国内最初の機関車 | |
1871年、新橋~横浜間に日本初の鉄道が開業した時、10両の機関車が輸入された。製造はすべてイギリスだが、形式は5種類ある。このうち2両は今も保存されており、見ることができる。 |
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○1号→150号 最初の10両の中でも、一番に日本に到着したため、1号という番号が付けられたもの。イギリスのバルカン・ファウンドリー社製で、車軸配置は1Bである。同型車は無く、後の改番で150という中途半端な番号になってしまった。島原鉄道に譲渡されていたが、1930年に鉄道省に戻され、鉄道博物館で展示されている。 |
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2015.12 150(1号):鉄道博物館 | |
○10号→110号 こちらも1871年に輸入された機関車の1つで、ヨークシャー社製。1924年の廃車後も大宮工場で保存され、1962年に青梅鉄道公園へ移った。大宮工場時代に、内部が見えるように車体の一部が切開されていたが、2019年に車体を復元。2020年6月から、鉄道発祥の地・桜木町の商業施設で公開されている。 |
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2017.6 110:青梅鉄道公園 | 2022.5 110:CIAL桜木町ANNEX |
鉄道黎明期の機関車 | |
初期はイギリスから輸入されたタンク機関車が多く、車軸配置は1BやCがある。コピーを国内で製造したものもあった。 |
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○123 1874年の大阪~神戸間開業時の車両で、イギリスのロバートスチーブンソン社製。車軸配置は1Bである。最後は加悦鉄道で1956年まで使用され、現在も加悦SL広場で保存されている。 |
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1995.5 123(加悦鉄道2):加悦SL広場 | |
○1292 1875年と82年に3両が輸入されたタンク機関車のうちの1両。イギリスのマニング・ワードル社製で、車軸配置はCである。このうち1292は日本鉄道に納入されたもので、おもに工事用であった。「善光号」という愛称で親しまれていたため廃車後も保管され、1942年に鉄道博物館に収蔵されている。 ○1801 京都~大津間や長浜~敦賀間などの勾配区間で使用するため、1881年に8両が輸入されたうちの1両。イギリスのキットソン社製で、車軸配置はCである。1801は1930年に高知鉄道に譲渡され、さらに東洋レーヨンを経て交通科学博物館に収蔵され、現在は京都鉄道博物館に移設されている。 |
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2015.12 1292:鉄道博物館 | 2016.6 1801:京都鉄道博物館 |
北海道開拓時代の機関車 | |
北海道最初の機関車は、アメリカ製である。1880年から89年にかけて8両が輸入され、それぞれ「義経」「弁慶」「しづか」などの愛称が付けられていた。外観も、大きな牛除けやダイヤモンド型煙突が特徴的で、イギリス製の機関車とはまったく異なっている。国有化後は7100形となり、8両のうち3両が今も保存されている。 | |
○7101 かつての「弁慶」。現役時代の末期は牛除けの撤去や煙突の交換などで原形を失っていたが、戦争直前の1940年に往年の姿に復元整備された。そして鉄道博物館(後の交通博物館)で展示されるようになり、現在は鉄道博物館に移設されている。 ○7105 7100形としての番号は大きいが、これが北海道1号機の「義経」と考えられている。鉄道開通80周年の記念事業として1952年に往年の姿に復元され、鷹取工場で保管された。1991年から交通科学博物館で展示されるようになり、現在は京都鉄道博物館に移設されている。今も可動状態である。 |
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2015.12 7101:鉄道博物館 | 2016.6 7105:京都鉄道博物館 |
○7150 1895年に製造されたもので、愛称は「大勝」。現存する最古の国産機ということになっているが、実際にはアメリカから輸入した7100形の予備部品等を流用している。1947年に休車となったが、小樽市総合博物館で保存されている。 |
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2017.9 7150:小樽市総合博物館 | |
A8形グループ | |
従来より大型の機関車として、車軸配置1B1を採用して1887年以降大量に輸入したタンク機関車。ナスミス・ウィルソン社の400形をはじめ、数多くのメーカーから納入された。また、1902年からはA8形を参考に初の量産国産機関車230形が41両製造されている。. | |
○233 230形は初の量産された国産機関車であるが、オリジナルの設計とは言い難く、部品も一部は輸入品である。1903年に製造された233は、おもに入換で使用され、1960年代に廃車となった後、交通科学博物館で展示された。現在は京都鉄道博物館に移設されている。 ○268 230形のうち、北越鉄道が導入したもの。国有化後まもなく鳥栖に移って、1954年まで入換等に使用された。鳥栖駅前で保存されている。 |
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2016.6 233:京都鉄道博物館 | 2017.3 268:鳥栖駅前 |
B6形グループ | |
1890年以降、大量に輸入されたタンク機関車で、車軸配置はC1.。イギリス製の2100形やドイツ製の2400形、国産の2120形などを総称してB6形のグループと呼ばれる。私鉄の輸入分も含めると500両以上の仲間がいた。今も6両の保存車がある。 | |
○2221 1905年のノース・ブリティッシュ・ロコモーティブ社製で、1955年まで入換用として使われていた。青梅鉄道公園で保存されている。 |
