紀元前3世紀、イタリア半島全域に拡大した共和制ローマは、シチリア島をめぐってカルタゴと戦う。この第1次ポエニ戦争の結果、紀元前241年にシチリアがローマに併合され、ローマにとって最初の属州、シチリア属州が成立した。シチリア島には、シラクーサ、アグリジェント、タオルミーナなど多くのギリシャ植民都市があり、その多くはローマ化後も引き続き繁栄している。ローマ時代の新しい都市は少なく、この時代で最も有名なのはモザイクに彩られた別荘である。

シチリア島
 ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ(世界遺産)
 シチリア島のほぼ中央にある、4世紀頃のローマ時代の別荘。建設者が誰であるかはわかっていないが、数多くある部屋の床が見事なモザイク画で彩られている。保存状態も素晴らしいことから、世界遺産に登録されている。
 遺跡の入口近くにあるのは浴場。冷浴室、熱浴室、マッサージ室などいくつもの部屋があり、それぞれにモザイクが描かれている。ここは少し離れた所からしか見られなかった。
 
2023.5 浴場のモザイク 2023.5 浴場のモザイク
 続いてメインの建物へ。大きな中庭があり、その周りを回廊が取り囲んでいる。回廊の床は、同じパターンのモザイクが敷き詰められていた。
2023.5 中庭と回廊 2023.5 回廊のモザイク
 中庭の北側には、小さな部屋がいくつもあり、それぞれ異なるモザイクが描かれている。高い所に見学用の通路が設置されていて、モザイクをじっくり見下ろすことができた。四季の部屋、ダンスの間、小さな狩猟の間などの名前が付けられていたが、どのモザイクがどこかよくわからなくなった。
2023.5 北側の部屋のモザイク 2023.5 北側の部屋のモザイク
 中庭の東側には、狩猟の大廊下と呼ばれる細長い部屋がある。ここは様々な動物の狩りをする場面が、絵巻物のように長く描かれている。最も見応えがあるところで、見ていて飽きない。
2023.5 狩猟の大廊下のモザイク 2023.5 狩猟の大廊下のモザイク
 中庭の南側の部屋は少ないが、その1つにビキニの少女のモザイクがある。モチーフの面白さから、ガイドブックなどで取り上げられていて、この遺跡で最も有名なモザイクである。数多くのモザイクを見た後であるが、ここまでのやや重々しいモザイクとは違っていて、やはり印象に残るものだった。
2023.5 ビキニの少女のモザイク
 狩猟の大廊下のさらに東側にも、子供部屋やバジリカなどがある。子供部屋では、モザイクに描かれているのも子供になっている。
2023.5 子供部屋のモザイク 2023.5 オデュッセウスとポリフェモスのモザイク
 ☆世界遺産「ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ」 1997年登録

古代ローマ -シチリア