紀元前55年、カエサルは現在のイギリスにあたるブリタニアに侵攻した。しかし、この段階では支配するまでには至らず、紀元後43年のクラウディウスの時代になってようやく南部を属州としている。その後北部に拡大していったが、統一することはできず、ハドリアヌスの時代に長城を築いて国境線を定めた。5世紀はじめには早くもローマ支配が実質的に終わり、混乱の時代へと進んで行った。

イギリス・イングランド
 ハドリアヌスの長城(世界遺産)
 皇帝ハドリアヌスが、122年から10年かけて築いた長城。現在のニューキャッスルからカーライルまで118kmにも及ぶもので、ローマが領土拡大を諦め、自ら国境を定めた転換期を示している。今でもほとんどの区間が残っているが、距離が長すぎるので、もっとも有名なハウステッズ周辺を目指した。
 ニューキャッスル8:24発の列車でスタートしようとしたが、何と土曜日運休。やむなく9:30まで待ってバスに乗ることにした。長城沿いを歩きたいので、ハウステッズを通り過ぎてワンスブルーで下車する。長城は予想以上に起伏があって、時間も体力も必要な所だった。おまけに土砂降りにも見舞われて、辺境の地の厳しい自然を思い知らされることになった。 
  2012.9 ハドリアヌスの長城 2012.9 ハドリアヌスの長城
  2012.9 ハドリアヌスの長城 2012.9 ハドリアヌスの長城
 歩き始めて2時間半ほどで、ようやくハウステッズに到着。ここは、城壁沿いの砦が最もよく残されている所で、風呂やトイレも完備されていたことがわかる。少し前の土砂降りが嘘のように晴れてきた。
2012.9 ハウステッズ 2012.9 ハウステッズ
 ハウステッズからバスに乗って、10分ほどのヴィンドランダへ。ここはローマ軍の補給基地の跡で、ハウステッズに似ているが規模が大きい。事前にNHKの特番でこの遺跡の説明を見ていたので、興味深い所だった。
2012.9 ヴィンドランダ 風呂 2012.9 ヴィンドランダ 金庫?
2012.9 ヴィンドランダ 幹部の家 2012.9 ヴィンドランダ 全景
 ☆世界遺産「ハドリアヌスの長城」 1987年登録
   2005年、ドイツの「リーメス」が追加されて、「ローマ帝国の国境線」となる

古代ローマ -ブリタニア