キハ80系では北海道の寒さに備えた装備が十分ではなかったため、北海道向けの耐寒耐雪仕様の特急型気動車として開発されたもの。車体は全長21,300mmで、0・900番台と500番台以降でデザインが大きく異なる。機関は電源搭載車がキハ40系と同じDMF15HSA(出力220ps)、非搭載車はキハ66系がベースのDML30HSI(出力440ps)。台車はダイレクトマウント式空気ばね・円筒案内式のDT47・DT48・TR233である。最高運転速度は100km/h。1979年に試作車が登場、1981年から量産車が活躍している。500番台以降は仕様が代わり、機関はDMF13HS(出力250ps)とDML30HSJ(出力550ps)、台車はボルスタレス・円錐積層ゴム式のDT53・DT54・TR239。最高速度が110km/hに向上している。また、九州地区に投入された1000番台も、外観は大きく異なるがキハ183系である。
1986.8 「おおぞら」:新得駅付近
国鉄・JR北海道
 900・0番台
 非貫通の角ばった先頭車が特徴的な初期車。まず900番台試作車12両が登場し、1981年量産車が登場した。塗装は、当初は国鉄色で、後に新塗装と呼ばれる500番台と同じ塗装や、オホーツク色などさまざまな塗装が見られた。2018年6月に、0番台は運用を終了した。

  1980.2.10 900番台が特急「おおぞら」にて営業運転開始
  1981.10.1 0番台登場、特急「北海」運転開始
  1982.9  特急「オホーツク」運用開始
  1983.6.1 特急「北斗」運用開始
  1986.11.1 特急「おおとり」運用開始
  1988.3.13 「おおとり」系等分割により消滅
  1989頃  新塗装に変更
  1990.9.1  特急「とかち」運転開始
  1991.7.27 特急「スーパーとかち」運転開始、スーパーとかち色登場
  1992.3.14 夜行「オホーツク」に14系寝台車連結開始、オホーツク色登場
  1996.4  「おおぞら」運用車が釧路へ転出
  2006.3.17 「オホーツク」の夜行定期運用終了
  2009.10.1 「とかち」運用終了
  2016.3  「サロベツ」への0番台連結開始
  2017.3.4 「オホーツク」の0番台連結終了、「サロベツ」運用終了
  2018.6.30 0番台の運用終了
1986.8 「オホーツク」:札幌駅 1987.3 「おおとり」:上川駅
1986.8 「北海」先頭車化改造車:小樽駅 1988.3 「おおぞら」新塗装:池田駅
 1990.8 「北斗」新塗装:大沼公園駅付近 1987.3 「北斗」新塗装:函館駅(右の車両)
 
2016.2 オホーツク色:苗穂駅 2017.9 オホーツク色:発寒中央駅
 形式 番号 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ182 1-48 48 新製 1981.8-83.5 2018.6 中間車
106-108 3 0番台 1996.12-97.3 2008.3 回送運転台設置
224-227 4 0番台 1994.3-6 2008.3 スーパーとかち向け
901-906 6 新製 1979.9 2001.3 試作車・中間車
キハ183 1-20 20 1981.8-83.5 2018.6 先頭車
101-104 4 キハ184-0 1984.12-85.3 2017.3 先頭車化改造
207-215等 13 0番台 1992.6-94.7 2018.3 出力増強改造
901-904 4 新製 1979.9 2001.10 試作車・先頭車
キハ184 1-11 11 1981.8-83.5 2008.3 中間車・電源装置付
901 1 1979.9 1985.3 試作車・中間車
キロ182 1-10 10 1981.8-83.5 2018.7 グリーン車
901 1 1979.9 2001.3 試作車・グリーン車
キロ184 901 1 キハ184-900 1985.3 2001.3 グリーン車化改造
キロハ182 2-4、6、10 5 キロ182-0 1996.6-11 2018.7 半室普通車化改造
 「旭山動物園号」編成
 2007年に、旭山動物園へ向かう臨時特急「旭山動物園号」向けの改造車が登場した。記念撮影コーナーやカーペット敷きの「モグモグコーナー」が設けられている。改番はされていない。2013年にリニューアルされて内外装が変わっている。2018年3月に運転を終了した。

