000・2000形
 1000形は、千代田線直通向けに開発された、小田急初のステンレス車。車体は20m級4扉で、前面はFRP。小田急で初めて本格的にVVVFインバータ制御を採用した。駆動はWN、制動は電磁直通である。また、1500形・1700形はワイドドア車で、地上線のみで使用される。2000形は通常ドアに戻り、車体長が少しだけ長くなった。3形式合わせて250両以上製造されている。
 2015年に始まったリニューアル工事で、制御器が世界初となるフルSiCのVVVFインバータに更新された。

 1988.3.22 営業運転開始
 1991.4.1  ワイドドア車の営業運転開始
 2010    千代田線乗入れ運用終了
 2015-   リニューアル工事
   
2019.4 1000形:よみうりランド駅 2021.4 1000形:開成〜栢山間
   
2022.4 1000形ワイドドア車:東林間駅  2015.11 1000形赤塗装:箱根湯本駅 
 
2020.4 2000形:百合ヶ丘駅
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Tc>1051-、1151-
<M>1001-、1101-
1051-1069F 76 1987.12-93.3
<Tc>1081、1481
<M>1031、1131、1331、1431
<T>1181、1381
1081F 8 1993.2    
<Tc>1091-、1491-
<M>1041-、1141-、1241-
 、1341-、1441-
<T>1191-、1291-、1391-
1091-1094F 40 1992.1-93.3     
<Tc>1251-、1451-
<M>1201-、1301-、1401-
<T>1351-
1251-1256F 36 1988.12-90.1    
<Tc>1551-、1651-
<M>1501-、1601-
1551-1556F 24 1991.3-92.2 ワイドドア
<Tc>1751-、1951-
<M>1701-、1801-、1901-
<T>1851-
1751-1752F 12 1991.3
<Tc>2051-、2451-
<M>2001-、2101-、2301-
 、2401-
<T>2151-、2251-
2051-2059F 72 1995.1-01.4
 3000形(2代)
 環境負荷低減やバリアフリー、コストダウン等を目的に開発されたもの。車体はステンレス製の日車式ブロック工法で、前面は鋼製。1・2次車はスカートが小型、さらに1次車はワイドドアであることが特徴となった。駆動はWN、制御はVVVFインバータ(IGBT素子)、制動は電気指令式(MBSA-R)で、列車情報管理装置TIOSを導入している。
 3251F-は6両編成、3651F-は8両編成である。また、2010年以降、中間車を新造して6両編成を10両化した3091F-、同じく8両編成を10両化した3081F-も登場している。

 2002.2.10 営業運転開始
 
2020.4 1次車:梅ヶ丘駅
   
2021.4 7次車:開成〜栢山間 2017.4 10両編成:千歳船橋駅
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Tc>3251-、3551-
<M>3201-、3301-
 、3401-、3501-
3251-3254F 24 2001.10-02.2 1次
3255-3262F 48 2003.1-03.6 2次
3263-3282F 120 2003.11-07.2 3-8次
<Tc>3651-、3951-
<M>3601-、3701-
 、3801-、3901-
<T>3751-、3851-
3651-3665F 120 2004.1-06.4 3-7次
<M>3241-、3341-
<T>3191-、3291-
3091-3095F 20 2010.12-11.10 元3278-82F
<M>3431-
<T>3381-
3081-3087F  14 2017.11-20.2   元3659-65F
 クヤ31形
 軌道や架線の検測のために導入されたもの。車体は3000形と同じである。制御車1両だけなので、通常は1000形に連結される。月に1回程度、土日の2日間かけて全線の検測を行っている。検測しそうな日を予想して訪問するも、最初の2回は空振り。3度目でようやく見ることができた。
 
2020.12 新百合ヶ丘駅
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
クヤ31形 31 1 2003.11
 4000形(2代)
 千代田線直通向け車両で、分割のない10両固定編成。JRのE233系がベースになっている。車体はステンレス製の20m級4扉。駆動はWN、制御はVVVFインバータ(IGBT素子)、制動は電気指令式で、列車情報管理装置TIOSを導入している。

 2007.9.22 営業運転開始
 
2015.11 小田原付近
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Tc>4051-、4551-
<M>4001-、4101-、4201-
  、4301-、4401-、4501-

<T>4351-、4451-
4051-66F 160 2007.7-16.12
 5000形(2代)
 18年ぶりに登場した地上線向けの新形式。車体はスレンレス製の20m級4扉。駆動はWN、制御はVVVFインバータ(フルSiC素子)、制動は電気指令式で、列車情報管理装置TIOSを導入している。

 2020.3.26 営業運転開始
 
2020.4 梅ヶ丘駅
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Tc>5051-、5451-
<M>5001-、5101-、5201-
  、5301-、5401-

<T>5151-、5251-、5351-
5051-62F 120 2019.11-22.12
形式別車両数
種類 形式 1937 1954 1964 1972 1981 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
HB車 1100形 18 9
1200形 18 18 18
1300形 5 5 6
1400形 35 33 32
1500形 2
ABF車 1600形 20 20 1
1800形 22 22 22 6
1900形 21 28 28
2100形 8 8 8
新性能車 2200形 34 34 34
2400形 116 116 116 112
2600形 132 132 132 132 122 120
4000形 66 92 92 92 92 92
5000形 48 132 180 180 180 180 180 66
8000形 90 160 160 160 160 160 160 160
9000形 40 90 90 90 90 90 90
VVVF車 1000・2000形 100 212 220 268 268 268 268
3000形 176 312 332 346
4000形 110 150 160
5000形 10
事業用 電動貨車 4 2 4 8 6 1 1 1 1
検測車 1 1 1 1
機関車 EC 4 5 6 4 4 3 3 3 1
年表
 ○小田原急行電鉄
  1927.4.1 小田原線:新宿〜小田原間82.8km開業
  1929.4.1 江ノ島線:大野信号所(現・相模大野)〜片瀬江ノ島間27.4km開業
  1940.5.1 帝都電鉄(現・京王井の頭線)を合併
  1942.5.1 東京急行電鉄に合併
  1948.6.1 小田急電鉄として分離
  1974.6.1 多摩線:新百合ヶ丘〜小田急永山間開業
  1990.3.27 多摩線:新百合ヶ丘〜唐木田間10.6km全通
  2018.3.3 小田原線:代々木上原〜登戸間複々線化完成

小田急電鉄・一般車