総武線の電化に合わせて、東京〜錦糸町間の地下区間を走行できる特急電車として設計された車両。車体は鋼製の20m級で、貫通型と非貫通型がある。座席は、普通車も簡易リクライニングシートを装備。台車は485系と同等のインダイレクトマウント式空気ばねDT32EとTR69E。主電動機も485系と同等のMT54系(1時間定格出力120kW)。駆動は中空軸平行カルダン、制御は電動カム軸式、制動は電磁直通(発電併用)で抑速ブレーキ付きである。新製冷房車で、特急型としては初めて食堂車が設定されていない。国鉄時代に登場したものはすべてJR東日本に引継がれたが、JR西日本にも、485系を改造した700・800番台、200・300番台が登場している。
国鉄
 0番台  
 1972年7月に、「さざなみ」「わかしお」で営業運転を開始した。地下区間における非常時の脱出を考慮して、貫通型となっている。

  1972.7.15  「さざなみ」「わかしお」にて営業運転開始(9両編成)
  1972.10.2  「あずさ」運用開始
  1975.3.10  「しおさい」「あやめ」運用開始
 
1985.4 特急「しおさい」  1987.2特急「あやめ」、佐原駅
 1000番台  
 耐寒耐雪装備の1000番台は、1974年12月に「とき」にて営業運転を開始し、さらに「白根」「あまぎ」に投入される。1982年11月の上越新幹線開業後により「とき」「白根」運用は無くなり、ほとんどが「あずさ」に転用されている。「あまぎ」から変わった「踊り子」運用も1985年に終了した。

  1974.12.29  「とき」にて営業運転開始(12両編成)
  1975.12.26  「白根」にて営業運転開始
  1976.3.1   「あまぎ」運転開始
  1982.11.15  「とき」「白根」運用終了、「あずさ」運用開始、「あまぎ」が「踊り子」と改称
  1985.3.14  「踊り子」運用終了
 
1980.8 特急「あまぎ」  1983.8 特急「あずさ」
 1500番台  
 1000番台を房総地区に転用するにあたって、地下線を走るためのATS等を搭載したもので、制御車のみの形式。新造車と1000番台からの改造車があり、いずれも非貫通である。
 1500番台は14両しかないが、183系の中でも最後まで使用されており、保存車もある。クハ183-1529は、伊勢崎市の華蔵寺公園で保存されていたC61-20が動態復元されることになったため、その代わりとしてJR東日本が無償譲渡したもの。遊園地の中だが、入場料は必要ない。
 
1985.4 1500番台:特急「さざなみ」 2017.6 クハ183-1529:伊勢崎市華蔵寺公園
 番号 M
182
M
183
 Tc
182
Tc
183
Ts
183
 前歴  登場  消滅  備考
 1- 57 57 39 19 新製 1972.6-75.2 2006.5
1001- 58 58 32 10 1974.12-78.8 2015.4
1101- 17
1501- 6 1981.11-82.10 2013.11
8 1000番台 1982.3-8 2015.5
 1- 2 T481 1985.3-86.10 2015.3  
101- 5 5 T481・489
151- 2
1051- 4 Ts481 1978.7-9 1989.8
JR東日本
 幕張電車区/幕張車両センター 
 1972年7月に、「さざなみ」「わかしお」で営業運転を開始した。1982年には1000番台・1500番台も転入し、そのままJRに引継がれる。E257系に置換えられて、2005年12月に定期特急運用は終了した。
 一方、「あずさ」の運用縮小に伴い、2002年に9両編成4本が国鉄色となって幕張電車区に転入し、「中央ライナー」向けのC編成となった。中間車は0番台で、先頭車は0番台・1000番台と189系が混在していた。また同時期に、波動用のオール1000番台31・32編成も転入する。C編成は2009年に運用終了、最後まで残った波動用31・32編成も2013年に営業を終えた。C編成の先頭車2両は、鉄道博物館の休憩・飲食用として屋外展示されている。

  1972.7.15  「さざなみ」「わかしお」にて営業運転開始
  1982.11.15 1000番台・1500番台の運用開始
  2002.    C編成と波動用31・32編成が転入、C編成は国鉄色となる
  2004.10.16 「さざなみ」「わかしお」運用終了
  2005.12.10 「しおさい」「あやめ」運用終了により、定期特急運用が無くなる
  2009.3.14  C編成によるホームライナー運用終了、定期運用が無くなる
  2013.12.23 最後の営業運転
 
2015.12 クハ183-1009・1020:鉄道博物館
 番台 M
182
M
183
Tc
183
Ts
183
 前歴  登場  消滅  備考
 0番台 57 57 38 15 国鉄 1987.4 2013.11
1000番台 6 6 3
1500番台 12
 ※車両数はJR発足時のもの
 松本運転所  
 特急「あずさ」では、1972年から幕張電車区の0番台が使用されていたが、1982年上越新幹線開業により、余剰となった1000番台が投入された。1988年に登場した「あずさ」グレードアップ編成、1992年に登場したアコモ改造編成では塗装が変更されている。2002年に、E257系に置換えられて「あずさ」定期運用が終了した。