  2007.4.28 「旭山動物園号」運転開始
  2013.7.13 リニューアル車運転開始
  2018.3  「旭山動物園号」運転終了
 2016.7 旭山動物園号:島ノ下〜富良野間
 N183系・NN183系
 500番台、1500番台は、最高速度の向上や製造コスト削減が図られ、N183系と呼ばれる。1986年に36両が製造された。貫通先頭車となったことが大きな特徴である。また、JR発足後に登場した550・1550番台は、N183系からさらに性能向上を図ったもので、NN183系と呼ばれた。一般車28両とダブルデッカー車4両が製造されている。塗装は、N183系登場時は白と赤の新塗装だったが、後に多くはHET色となっている。2000年以降は「サロベツ」を中心に運用されていたが、2017年にキハ261系へ置き換えられ、2020年現在では「オホーツク」「大雪」運用のみとなっている。

  1986.11.1 N183系が特急「おおぞら」「北斗」にて営業運転開始
  1988.3.13 NN183系が特急「北斗」等にて営業運転開始
  1991.7.27 キサロハ182形を特急「スーパーとかち」に連結開始
  2000.3.11 特急「サロベツ」「利尻」運用開始(HET色)
  2001.7.1  「おおぞら」運用終了、夜行は「まりも」と改称
  2006.3.18 「利尻」定期運用終了
  2007.10.1 「まりも」定期運用終了
  2009.10.1 「オホーツク」運用開始
  2017.3.4  「オホーツク」の一部が「大雪」と改称、「サロベツ」運用終了
2022.5 N183系登場時塗装:愛山〜安足間間 
 
2016.2 「サロベツ」HET色:札幌駅 2017.9 「オホーツク」HET色:白石駅
2016.2 オホーツク色:苗穂駅 
 形式 番号 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ182 501-514 14 新製 1986.8-9 中間車
551-562 12 1988.2-89.4 1994.6 NN183系中間車
404-406、413 4 500番台 2009.10 2020.3 出力適正化改造
キハ183 501-507 7 新製 1986.8-9 2019.12 先頭車
1501-1507 7 1986.8-10 先頭車・電源装置付
1551-1566 16 1988.2-90.5 NN183系先頭車
405-406 2 500番台 2009.10 2020.3 出力適正化改造
キロ182 501-508 8 新製 1986.9-10 グリーン車
キサロハ182 551-554 4 1991.7 2013.12 2階建てグリーン車
 2500番台→7500番台
 「北斗」は、1994年3月から130km/h化が実施され、HET色の改造車2500番台が登場した。重要設備更新の際に、さらに7500番台となっている。2018年3月に特急「北斗」運用を終了し、残存車は「オホーツク」「大雪」等で運用されている。

  1994.3.1  「北斗」にてNN183系の130km/h運転開始、HET色登場
  2018.3.17 「北斗」定期運用終了
2016.9 「北斗」:新函館北斗駅 2022.5 「大雪」:上川〜安足間間
 形式 番号 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ182 2550番台 12 550番台 1993.4-94.6 2015.8 130km/h化改造
7550番台 12 2550番台 2014.5-15.8 2019.3 エンジン換装
キハ183 3550番台 4 1550番台 1993.4-94.1 2016 130km/h化改造
4550番台 5 1550番台 1993.10-94.5 2018.3 120・130km/h両用
8550番台 4 3550番台 2015-16 2019.3 エンジン換装
9550番台 2 4550番台 2015-16 2018.3 エンジン換装
キロ182 2550番台 3 500番台 1993.7-94.1 2015.8 130km/化改造
7550番台 3 2550番台 2015.3-15.8 2018.3 エンジン換装
 6000番台  
 1999年に登場したお座敷列車で、3両が改造された。2015年に1両が廃車となり、1両はHET色に変更となったので、お座敷列車の塗装のまま残るのは1両だけである。
2016.2 苗穂駅
 形式 番号 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ182 6001 1 500番台 1999.1 2015.3 中間車
キハ183 6001、6101 2 500番台 1999.1-2 先頭車
 ジョイフルトレイン  
○ニセコエクスプレス
 1988年12月に登場した北海道のリゾート列車で、キハ183系をベースにした新造車である。ニセコスキーエクスプレスを中心に、冬季・夏季の臨時列車等で使用されていた。2017年11月に営業運転を終了。クラウドファンディングにより、1両の保存が決まっている。

