日本初の公営地下鉄で、当初は大阪市電気局、1945年から大阪市交通局が運営していた。2006年頃から民営化の議論が始まり、2018年4月に大阪市が100%出資する新会社、大阪高速電気軌道に移管されている。路線は、御堂筋線をはじめ5路線が第三軌条方式で、堺筋線は阪急との直通運転のため架線集電、長堀鶴見緑地線と今里筋線はリニアメトロである。
  
2023.12 生駒駅 
第三軌条
 旧型車
 100形は、御堂筋線開業時の車両で、当初は単行であった。全長17.7mで、基本仕様は戦後の1000形までほとんど変わっていない。1970年の大阪万博と前後して、救援車となった510以外の車両はすべて新性能車に置き換えられている。大阪市最初の地下鉄車両として、105が保存されている。
  
2016.11 105:緑木車庫 
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
100形 101-110 10 1933.5 1972.3
200形 201-213 13 1935.11-36.10 1969.10
300形 301-316 16 1938.4 1969.11
400形 401-406 6 1943.1 1969.10
500形 501-510 10 1949.4 1988.7
600形 601-612 12 1952.7-53.3 1970.8
1000形 1001-1023 23 1953.6-56.5 1971.1
 1100・1200形
 大阪市の地下鉄初の新性能車。車体は1000形までとほとんど同じで、1100形は片開き扉、1200形は両開き扉である。当初は御堂筋線で、1970年から全車四つ橋線に転属した。その後は、100形は千日前線へ転属し、1200形は谷町線50系の中間車に編入されている。
 形式 番号 両数 登場  消滅  備考
1100→100形 1101-1123 23 1957.5-11 1990.3
1200→200形 1201-1228 28 1958.5-8 1984.2 →5700形
 5000形→50系
 5000形は、大阪市初の2両ユニット車として登場したもの。当初は御堂筋線と四つ橋線に投入されたが、後に谷町線、千日前線、中央線にも転出している。谷町線では、6両化の際に200・800・900形を編入した。なお、50系と呼ばれるようになったのは1969年になってからである。
 最後まで残ったのは千日前線の4両編成で、1994年に消滅している。1両が登場時の姿に復元され、森之宮車庫で保存されている。
 
50系
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
5000形 5001-66、5501-66 188 1960.7-64.8 1994.4 御堂筋線向け
5067-94、5567-94 1965.6-65.9 四つ橋線向け
5800形
5900形
5801-5806
5901-5910
16 1978.4-79.12 1991.2 800・900形編入車
5700形 5701-5728 28 1980.8-84.2 1991.2 200形編入車
 6000形
 中央線向けの車両で、車体は18m級となった。1両を除いて、付随車化のうえ谷町線50系の中間車に編入されている。
 形式 番号 両数 登場  消滅  備考
6000→800形 6001-6006 6 1961.11 1979.11 →5800形
6100→900形 6101-6111 11 1964.9-10 1979.12 →5900形
 30系
 7000形は、谷町線と中央線延伸時の増備車として登場した、18m級4扉のステンレス車。この7000形をベースに、1970年の大阪万博輸送に向けた量産車として登場したのが30系である。御堂筋線に集中投入され、万博終了後も増備が続いた。御堂筋線に10系が投入された後は、他路線への転属が進み、第3軌条の全路線で活躍。車体もアルミ車とステンレス車があり、転属や編成組み替えが多いので、複雑である。
 1990年代に入ると、各路線の冷房化が進み、非冷房車が大半だった30系の淘汰が進む。1995年以降は、冷房化改造された谷町線の新30系6両編成13本のみとなった。そして、2013年10月にさよなら運転を行って引退している。

 1967.3.24 谷町線にて7000形の営業運転開始(4両編成)
 1968.8.29 御堂筋線にて30系の営業運転開始(8両編成)
 1971.3.10 北急編入車による四つ橋線運用開始(4→5両編成)
 1976    30系の谷町線運用開始(6両編成)
 1984.11  30系の中央線運用開始(6両編成)
 1987.7   御堂筋線9両編成化
 1991.8   千日前線運用開始(4両編成)
 1992-96  冷房化改造
 1993    御堂筋線運用終了
 1995    中央線、千日前線運用終了
 1996    四つ橋線運用終了
 2013.10.6 谷町線にて最後の営業運転
 
2016.11 3062:緑木車庫
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
7000形 7001-09F
→3005-07F
 、94-99F
18 1967.2-8 1995.8 旧7000形、2両編成
3105-07等 345 1968-69 増結用中間車
<Mc>3001-
  、3501-
<M>3101-
  、3201-
  、3301-
  、3401-
<T>3601-
  、3701-