  1982.11.15 長野運転所に1000番台転入、「あずさ」にて運用開始
  1986.11.1  松本運転所に転属
  1987.12.26 グレードアップ編成登場
  1992.7    あずさ色への変更開始
  2002.12.1  「あずさ」定期運用終了
1988年頃 1000番台「あずさ」グレードアップ色
 番台 M
182
M
183
Tc
182
Tc
183
Ts
183
 前歴  登場  消滅  備考
 0番台 2 国鉄 1987.4 2003.4
100番台 5 7
1000番台 48 48 24 5  
1100番台 14
 ※車両数はJR発足時のもの
 長野総合車両所/長野総合車両センター 
 1998年に、先頭車が1500番台、中間車は189系のN101編成6両が松本から転入し、快速「妙高」などで活躍した。2013年には先頭車1500番台、中間車1000番台のN104編成も転入したが、2年ほどで引退。N101編成の先頭車が183系の中でも最後の2両となり、2015年5月にさよなら運転を行って消滅した。N104編成の先頭車だったクハ183-1527が保存されている。

  1998.11.14 松本から1500番台先頭車2両転入(N101編成)
  2012.10   N101編成が国鉄色に戻る
  2013.7.30  大宮のOM103編成転入(N104編成)
  2015.5.17  N101編成で最後の営業運転
 
 2017.4 クハ183-1527・21:いすみ市ポッポの丘
 名称 番台 M
182
M
183
 Tc
182
 Tc
183
 前歴  登場  消滅  備考
N101編成 1500番台 2 松本 1998.11 2015.5
N104編成 100番台 1 大宮 2013.7  
1000番台 4
1500番台 1
 田町運転区/田町車両センター 
 波動用の167系を置換えるため、長野・松本・幕張から転入したもの。M車は先頭車が189系の編成、Tc車は中間車が189系の編成である。「ムーンライトながら」や「ホリデー快速」などで運用された。田町車両センター廃止とともに大宮総合車両センターへ転出した。
 番台 M
182
M
183
Tc
183
 前歴  登場  消滅  備考
1000番台 6 6 1 長野、松本、幕張 2002.7-03.4 2013.3 →大宮 
 高崎運転所/高崎車両センター 
 2003年に、松本運転所で余剰となった6両編成3本が転入し、臨時・団体向けの165系を置換えた。2005年には幕張車が転入し、編成を組替えた上で大宮総合車両センターへ転属している。
 番台 M
182
M
183
Tc
182
Tc
183
 前歴  登場  消滅  備考
100番台 2 2 松本 2003.2-03.4 2006.3 →大宮
1000番台 6 6 2
 大宮総合車両センター東大宮センター 
 2006年に、高崎車両センターの波動用6両編成3本が転入。さらに2013年には田町から189系混結編成が転入した。このうち1本は2013年7月に長野へ転出し、残りは2014年までに廃車となった。
 番台 M
182
M
183
Tc
182
Tc
183
 前歴  登場  消滅  備考
100番台 2 高崎 2006.3 2014.1 OM101-103
1000番台 6 6 1
1500番台 3
1000番台 5 5 1 田町 2013.3 H61、81、101
JR西日本
 福知山運転所/福知山電車区 
 福知山線電化の際に、直流区間でありながら交直流の485系が配置され、特急「北近畿」にて営業運転を開始した。しかし、1991年に113系を交直流化して七尾線へ投入するために交流機器を撤去し、183系800番台となった。その後も700・800番台への追加改造があった他、交流機器を使用停止にしただけの200番台も登場している。最終的には、合わせて116両が改造されており、485系時代の前照灯はそのまま残っている。2013年3月に定期運用を終了し、同年中に全車廃車となった。北近畿色は国鉄色に似ているが、細い赤帯が追加されている。

  1986.11.1 福知山線および山陰線福知山〜城崎間電化、特急「北近畿」運行開始
  1996.3.16 山陰線京都〜福知山間電化
         特急「きのさき」「はしだて」「たんば」「文殊」運行開始
  1999.10.2 舞鶴線電化、特急「まいづる」運行開始
  2013.3.16 定期運用終了
2006.12 はしだて色:新大阪駅(左の車両) 2008.6 はしだて色:天橋立付近
 
左:北近畿色 右:はしだて色の切妻先頭車
 番台 Mc
183
M
182
M
183
 Tc
183
Thsc
183
Tsc
183
 前歴  登場  消滅  備考
700番台 13 12 1 10 485系 1990.6-09.11   2013.11   交流機器
撤去  
750番台 2
800番台 4 21 1 6
850番台 4 4 1
1800番台 5 6
2700番台 9
2750番台 1
200番台 6 9 7 485系 2003.9-09.12 2011.10   交流機器
使用停止  
300番台 2
600番台 1
1300番台 1
車両配置表
1975 1978 1980 1985 1987 1990 1995 2000 2005 2010 2012 2015
上沼垂 38 87 144
高崎 18
幕張 171 171 171 207 196 191 169 128 96 12 12
大宮 18 18
田町 35 35 1 13 13 13
松本 153 150 156 79
長野 135 1 2 2 2 2 6
福知山 36 70 86 104 40
183系