大阪市電は、1903年に日本で初めて公営の電気鉄道として開業した。最盛期の路線延長は約118kmと、都電に次ぐ長さで、このうち買収した天王寺阿部野線と阪堺線以外はすべて大阪市自らが建設している。全廃は1969年で、これも全国主要都市の市電の中で最も早かった。

  ○大阪市
   (大阪市内  118km  1903.9.12開業 1969.4.1廃止)
種類 形式 番号  登場年 1923 1954 1963 1969 備考
単車 1-470
701-730
1903-23 464 6
ボギー車 501形 501-600 1911-12 100
601形 601-650 1913 50
旧1001形 1001-1080 1920 80
1001形 (1081-1250)
1001-1097
1922 170 97
1501形 1501-1580 1925 22
1601形 1601-1700 1928 45 45
801形 801-890 1932-35 51 42 旧1001形鋼体化等
901形 901-961 1935 60 27
861形 (2001-2010)
861-867
1937 7
868形 (2011-2030)
868-884
1938 17 3
1651形 (1581-1585)
1651-1654
1939 4 4 撒水車改造
1701形 1701-1710 1942 10 10
1711形 1711-1750 1947 40 40 1
1751形 1751-1790 1948 40 40
1801形 1801-1832 1949 32 32 20
2001形 2001-2040 1951 40 40 7
2101形 2101-2119 1951 19 19
2201形 2201-2211 1954 11 11
2501形 2501-2504 1955 4 4
2601形 2601-2714 1955-61 114 79 1001形等更新
3000形 3000 1953 1
3001形 3001-3050 1956 50 44
戦前
 1形
 大阪市電開業時の車両は、一般的な単車であったが、翌年に登場した5号は2階がある珍しいものだった。1953年に、大阪市電50周年記念として、この5号をイメージした復元車が制作され、その後も市電保存館に残っている。
  
2016.11 5号復元車:市電保存館 
 231形
 1912年に製造された木造単車285号は、1936年の廃車後も解体を免れ、1955年に復元された。30号という番号が付いているが、これは昭和30年に復元されたことを示しており、現役時の番号ではない。
  
2016.11 30号(もと285号):市電保存館 
 501形
 大阪市電初のボギー車で、木造。100両製造され、このうち528号が1969年に製造時の姿に復元されている。
  
2016.11 528号:市電保存館 
 散水車
 かつて、全国の多くの市電では、未舗装だった道路の砂埃を抑えるため、散水車が活躍していた。大阪市電では、1925年に製造された散水車25号が保存されている。
  
 2016.11 散水車:市電保存館
 1601形
 1928年に登場した、大阪市電初の半鋼製ボギー車。100両製造され、戦前の代表形式となった。市電保存館で1両保存されているほか、阪堺電気へ譲渡され2000年まで活躍した車両も浜寺公園で保存されている。
   
2016.11 1644号:市電保存館  2018.6 もと1601形:浜寺公園 
 901形
 1935年の流線型ブームの時代に登場した車両。1964年までに消滅したが、神戸市に15両、熊本市に30両、鹿児島市に6両譲渡され、このうち熊本市の1両の車体が残っている。
2018.7 もと901形:熊本市辛島町
 1651形・1801形
 1651形は、戦争が始まる直前の物資不足の中、散水車の台車・機器等を流用して製造されたもの。その後も、戦時中から戦争直後の輸送力確保のため、ほぼ同じ車体の新造車1701形・1711形・1751形・1801形が順次登場した。このうち12両が広島電鉄に譲渡され、今も2両が現役で残っている。
   
2018.6 もと1651形:広島電鉄譲渡後  2017.8 もと1801形:広島電鉄譲渡後
戦後
 3001形
 アメリカで登場していた、PCCカーと呼ばれる高性能路面電車を参考に、日本でも和製PCCカーの開発が進められた。大阪市電では、1953年に試作車の3000形が登場し、1956年から量産車3001形が導入されている。カルダン駆動、間接制御、自動ブレーキなどが採用されていた。廃車後、4両が鹿児島市に譲渡されたが、短期間で消滅している。
   
 2016.11 3050号:市電保存館 2018.6 3012号:大谷幼稚園 
 2601形
 戦前の1001形などの木造車が老朽化していたため、3000形とほぼ同じ車体を量産して更新したもの。114両が登場し、戦後の主力車となった。廃車後、広島電鉄に14両、鹿児島市に32両譲渡され、このうち広島電鉄では今も9両が現役である。
2016.10 もと2601形:広島電鉄譲渡後

大阪市電(廃止)