3001-04F 1968.7-68.10 ステンレス車8両編成
3008-25F 1968.6-70.1 アルミ車8両編成
3051-58F 1971.3 北急7000系編入
、ステンレス車
3026-27F 1970.10 北急8000系編入
、アルミ車
3059-61、89F 1973.10-77.2 2013.10 新30系、ステンレス車
3044-49F 1976.5-76.9 新30系、アルミ車
3092-95等 1977.2-84.6 増結用中間車
 10系
 大阪市初のチョッパ制御車。アルミ車体で、18m級4扉。地下鉄としては初めての冷房車でもある。試作車は20系を名乗ったが、量産化の際に10系に改番した。50系、30系、10系と、番号がどんどん若返っているのでわかりにくい。
 最終的に製造されたのは9両編成26本で、1995年から10両編成23本に組み替えられた。1998年から22編成に対して更新が始まり、前面の上半分が黒塗装となる。またそのうち10編成はVVVFインバータ制御に改造され、10A系と呼ばれるようになった。登場から40年以上、御堂筋線のみで使用されている。

 1974.5.29 谷町線にて試作車の運行開始
 1976.2.16 御堂筋線に転属、営業運転開始
 1995-96  10両編成化
 1998-2003 大規模修繕
 2007.3-11.4 VVVFインバータ制御への更新(10編成)
 2020.7   未更新車全廃
   
1981.9 天王寺駅 2016.7 10A系更新車:西中島南方駅 
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Mc>1101
<Tc>1801
<M>1201、1401
2001F
→1101F
4 1973.10   旧20系
<M>1001、1301、1501
<T>1601
230 1975.6
<T>1901 1987.4
<Mc>1102-
<Tc>1802-
<M>1002-、1202-、1302-
  、1402-、1502-
<T>1602-
1102-16F 1975.6-84.7
<T>1902- 1987.4-87.6
<Mc>1117-
<Tc>1817-
<M>1017-、1217-、1317-
  、1417-、1517-
<T>1617-、1917-
1117-26F 1986..9-89.6
 20系
 日本初の地下鉄向けVVVFインバータ制御車として開発されたもの。車体は10系に類似していて、アルミ車体の18m車。6両編成16本で、中央線に7本、谷町線に9本投入された。
 2006年の近鉄けいはんな線開業により、谷町線の編成はすべて中央線に転属している。

 1984.12.24 中央線にて営業運転開始
 1989.5.17  谷町線運用開始
 2004.7-06.8 谷町線から中央線に転属
 
2015.11 九条駅
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Tc>2601-、2901-
<M>2101-、2201-、2301-
<T>2801-
2601-07F 96 1984.3-89.6 中央線
2631-39F 1989.5-89.6 谷町線
 新20系
 20系の増備車であるが、ステンレス車体となり、別形式のようにデザインが一新された。また、20系の車両番号は4桁だったが、新20系では5桁となり、千の位で投入線区がわかる。500両以上が製造されており、投入線区によって21系〜25系に分類される。第3軌条の5路線すべてにほぼ同時期に投入されたのも特徴で、これによって非冷房車はすべて置換えられた。

 1990.4.25 谷町線22系、四つ橋線24系の営業運転開始
 1991.5.14 御堂筋線21系の営業運転開始
 1991.6.11 中央線24系の営業運転開始
 1991.6.30 千日前線25系の営業運転開始
 2011-21  大規模修繕
   
2023.4 21系:千里中央〜桃山台間 2016.3 22系:谷町九丁目駅
2016.3 23系:なんば駅 2017.8 24系:大阪港駅
2016.3 25系:なんば駅 2016.11 左から25〜21系:緑木車庫
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Tc>21601-、21901-
<M>21001-、21101-
  、21201-、21301-
  、21401-
<T>21501-、21701-
  、21801-
21601-618F 180 1991.4-98.3 御堂筋線
<Tc>22601-、22901-
<M>22101-、22201-
  、22301-
<T>22801-
22601-619F 114 1990.4-96.8 谷町線
<Tc>23601-、23901-
<M>23101-、23201-
  、23301-
23601-622F 132 1990.4-96.10 四つ橋線
<Tc>24601-、24901-
<M>24101-、24201-
  、24301-
<T>24801-
24601-611F 66 1991.6-95.5 中央線
<Tc>25601-、25901-
<M>25101-、25301-
25601-617F 68 1991.4-95.6 千日前線
 30000系
 谷町線30系と、御堂筋線10系の初期車を置き換えるための、第三軌条向けとしては18年ぶりの新形式。新20系に続く新形式なので、30系となってもいいところだが、30系は既にあるため30000系を名乗った。御堂筋線は31系、谷町線は32系とも呼ばれる。

 2009.3.18 谷町線にて営業運転開始
 2011.12.10 御堂筋線運用開始
   
2016.7 31系:西中島南方駅 2023.12 32系:生駒駅 
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Tc>31601-、31901-
<M>31001-、31101-
  、31201-、31301-
  、31401-
<T>31501-、31701-
  、31801-
31601-620F 200 2011.6-21.11 御堂筋線
<Tc>32601-、32901-
<M>32101-、32201-
  、32301-
<T>32801-
32601-613F  78 2008.11-13.9 谷町線
堺筋線
 60系
 堺筋線向けの車両で、大阪市営地下鉄では初めての架線集電。全長18.9mのアルミ車体で、機器類は30系と似たものになっている。
 当初は5両編成18本で、1979年に6両編成、1993年に8両編成化された。8両編成5本のみが冷房化され、1995年以降はこれらのみ残っていたが、2003年11月に運用を終了している。1両が森之宮車庫で保存されている。

