延岡と熊本県の高森を結ぶ目的で計画されたが、日ノ影まで開業したところで戦争により中断、1972年になってようやく高千穂まで延伸した。残る高千穂〜高森間も1973年に着工したが、トンネル内の異常出水事故により工事が中断、結局再開することはなかった。存廃の基準となる輸送密度は1350人で第2次特定地方交通線の基準を満たし、1989年4月に第三セクターの高千穂鉄道に転換した。しかし2005年の豪雨によって多くの橋が流されて運行休止、そのまま復旧することなく廃止に追いこまれている。トロッコ鉄道として一部復活される計画もあるようだが、まだ実現していない。

  1935.2.20 日ノ影線延岡〜日向岡元間開業
  1936.4.12 日向岡元〜川水流間開業
  1937.9.13 川水流〜槇峰間開業
  1939.10.11 槇峰〜日ノ影(のちの日之影温泉)間開業
  1972.7.22 日ノ影〜高千穂間開業、高千穂線と改称
  1984.6.22 第2次特定地方交通線として廃止承認
  1989.4.28 第三セクターの高千穂鉄道に転換
  2005.9.6  災害により全線運休
  2007.9.6  延岡〜槇峰間廃止
  2008.12.28 全線廃止

 乗車したのは第三セクター転換の1ヶ月前にあたる1989年3月。ほとんどの区間が五ヶ瀬川に沿う景色の良い路線で、高千穂橋梁の上では徐行してくれるというサービスもあった。
   1937 1949 1956 1960 1965 1970 1973 1977 1980 1983 1986
 輸送人員(千人/日) 0.6 3.0 3.4 4.0 4.2 2.5 3.3 2.9 2.4 1.8 1.6
 輸送密度(千人/日) 0.3 1.3 1.6 1.8 2.0 1.3 1.4 1.4 1.2 0.9 0.8
 貨物輸送量(万t/年) 6.4 7.8 11.2 10.9 7.7 2.9 1.3
営業中
1989.3 高千穂鉄道延岡駅(工事中) 1989.3 川水流駅
1989.3 高千穂橋梁
1989.3 高千穂駅 1989.3 高千穂駅
廃線跡
 延岡-高千穂50.0km 
 廃線跡の訪問は2010年。休止から5年、槇峰までの廃止が決まってからでも3年たっているが、どの駅も現役時代の雰囲気を残している。とくに上崎駅が印象に残った。  
2010.5 延岡駅高千穂鉄道ホーム跡@ 2010.5 西延岡駅跡A
2010.5 行縢駅跡B 2010.5 細見駅跡C
2010.5 日向岡元駅跡D 2010.5 吐合駅跡E
2010.5 曽木駅跡F 2010.5 川水流駅跡G
2010.5 上崎駅跡H 2010.5 上崎〜早日渡間I
2010.5 早日渡駅跡J 2010.5 早日渡〜亀ヶ崎間K
 槇峰を過ぎると、あちこちに残る橋梁が目につく・。最大の見所は第3五ヶ瀬川橋梁で、美しいカーブを描く橋はどちらから見ても印象的である。直線的な第4五ヶ瀬川橋梁もなかなか素晴らしい。  
2010.5 槇峰駅跡L 2010.5 槇峰〜日向八戸間M
2010.5 槇峰〜日向八戸間M 2010.5 日向八戸駅跡N
2010.5 第3五ヶ瀬川橋梁O 2010.5 第3五ヶ瀬川橋梁O
2010.5 吾味駅跡P 2010.5 吾味〜日之影温泉間Q
2010.5 第4五ヶ瀬川橋梁Q 2010.5 日之影温泉駅跡R
 影待駅は、集落から見上げるとはるか頭上の橋の脇にある。駅へ向かうとは思えない山道を登っていくと、トンネルの向こうにホームを見つけることができた。 
2010.5 影待駅付近S 2010.5 影待駅付近S
2010.5 影待駅付近S 2010.5 影待駅跡S
 深角のあたりでも、はるか高い所の橋は見つけたが、駅へ登る道は見つけられなかった。ここから3000m近い太平山トンネルを抜けたところに、高千穂橋梁がある。高千穂橋梁から高千穂駅までは、トロッコを運行する計画があるため、線路が残されていた。 
2010.5 深角駅付近 21 2010.5 深角〜天岩戸間 22
高千穂橋梁
2010.5 天岩戸〜高千穂間 23 2010.5 高千穂駅跡 24
 高千穂から高森へ向かう道路沿いに、「トンネルの駅」という道の駅のようなものがある。ここは、高千穂〜高森間の未成線のトンネル入り口で、一度も列車が走ることが無かったトンネルが残されていた。 
2010.5 トンネルの駅 未成区間のトンネル
車両
 TR-100・200形
 高千穂鉄道開業時の車両で、新潟鐵工所製のNDCシリーズ。全長16.3mである。100形は一般用のセミクロスシート、200形は観光用のボックスシートとなっている。高千穂鉄道廃止後は、201が阿佐海岸鉄道に譲渡され、104・105が日之影温泉駅跡、101・202が高千穂駅跡で保存されている。、
 形式 番号 両数  前歴  製造  消滅  備考
TR-100形 101-105 5 新造 1989.4 2008.12
TR-200形 201-202 2 新造 1989.4 2008.12 201→阿佐海岸鉄道
 
2010.5 日之影温泉駅跡 2010.5 高千穂駅跡
 
2017.11 阿佐海岸鉄道譲渡後:海部駅
 TR-300形
 1991年に導入された、秋田内陸縦貫鉄道AN-8900形と同タイプの観光用車両。片運転台、転換クロスシートでサロンコーナーも設置されている。TR-400形に置き換えられ、路線廃止前に引退している。未成区間にある「トンネルの駅」で保存されている。
 形式 番号 両数  前歴  製造  消滅  備考
TR-300形 301-302 2 新造 1991.7 2003.9
 
2010.5 トンネルの駅
 TR-400形
 2003年に導入された、観光用のトロッコ形気動車。全長18.5mの新潟鐵工所製である。トロッコ神楽号として運行したが、実働僅か2年ほどであった。高千穂鉄道廃止後はJR九州に譲渡され、キハ125系400番台の「海幸山幸」となっている。
 形式 番号 両数  前歴  製造  消滅  備考
TR-400形 401-402 2 新造 2003.3 2008.12 →JR九州「海幸山幸」
 
2017.3 JR譲渡後:南宮崎駅付近

高千穂鉄道