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2017.6 2221:青梅鉄道公園 | |
D6形グループ | |
1893年から輸入された旅客用テンダー機関車で、車軸配置は2B。最初に登場した5500形はイギリスのピーコック社製で、「ピーテン」という愛称で呼ばれた。ネルソン社製の5630形、シャープスチュワート社製の5650形なども同じグループである。官設鉄道の輸入は12両だが、日本鉄道は60両以上を導入している。 | |
○5540 日本鉄道が輸入したもので、国有化後も東北地方などで使用された。1962年に廃車となり、青梅鉄道公園で保存されている。 ○5655 日本鉄道が輸入したもので、1922年に東武鉄道に譲渡され、戦後も東武鉄道で使用されていた。現在は宮代町役場前に保存されている。 |
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1998.3 5540:青梅鉄道公園 | 2016.3 5655(東武40):宮代町役場前 |
○B10-4 5500形をタンク機に改造したもので、全部で10両あった。4号機は陸軍を経て小湊鉄道に譲渡され、今も保存されている。 |
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2017.4 B10:五井気動車区 | |
D9形グループ | |
1897年から輸入された旅客用テンダー機関車で、車軸配置は2B。.最初に登場した6200形がイギリスのネルソン社製だったため、「ネルソン」と呼ばれた。ダブス社製の6270形、アメリカンロコモティブ社製の6300形、ハノーバー社製の6350形なども同じグループで、合わせて135両輸入されている。後に多くがタンク機関車に改造されて、1000形、1070形、1150形などになった。 | |
○1080 ダブス社製の6270形を、1926年にタンク機関車に改造したもの。1939年に日鉄鉱業に譲渡されていた。2009年に梅小路蒸気機関車館(現在の京都鉄道博物館)に寄贈されている。 |
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2022.10 1080:京都鉄道博物館 | |
8700 | |
1914年から国産の8620形が大量生産されるのに先立って、性能を比較するために輸入された4つの形式のうちの1つ。1911年にイギリスから12両が輸入され、それをもとに国内でも18両製造されている。車軸配置は2C(テンホイラー)であった。 | |
○8722 国内で製造されたもので、1953年に北海道拓殖鉄道に譲渡され、さらに雄別炭鉱鉄道に移って1970年まで使用された。釧路市内の釧路製作所前で保存されている。 |
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2016.7 8722:釧路製作所 | |
9850 | |
急勾配線区向けに、動輪を2セット組み込んだ車軸配置C+Cのマレー式の機関車の1つ。マレー式は、1913年に、アメリカン・ロコモティブ社の9750形が24両、ボルドウィン社の9800形が18両、ヘンシェル社の9850形が12両輸入された、御殿場線などで使用されたが、保守が難しく、1933年頃までにはすべて廃車となっている。 | |
○9856 実働は僅か10年強で、1924年には廃車となった。唯一のマレー機保存車として、鉄道博物館で展示されている。 |
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2015.12 9856:鉄道博物館 | |
買収機関車 | |
私鉄が輸入した機関車が、路線の国有化に伴って国鉄の所有となったケースも多い。これらの機関車の多くは、私鉄などに払い下げられて第二の活躍をしている。 | |
○15 九州鉄道が1889年に輸入したドイツ、クラウス社製のタンク機。車軸配置はBで、全長わずか5.7mである。国有化後の1925年に東京横浜電鉄の工事用となり、さらに留萌鉄道へ譲渡された。廃車後は沼田町に寄贈され、かつての留萌鉄道の沿線で保存されている。 ○26 15と同型で、九州鉄道のクラウス。国有化後の1949年に大分交通に譲渡され、宇佐参宮線で使用された。1965年に廃線となった後は宇佐神宮の境内で保存されている。 |
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2011.7 15:ほろしん温泉ほたる館 | 2010.5 26:宇佐神宮前 |
○220 大阪鉄道が1891年に輸入したタンク機で、A8形のグループと似ているが少し小さい。国有化後の1917年に多摩鉄道(現在の西武多摩川線)に譲渡され、さらに上武鉄道に移って1965年まで活躍した。西武時代の姿で、池袋駅から10分ほどの昭和鉄道高校前で保存されている。道路に面しているが、植込みがあって背伸びをしないと全体が見えない。 ○2851 1897年のアメリカ、ピッツバーグ車製で、車軸配置はC1。伊賀鉄道が発注したが、注文流れで阪鶴鉄道が引き取り、国有化後に播州鉄道に譲渡されるが再国有化されるという複雑な経緯をたどっている。1945年に西武鉄道に譲渡され、さらに1962年に上武鉄道に移った。1965年に廃車となり、東品川公園で保存されている。訪れたときは公園自体が改修中で、近づくことができなかった。 |
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2016.3 220(西武鉄道3):昭和鉄道高校前 | 2016.2 2851(西武鉄道7):東品川公園 |
○1261 イギリス、ダブス社製の1480形をコピーして国内で製造されたもので、車軸配置はC。1923年に簸上鉄道が導入し、国有化後の1943年に大江山ニッケル鉱業へ譲渡、最後は加悦鉄道で1967年まで使用されている。現在は加悦SL広場で保存されている。 |
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1995.5 1261:加悦SL広場 |
蒸気機関車-輸入機