 1969.12.6  堺筋線天神橋筋六丁目〜動物園前間開業、営業運転開始
 1979.3.4   6両編成の運行開始
 1990.6-92.8 冷房化改造(40両)
 1993     8両編成の運行開始
 2003.11.7  運用終了
 
60系
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Mc>6001-、6501-
<M>6301-、6401-
<T>6601-、6701-
6001-18F 90 1969.10-69.11 2003.11
 66系
 堺筋線向けのVVVFインバータ制御車。同時期に製造された第三軌条の新20系に似たスタイルである。
 1994年までに8両編成12本が製造されて60系非冷房車を置き換え、2003年に5本が追加製造されて60系冷房車をすべて置き換えている。2012年から更新が始まり、制御器がIGBT素子になった他、前面デザインも変化している。

 1990.8.1  営業運転開始
 2013.1-  大規模修繕
   
2016.7 前期車・未更新車:淡路駅 2016.7 前期車・更新車:淡路駅 
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Tc>66601-、66901-
<M>66001-、66101-
  、66201-、66301-
66601-612F 136 1990.4-94.8 GTO素子
66613-617F 2002.6-03.11 IGBT素子
鶴見緑地線・今里筋線
 70系
 鶴見緑地線向けに登場した、初のリニアメトロ車両。全長は先頭車15800mm、中間車15600mmで、アルミ車体である。
 開業時の1次車は13編成で、延伸時に12編成増備された。1次車は前面が白で、増備車から白と緑の塗り分けとなり、2011年から始まった更新で1次車も似た塗装に変わっている。 

 1990.3.20 鶴見緑地線京橋〜鶴見緑地間開業、営業運転開始
 2011.3-  大規模修繕
  
1990.8 70系1次車:鶴見緑地駅 
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Mc>7001-、7151-
<M>7051-、7251-
7101-13F 100 1990.1 1次車
7114-25F 1994.9-97.2 2次車
 80系
 今里筋線向けのリニアメトロ車両。外観や機器は70系と類似しているが、コストダウンのためのスペック見直しが行われている。8117Fは、2019年に長堀鶴見緑地線へ転用された。

 2006.12.24 今里筋線井高野〜今里間開業、営業運転開始
 2019.3.18 長堀鶴見緑地線運用開始
 
2006.12 80系:井高野駅
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Mc>8101-、8501-
<M>8201-、8401-
8101-17F 68 2004.11-06.10
形式別車両数
種類 形式 1954 1964 1972 1981 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
第三軌条 旧型 81 90 1 1 1
1100・1200形 51 50 38 22
50系 82 188 216 232 146
6000系 6 16
30系 264 353 363 363 174 78 78 66
10系 88 128 234 234 230 230 230 210 100
20系 6 96 96 96 96 96 90 90
新20系 363 560 560 572 572 572
30000系 12 108 218
堺筋線 60系 90 90 90 90 40 40
66系 96 96 136 136 136 136
リニアメトロ 70系 52 56 100 100 100 100 100
80系 4 68 68 68
年表

 ○大阪市
  1933.5.20 1号線(現・御堂筋線)梅田(仮)〜心斎橋間3.1km開業
  1938.4.21 1号線:梅田〜天王寺間全通
  1942.5.10 3号線(現・四つ橋線):大国町〜花園町間1.3km開業
  1961.12.11 4号線(現・中央線):大阪港〜弁天町間3.1km開業
  1964.9.24 1号線:新大阪〜梅田間延伸
  1967.3.24 2号線(現・谷町線):東梅田〜谷町四丁目間3.5km開業
  1969.4.16 5号線(現・千日前線):野田阪神〜桜川間3.7km開業
  1969.12.6 堺筋線:天神橋筋六丁目〜動物園前間7.0km開業
  1972.11.9 四つ橋線:西梅田〜住之江公園間11.8km全通
  1981.12.2 千日前線:野田阪神〜南巽間13.1km全通
  1983.2.8  谷町線:大日〜八尾南間28.3km全通
  1985.4.5  中央線:大阪港〜長田間15.5km全通
  1987.4.18 御堂筋線:江坂〜中百舌間24.5km全通
  1990.3.20 鶴見緑地線(現・長堀鶴見緑地線):京橋〜鶴見緑地間5.2km開業
  1993.3.4  堺筋線:天神橋筋六丁目〜天下茶屋間8.1km全通
  1997.8.29 長堀鶴見緑地線:大正〜門真南間15.0km全通
  2005.7.1  OTS線の第2種事業者となり、大阪港〜コスモスクエア間を中央線に編入
  2006.12.24 今里筋線:井高野〜今里間11.9km開業
  2018.4.1  鉄軌道事業を大阪市高速電気軌道に譲渡

 ○大阪港トランスポートシステム
  1997.12.18 OTS線:大阪港〜コスモスクエア間2.4km開業
  2005.7.1  第3種事業者となる

大阪市高速電気軌道・地下鉄