いずれも、国鉄松浦線(現在の松浦鉄道)から分岐していた路線。運炭路線の性格が強い路線であった。柚木線は1967年の水害で不通となって、そのまま廃止。臼ノ浦線と世知原線も、1968年に国鉄諮問委員会が「使命を終えた」とした赤字83路線の1つであった。
柚木線
 左石〜柚木3.9km 
 柚木周辺の炭鉱から相浦港まで石炭を運ぶ目的で建設された路線。炭鉱の閉山などによって貨物営業が無くなった後はレールバスが走るだけとなり、1967年の水害で被害を受けるとそのまま廃止された。

  1920.3.27 佐世保軽便鉄道の路線として開業
  1923.12.26 佐世保鉄道と改称
  1936.10.1 国有化、松浦線の一部となる
  1943.8.30 762mmから1067mmに改軌
  1945.3.1  柚木線と改称
  1962.3.10 貨物営業廃止
  1967.7.9  水害により休止 (1967.9.1廃止)

 左石駅周辺を除く、ほとんどの区間は自転車歩行者道路となっている。細い道幅や緩やかなカーブは、鉄道の雰囲気を感じられた。終点の柚木駅跡は市営住宅となっているが、もう人が住んでいないように思われた。  
2023.11 肥前池野〜高尾間@ 2023.11 高尾〜柚木間A
2023.11 柚木駅跡B 突き当たりの住宅のあたりが柚木駅跡
臼ノ浦線
 佐々〜臼ノ浦3.8km 
 臼ノ浦の港まで石炭を運ぶ目的で建設された路線。柚木線と同様に、炭鉱の閉山などによって貨物営業が減少した。そして、鉄道としての役割を終えた路線として、1971年に廃止されている。

  1931.8.29 佐世保鉄道の路線として開業
  1936.10.1 国有化、松浦線の一部となる
  1944    762mmから1067mmに改軌
  1945.3.1  臼ノ浦線と改称
  1971.4.1  貨物営業廃止
  1971.12.26 廃止

 松浦線との分岐部には、カーブを描く築堤がはっきり残っている。その先は道路に取り込まれた所が多く、廃線跡を特定しにくい。終点の臼ノ浦駅跡は、駅舎があった土台を活用して公民館が建てられており、臼ノ浦線の看板も立てられていた。
  
2023.11 松浦線との分岐部C
右に伸びるのが現在の松浦鉄道
2023.11 肥前黒石〜大悲観間D
2023.11 臼ノ浦駅跡E
世知原線
 肥前吉井〜世知原6.7km 
 もとは石炭を運ぶ専用鉄道として建設されたもので、佐世保鉄道が買収して地方鉄道となり、その後は柚木線、臼ノ浦線と同様の歴史をたどった。鉄道としての役割を終えた路線として、臼ノ浦線と同じ1971年に廃止されている。

  1896    九州松浦炭礦専用鉄道として開業
  1933.10.24 佐世保鉄道により地方鉄道として開業(貨物線)
  1934.2.11 旅客営業開始
  1936.10.1 国有化、松浦線の一部となる
  1944.4.13 762mmから1067mmに改軌
  1945.3.1  世知原線と改称
  1971.4.1  貨物営業廃止
  1971.12.26 廃止

 松浦線と分かれてすぐ、廃線跡はサイクリングロードとなる。鉄道の雰囲気は感じられるが、途中駅の位置は判別できなかった。終点の世知原駅跡は公園になっているが、高低差があって駅跡らしさがない。近くには、かつての炭鉱事務所の建物が残っており、現在は炭鉱資料館となっている。
  
2023.11 吉井〜御橋観音間F 2023.11 御橋観音〜祝橋間G
2023.11 世知原駅跡H 2023.11 松浦炭鉱事務所跡H

柚木線・臼ノ浦線・世知原線