ガリアは、現在のフランスを中心とする地域で、かつてガリア人が住んでいたためこう呼ばれた。現在の南フランスにあたるガリア・ナルボネンシスは、紀元前2世紀までにローマの属州となっていたが、その北は紀元前58年から51年にかけてカエサルのガリア戦争によって征服されている。ローマ帝政期には、もっともローマ化した属州の1つといわれた。

フランス・プロヴァンス地方
 アルル(世界遺産)
 アルルは、ローマのガリアにおける最重要拠点の1つで、西ローマ帝国の西部の都となったこともある。マルセイユから列車で気軽に訪れることができるのがいい。
 闘技場はかなり修復されているようで、市街地にぽつんと建っていることもあり、ローマの雰囲気はあまり感じられなかった。
   1994.2 ローマ闘技場 1994.2 ローマ闘技場
   1994.2 古代劇場
 ☆世界遺産「アルルのローマ遺跡とロマネスク様式建造物群」 1982年登録
 グラヌム遺跡
 ガリアがローマ化される以前の紀元前6世紀頃まで遡る遺跡。ギリシャ、ローマなどさまざまな時代のものが混在しているところである。
 この日はポン・デュ・ガールに行く予定だったが、乗換のニームに荷物を預けられる場所がなく、スーツケースを持ったままというわけにもいかないので断念。宿泊するアヴィニョンに直行した。そして15時からでも行かれる所としてグラヌムを選んだ。アヴィニョンからバスで50分、ゴッホで有名なサンレミ・ド・プロヴァンスから20分ほど歩いて16時20分到着。思ったより規模が大きく、人が少ないのでじっくり堪能した。とくに展望台からの眺めがいい。 
   2012.9 グラヌム遺跡  2012.9 グラヌム遺跡
   2012.9 グラヌム遺跡  2012.9 グラヌム遺跡 展望台より
 グラヌム遺跡の入口付近には、ローマ時代の霊廟と凱旋門がある。規模は小さいが、彫刻は見応えがあった。 
   2012.9 霊廟  2012.9 凱旋門
 オランジュ(世界遺産)
 ローマ時代はアルルほど大きな街ではなかったようだが、巨大なローマ劇場が残っていることで知られる。アヴィニョンから列車で20分なので、ついでという感じで予定に組み入れた。
 オランジュ駅は9時前に到着。ローマ劇場のオープン前なので、まず凱旋門まで歩く。葉っぱのような不思議な彫刻が印象に残った。
 
   2012.9 凱旋門  2012.9 凱旋門の彫刻
 ローマ劇場は街の中心にある。オープンしたばかりなのに、入り口には行列があった。舞台背後の石壁は保存状態がよく立派で、片手をあげるアウグストゥスがおもしろい。 
   2012.9 ローマ劇場 2012.9 アウグストゥスの彫像
  2012.9 ローマ劇場 2012.9 ローマ劇場外観
 ☆世界遺産「オランジュのローマ劇場とその周辺および凱旋門」 1981年登録
フランス・ラングドック=ルシヨン地方
 ポン・デュ・ガール(世界遺産)
 ローマ時代の紀元前19年頃、ユゼスの水源からニームまで50kmにおよぶ水道が建設された。その最大の難所に造られたのがポン・デュ・ガールで、長さは275m、高さは49mもある。ローマ時代の水道橋は各地に残るが、その中でも最大級のものである。
 アヴィニョンからのバスは11時40分発。オランジュからの列車が30分以上遅れたので、走って飛び乗る。バスは一日数本なので危ない所である。ローカルバスなので小さな村を巡りながら40分程で到着。まずは北岸の展望ポイントを目指すが、道を間違えてずいぶん遠くまで行ってしまった。しかし、おかげで大自然に溶け込む水道橋を眺められてた。
 2012.9 ポン・デュ・ガール 北岸より
 橋を渡った南岸にも、川沿いから高いところまでいくつも展望ポイントがある。水道橋はどこから見ても美しく、予定をオーバーして4時間も滞在してしまった。ローマの水道橋はいくつも見てきたが、ここが最も美しいと思う。
 2012.9 ポン・デュ・ガール 南岸より
 
 2012.9 ポン・デュ・ガール 北岸より
 ☆世界遺産「ポン・デュ・ガール」 1985年登録
 ニーム(世界遺産)
 ニームもローマ時代の主要都市の1つで、保存状態のいい闘技場が残っている。ポン・デュ・ガールでゆっくりしたので、ここは闘技場だけを見るつもりだったが、何と闘技場はイベントで使われていて中に入れない。やむなく街の中を散策することになった。メゾン・カレは新しそうに見えるが、西暦5年に建てられたらしい。なお、ニームに数多くある古代建築物のうち、メゾン・カレだけが世界遺産に登録された。
  2012.9 ローマ闘技場 2012.9 メゾン・カレ
 ☆世界遺産「ニームのメゾン・カレ」 2023年登録
 街の北西にあるフォンテーヌ公園には、紀元前に建てられたマーニュの塔がある。丘をかなり登らなければならず、思ったより行くのに時間がかかった。ここから駅まで戻るのに約30分。また列車の時間ぎりぎりになってしまった。
  2012.9 フォンテーヌ公園内
ディアヌの神殿
2012.9 マーニュの塔
フランス・ローヌ=アルプ地方
 ヴィエンヌ、サン・ローマン・アン・ガル
 ローヌ河に面するヴィエンヌは、対岸のサン・ローマン・アン・ガルとともに、ローマ以前から街があった所である。この日はリヨン近郊のシャポノにある水道橋を見に行く予定だったが、ここまでいくつもの水道橋を見て堪能していたので、タイプの違う遺跡を見ようということでヴィエンヌに向かった。
 ガイドブックにはサン・ローマン・アン・ガルのことが載っていないので、駅に着いたらまず観光案内所へ。歩いて20分程ということだったので、川沿いに歩いて行った。遺跡は残っているものが少なく、想像力が必要だったが、博物館のモザイクは見応えがあった。
  2012.9 サン・ローマン・アン・ガル 2012.9 サン・ローマン・アン・ガル
 川を渡ってヴィエンヌに戻ると、もう列車まで40分。劇場を一目見ようと思ったが、なかなか見つからない。ようやく見つけた劇場は塀で囲まれていて、隙間から覗いただけであった。 
  2012.9 ヴィエンヌ市街の遺跡 2012.9 ローマ劇場

古代ローマ -ガリア