ヘレニズム時代のトルコは、セレウコス朝シリアとアンティゴノス朝マケドニアの狭間にあたり、ペルガモン王国やカッパドキア、カッパドキアなど群雄割拠の状態になる。しかしローマが徐々に東方へ進出し、紀元前168年にアンティゴノス朝、紀元前133年にはペルガモン王国が滅亡していった。ローマの属州アシアとなった後も、この地域はローマとオリエントを結ぶ重要な中継地であり、多くの都市が繁栄してる。そして330年には新首都コンスタンチノープル(現イスタンブール)が建設され、現在のトルコがローマ帝国の中心となるが、間もなく395年にローマ帝国は東西に分裂して新たなビザンチン時代に入ることになる。

トルコ・エーゲ海地方
 エフェソス遺跡(世界遺産)  
 エフェソスは紀元前6世紀頃からギリシャ人の街として繁栄し、ローマ時代に頂点を迎えた。現在の遺跡のほとんどはローマ時代の2世紀頃のものである。ここはエーゲ海のリゾート地クシャダスに近く、気軽にミニバスで訪れることができた。
 バス停から歩き始めると、すぐに門のような遺跡が見えてきて期待が高まる。中に入ると、入り口のすぐ脇にあると思った劇場が遠くに見えて、遺跡の規模の大きさを感じた。
1997.7 遺跡入口 1997.7 港の体育場
奥は劇場
 まずは全体を見ようと、劇場の客席を登った。劇場の正面にはハーバーロード(アルカディアネ)と呼ばれる1本の道が伸びていて、その先に緑色の平らな所が見える。これがかつての港で、海岸線が遠ざかったために緑色の海のように見えているのである。思ったよりわかりやすく残っていて、古代の風景を容易に想像できた。
1997.7 劇場 1997.7 ハーバーロード
 エフェソスの遺跡でいちばん印象的なのはケルスス図書館で、その高さに圧倒される。ここは規模も立派だが、、1つ1つの装飾はとても繊細で目を見張るものがある。逆光になってしまったのが残念で、午前中に来るべきだったと思う。
1997.7 ケルスス図書館 
 
1997.7 ケルスス図書館の装飾 1997.7 古代の落書き
 ケルスス図書館からさらに奥に進むと、キュレテスロードという緩やかな坂道に出る。この道の両側には、これでもかと遺跡が並んでいて前に進めない。じっくり見たら1日かかりそうな所である。
1997.7 キュレテスロード 1997.7 住居跡
 キュレテスロードにある建物の中でも、ひときわ美しいのがハドリアヌス神殿とトラヤヌスの泉である。細い柱やアーチ、美しい装飾など、とても繊細でどこから見ても絵になる。さまざまな遺跡を見たが、ここの美しさは指折りで、ここが世界遺産に登録されていないのがどうにも不思議だと思う。
1997.7 ハドリアヌス神殿 1997.7 トラヤヌスの泉
 坂を登りきったあたりにも、ドミティアヌス神殿や音楽堂など見所が集まっている。ほかにも、名前はわからないが見応えのある遺跡がいくつもあって、かなり満足度の高い遺跡だと思う。
1997.7 ドミティアヌス神殿 1997.7 音楽堂
1997.7 ヴァリウスの浴場? 1997.7 メミウスの碑
 ☆世界遺産「エフェソス」 2015年登録
トルコ・アナトリア地方
 ヒエラポリス(世界遺産)
 パムッカレの石灰棚の上に残る遺跡。遺跡としては有名ではないのであまり期待していなかったが、行ってみると見渡すかぎり遺跡が点在している。2世紀の劇場や、4世紀後半の教会遺跡マルティリウムなど、1つ1つの保存状態もよく見応えがあった。
  1997.7 劇場  1997.7 マルティリウム
 大通りの北端は、ドミティアンゲートをはじめいくつものアーチが連なっていて絵になる。この後、もう1ヶ所立派な遺跡を見ているが、これが何だかわからなくなってしまった。
  1997.7 ドミティアンゲート  1997.7 南門?
 ☆世界遺産「ヒエラポリス/パムッカレ」 1988年登録

古代ローマ −アジア