帯広から大雪山を超えて上川を目指した路線。峠を超えることは叶わず、糠平ダム建設による路線付け替えや糠平以北の代行バス化など、数奇な運命をたどっている。存廃の基準となった輸送密度は493人、収支係数1411で、輸送密度だけをみると第1次特定地方交通線のレベルだが、延長が50km以上あるため第2次特定地方交通線として廃止された。

  1925.12.10 帯広〜士幌間開業
  1939.11.18 帯広〜十勝三股間全通
  1955.8.1   糠平ダム建設に伴い、清水谷〜幌加間を新線に切替
  1978.12.25 糠平〜十勝三股間が代行バス化される
  1984.6.22  第2次特定地方交通線として廃止承認
  1987.3.23  全線廃止 
  1932 1937 1949 1956 1960 1965 1970 1973 1977 1980 1983 1986
 輸送人員(千人/日) 0.5 0.8 2.9 3.7 4.1 4.6 2.6 2.1 1.9 1.6 1.1 1.1
 輸送密度(千人/日) 0.3 0.3 0.8 1.2 1.3 1.5 0.9 0.7 0.5 0.5 0.4 0.3
 貨物輸送量(万t/年) 6.1 10.9 17.4 31.0 35.9 34.8 30.2 19.5 9.8 10.5
廃線跡
 帯広〜十勝三股78.3km
 糠平湖に残る橋梁は、残っていることを全く知らずに通りかかったので、かなり印象に残っている。糠平駅跡も偶然見つけたもので、ぽつんと立つ腕木式信号からはいろいろなことを思い起こさせる。この頃から廃線跡が気になるようになったものである。 
1993.9 糠平駅跡J 1993.8 糠平湖の橋梁M
 糠平〜十勝三股間は、ダムの建設によってルートが変わり、さらに78年からは全国唯一の代行バスが走るという変わった歴史をもつ区間である。このルート変更後の新線は国道とほぼ並行しており、気にして見ているとバスからでも廃線後がけっこう見えた。 
2008.2 糠平-幌加間 五の沢橋梁L 2008.2 糠平-幌加間L
 士幌線沿線3度目の訪問で、ようやくほぼ全区間を探訪。帯広を出て最初の木野駅は、駅跡は特定できなかったが、廃線跡は盛り土になっていてすぐわかった。 
2015.9 木野駅付近A
 音更駅跡は公園になっていて、SLと除雪車が保存されていた。その先、駒場駅跡、中士幌駅跡と、駅跡は発見できるが、区画整理されているのかこの辺りの廃線跡は全くわからなかった。 
2015.9 音更駅跡B 2015.9 音更駅跡の除雪車B
2015.9 駒場駅跡C 2015.9 中士幌駅跡D
 士幌駅跡は、駅舎とホームが残されていて、貨車が保存されている。きれいに整備されていて、一見すると現役の駅のようだった。
2015.9 士幌駅跡E 2015.9 士幌駅跡E
 北平和駅跡は発見できず。上士幌駅跡は公園になっていたが、保存されていると聞いていた客車は見つけられなかった。
2015.9 上士幌駅跡F 2015.9 清水谷駅跡G
 清水谷駅跡を過ぎると、十勝平野が終わる。廃線跡は森の中で近づくことが難しいが、第三音更川橋梁、第四音更川橋梁は、国道から見える場所にあった。
2015.9 第三音更川橋梁H 2015.9 第四音更川橋梁I
 22年ぶりの糠平駅跡は、きれいに整備されていた。糠平駅の前後の廃線跡は遊歩道となり、歩いていくと糠平川橋梁に出た。
2015.9 糠平駅跡J 2015.9 糠平駅付近J
2015.9 糠平川橋梁K
 幌加駅は、1978年にバス代行化されて以降、列車が来ることはなかったが、それから40年近く経ってもホームやポイントなどが残っている。士幌駅とともに、往年の雰囲気をもっとも感じられる所だった。
2015.9 幌加駅跡N 2015.9 幌加駅跡N
 幌加駅の少し先に、第五音更川橋梁がある。橋の袂まで行ってみると、柵などは何もなく、その気になれば橋の上を歩けそうだった(もちろん落ちたら命は無いが)。終点の十勝三股駅は、広大な空き地になっていて、完全に秘境駅であった。
2015.9 第五音更川橋梁O 2015.9 第五音更川橋梁O
2015.9 十勝三股駅跡P
 冬に所用で帯広へ行ったので、帯広駅周辺を少しだけ歩いてみた。帯広駅は1996年に高架化され、面影は無くなったが、根室本線と分かれてから少しの区間は廃線跡が遊歩道になっている。
2016.2 帯広〜木野間@ 高架橋は現在の根室本線
   
 士幌線旧線(糠平〜十勝三股) 
 糠平ダム建設前の旧線には、季節によって湖底から幻のように姿を表すアーチ橋がある。そんな話を聞いてから気になってしかたなく、橋がもっともよく見える冬に訪れることにした。五の沢の駐車場から湖を横断するのが一般的なルートで、予想以上に大勢が橋を目指して歩いていたのには驚いた。お目当ての橋は今にも崩れ落ちそうになりながらも、雪山をバックに何ともいえず美しい。寒さも忘れて2時間以上見続けてしまった。 
2008.2 タウシュベツ橋Q
2008.2 タウシュベツ橋Q 2008.2 タウシュベツ橋Q

士幌線