静岡鉄道は、静岡電気鉄道、秋葉鉄道、藤相鉄道、中遠鉄道が1943年までに合併したもので、一時は100km近い大ネットワークであった。現在は1路線11.0kmのみに縮小している。
2023.7 新清水~入江岡間
戦前~終戦直後
 旧静岡電気鉄道
 静岡清水線は、蒸気の軽便軌道で始まり、1920年に1067mmの電気運転に変わった。この時点では木造単車の寄せ集めだったが、1924年からボギー車の導入が始まり、単車は数年で姿を消している。1926年製の木造電動貨車デ10(後のデワ1)は、戦後も木造のまま使用され、1982年の除籍後も長沼車庫で保存されている。 
2019.10 デワ1:長沼車庫
種類 旧形式 番号 両数  前歴 登場 消滅 備考
EC モハ1形等 14 玉川・美濃等 1920 1929?
モハ20形 5 新造 1924 1937
モハ30形 5 新造 1924 1937
モハ100形 モハ3(クハ6) 2 新造 1927
モハ120形 2 新造 1930 1938
モハ300形 モハ10-15
(クハ11等)
5 モハ30形 1937
モハ200形 モハ5-6 2 新造 1939
モハ220形 モハ7-9 3 新造 1940
モハ1形 モハ1-2
クハ2
5 相模モハ1等 1948
モハ500形 モハ16-17 2 東急3250形 1949 1975
モハ18-20 3 国鉄モハ15形 1957 1982
クハ1・3・5 3 近江 1953 1961
クハ7 1 国鉄セミボ20 1955
FC デ3形 - 3 新造 1921
デ10形 デワ1 1 新造 1926 1982
戦後~1970年代
 21・100形
 静岡鉄道は、地方鉄道としては珍しく、1957年から車両の自社製造を始めた。最初に登場した21形は機器や台車等を流用していたが、100形はれっきとした新造車で、しかも17m級全鋼製丸妻の立派なものであった。100形のうち6両が熊本電鉄、2両が日立電鉄に譲渡されている。
クモハ100形
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
21形 モハ21-25
クハ21-25
10 新造 1957-61 1973
100形 クモハ101-110 10 新造 1961-66 1979 →熊本・日立
 300・350形
 100形に続く自社製車両300形は、地方鉄道としては画期的なカルダン駆動の高性能車だった。また、吊掛駆動の旧型車に300形と同じ車体を載せて更新した350形も登場している。優秀な車両であったため、すべて廃車後は他社に移り、日立電鉄では1993年まで、福井鉄道では2006年まで使用された。クモハ352の車体が鉾田市内で倉庫となっており、塗装は静岡鉄道時代のものに戻されている。
2017.9 クモハ352:鉾田市内
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
300形 301-303 6 新造 1966.10-67.10 1986.7 →福井鉄道
350形 351-352 2 国鉄クモハ10形 1968.10 1984.10 →日立電鉄
 清水市内線
 戦前は静岡清水線も軌道線であったが、1945年に鉄道線に転換したため、両端の清水市内線と静岡市内線のみが軌道として残された。清水市内線は1974年の豪雨で全線不通となり、そのまま復旧することなく1975年3月に廃止されている。清水市内線ゆかりの保存車はモハ65のみで、国鉄清水港線の廃線跡にあったが、現在は伏木貨物ヤードに移動している。
2006.2 65形:清水港線廃線跡
 駿遠線
 もとは藤相鉄道と中遠鉄道が建設したもので、藤枝市と袋井市を結ぶ、約65kmの日本最長を誇る軽便鉄道だった。静岡鉄道に合併したのは1943年、全線開通したのは1948年であったが、1954年には早くも一部廃止が始まる。そして1970年に全線廃止となった。軽便鉄道らしくバラエティにとんだ車両が使用されていたが、気動車やディーゼル機関車の保存車は無く、SLが1両残るのみである。
キハD13形
1980年代以降
 1000系
 旧型車を置き換えるために登場した、オールステンレスカー。13年にわたって製造されており、初期の車両は非冷房だったが、後に冷房化改造されている。
 
2016.8 新静岡駅付近  2017.7 日吉町付近
 
2021.1 新静岡駅付近 2019.10 長沼車庫 
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
クモハ1000形
クハ1500形
1001-12
1501-12
24 新造 1973.4-85.10
 A3000系
 静岡鉄道に30年ぶりに登場した新造車で、1000系をすべて置き換える予定である。静岡鉄道初のVVVFインバータ制御で、1編成ごとに異なるカラーで竣工している。
 
 
2017.7 長沼駅  2017.7 音羽町付近
 
2023.7 新清水~入江岡間
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
クモハ3000形
クハ3500形
3001-11
3501-11
22 新造 2016.3-23.2
形式別車両数
種類 形式 1940 1954 1964 1975 1981 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
EC 戦前の車両 17 14 10 1 1
譲受車 8 9 1 1
  20形 10    
100形 6 10
300形 6 6 6
350形 2 2
1000系 10 20 22 24 24 24 24 24 24 10
A3000系 16
年表

  1908.5.18 静岡鉄道:辻村(現・新清水)~清水町(後の波止場)間開業(762mm蒸気)
  1908.7.28 静岡鉄道が熱海鉄道などと合併し大日本軌道となる
  1908.12.9 鷹匠町(現・新静岡)~波止場間全通
  1919.5.1 駿遠電気設立、大日本軌道静岡支社の事業を引継ぐ
  1920.8.2 1067mmに改軌、電化
  1922.6.28 静岡市内線開業
  1923.2.28 静岡電気鉄道と改称
  1923.6.23 秋葉鉄道を合併
  1928.12.24 清水市内線開業
  1943.5.15 静岡電気鉄道、藤相鉄道、中遠鉄道などが合併し静岡鉄道となる
  1945.12.1 静岡清水線を鉄道に変更、清水相生町~波止場間休止
  1962.9.20 秋葉線廃止
  1962.9.15 静岡市内線廃止
  1970.8.1  駿遠線廃止
  1975.3.22 清水市内線廃止

静岡鉄道