1736年のサファビー朝滅亡後は、マシュハドを首都としたアフシャール朝が成立するが、勢力は弱くイラン国内は群雄割拠の時代に突入する。再統一を果たしたのがガージャール朝で、1794年に南西部のザンドに続き1796年にアフシャール朝を滅ぼした。しかしガージャール朝の時代は、2度のロシアとの戦争でカフカスを失うなどして国力が衰えていく。1925年パフラヴィー朝に移行してからは近代化が進められるが、1979年にホメイニを指導者としてイラン革命が勃発。イランの帝政は終わった。

 1796年 ガージャール朝成立
 1805年 ロシアとの戦争始まる
 1813年 ゴレスターン条約、北アