奥羽山脈は、東北地方を南北に縦断する脊梁山脈。もとは海だったところで、約1000万年前からの隆起と火山活動によって誕生した。主要な山は、ほとんどが火山で、那須火山帯に分類される。奥羽山脈の北部には、八甲田山、八幡平、岩手山、秋田駒ヶ岳などがあり、これらはいずれも活火山である。

八甲田山系
 八甲田山は、約65万年前と40万年前の大噴火でカルデラを形成していた。約16万年前以降に、カルデラ内でさらに火山活動が始まり、大岳など北八甲田の山々が誕生している。標高はさほどでもないが、日本有数の豪雪地帯で、新田次郎の小説にもなった旧陸軍の遭難事故もおきている。八甲田山という名のピークは無く、大岳、井戸岳、赤倉岳、高田大岳などのピークが連なる。また、少し離れたところに南八甲田がある。
2022.5 飛行機より 右が八甲田山主峰、左は南八甲田
 大岳(1584、百名山)
 1993年、紅葉の時期を狙って酸ヶ湯で1泊した。十和田湖は紅葉にはまだ早く、逆にロープウェイ上の紅葉は終っていたので、酸ヶ湯がちょうど見頃であった。
 
  1993.10 酸ヶ湯温泉より   1995.5 睡蓮沼より
左から硫黄岳、大岳、小岳 南からの眺め
 2004年、大岳山頂へは、酸ヶ湯から最短経路で向かった。2時間ほどの登りだったが、湿原ありお花畑ありと変化にとんであっという間である。下りは変化をつけて毛無岱を通ったが、広々として気持ちよかった。 

<酸ヶ湯9:15-11:00山頂11:30-毛無岱-13:15酸ヶ湯> 標高差660m
 2004.7 仙人岱より 2004.7 毛無岱
2004.7 大岳より井戸岳
 岩木山からの眺め。津軽平野を挟んで、八甲田山が手に取るように見えた。北八甲田の峰が連なる様子もよくわかる。
  
2004.7 岩木山より
左が八甲田連山、右は南八甲田
 井戸岳(1550)、赤倉岳(1548) 
 1995年は、もう5月の連休をだいぶ過ぎていたので、場合によっては山頂まで行かれるかと思いながらロープウェイで田茂范岳まで行ったが、考えは甘く山の上はまだ雪が多かった。結局すぐ引き返して、車で八甲田山周遊ドライブに変更した。
 1995.5 田茂范岳より 
左から赤倉岳、井戸岳、大岳 東からの眺め
 前嶽(1252)、田茂范岳(1324)  高田大岳(1552)
 左前嶽、右が田茂范岳、奥は赤倉岳だと思う。八甲田山はいくつも峰があるので、角度によって見え方が変わっていく。これは青森市側から見たところ。  連山の東のはずれにあるが、形はいちばん整っている。睡蓮沼には水芭蕉も少しだけ咲いていた。
  1995.5 萱野高原より   1995.5 睡蓮沼より
 櫛ヶ峯(1517)
 南八甲田の主峰。南八甲田は、大岳がある北八甲田からは少し離れており、火山活動も古い時代に終えている。櫛ヶ峰は、三角形のピラミッドのような形が面白い。
2004.7 大岳より 手前は硫黄岳
岩手山
 薬師岳(2038、百名山)  
 岩手山は、奥羽山脈から少し東にそれた盛岡に近い独立した成層火山で、奥羽山脈全体の最高峰。約70万年前に誕生したとみられている。大規模な噴火は1731年が最後であるが、現在でも時々小噴火する活火山である。登山ルートは多く、最短4時間程度の行程である。
1993.10 八幡平より 2002.7 秋田駒ヶ岳より
2007.2 雫石スキー場より
八幡平周辺
 八幡平(1613、百名山)
 山頂は、山とはいえないほど平坦な地形だが、ここも火山。約7000年前には活動を終えたとみられている。八幡平の名称は、坂上田村麻呂が名付けたという伝説がある。山頂のすぐそばまでバスで行かれることもあって、百名山の中で最も簡単に登れる山だろう。山頂を訪れた時は体育の日を過ぎていたため紅葉が終っていて、少し低い後生掛温泉のあたりが盛りだった。 
1993.10 山頂付近の池 2002.7 秋田駒ヶ岳より
左端の平らなところが八幡平
 秋田駒ヶ岳(1637、二百名山)
  八幡平の南、田沢湖のほとりにある山で、男女岳と男岳の2つのピークがある。約10万年前に活動を開始した比較的新しい火山で、1970-71年にも小規模な噴火があった。
 2002年の訪問時は、登るには少し遅い時間であったが、ちょうど花の季節だったので山頂を目指した。山頂では田沢湖や岩手山、八幡平など360度の展望が楽しめたが、ここの魅力は何といってもお花畑。阿弥陀池付近はミヤマキンバイとチングルマの大群落、そして焼森はコマクサが咲いていた。

<登山口12:55-14:10男岳山頂-14:40男女岳-焼森-15:50登山口> 標高差340m
2002.7 田沢湖より 2002.7 焼森付近より
右が最高峰の男女岳、左は男岳
真昼山地
 和賀岳(1440、二百名山) 
 真昼山地は、秋田駒のさらに南、JR田沢湖線と北上線に挟まれたエリアで、奥羽山脈では珍しく火山では無い。中央が最高峰の和賀岳、右奥に真昼岳、左奥には焼石岳がかすかに見える。
2002.7 秋田駒ヶ岳より

奥羽山脈−八甲田・八幡平