○クリスタルエクスプレス
 1989年12月に登場したリゾート列車で、新造車。先頭はパノラマ車となっている。トマムサホロエクスプレスなどに使用されていた。2019年9月に営業運転を終了し、解体されている。

○ノースレインボーエクスプレス
 1992年7月に登場したリゾート列車で、こちらも新造車である。当初は暫定的に3両編成で営業を開始し、半年後に5両編成となった。フラノラベンダーエクスプレスなどに使用されている。
 
1991.3 ニセコエクスプレス:札幌駅 2016.9 クリスタルエクスプレス:東滝川駅
 2016.7 ノースレインボーエクスプレス:島ノ下〜富良野間
 名称 番号 両数  前歴  登場  消滅
ニセコエクスプレス キハ182 5001
キハ183 5001,5002
3 新製 1988.12 2017.12
クリスタルエクスプレス キハ182 5101
キハ183 5101-02
キサロハ182 5101
4 新製 1989.12 2019.11
ノースレインボーエクスプレス キハ182 5201,5251
キハ183 5201-02
キサハ182 5201
5
新製 1992.7-12
JR九州
 1000番台  
 当初は「オランダ村特急」向けとして1988年に登場したもので、4両編成が1本のみ。ハウステンボスの開園にともない、オランダ村特急の運行を終了すると、「ゆふいんの森U世」に改造される。キハ72系が登場すると再び佐世保線へ戻って「シーボルト」に改造。しかしこれは利用が低迷したため、再度久大線に戻って「ゆふDX」となった。2011年の運行終了後は、豊肥線の「あそぼーい」となり、10年以上運行が続いている。

  1988.3.13 「オランダ村特急」にて営業運転開始
  1992.3.20 「オランダ村特急」廃止
  1992.7.15 「ゆふいんの森U世」に改造し運用開始
  1999.3.13 「ゆふいんの森U世」をキハ72系「ゆふいんの森V」に置換え
  1999.3.13 「シーボルト」運転開始
  2003.3.15 「シーボルト」廃止
  2004.3.13 「ゆふDX」に改造し運用開始
  2008.3.7  古代漆色からプレミアムイエローに変更
  2011.1.10 「ゆふDX」運用終了
  2011.6.4  「あそぼーい」に改造し運用開始
 
左から オランダ村特急、ゆふいんの森U世  シーボルト 
   
2004.6 「ゆふDX」古代漆色:天ヶ瀬駅   2021.11 「あそぼーい」:立野駅
 形式 番号 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ182 1001-1002 2 新製 1988.2-89.4
キハ183 1001-1002 2 1988.2
車両配置表

1980 1982 1985 1987 1990 1995 1998 2000 2005 2010 2012 2015 2018 2020 2022
函館 12 54 63 48 42 42 32 42 40 40 40 8
札幌 38 137 113 127 93 93 67 53 53
苗穂 6 12 12 15 12 17 17 69 75 55 36
釧路 30 38 31 4 4
竹下 4
直方 4
長崎 4
大分 4 4 4        
熊本 4 4 4

キハ183系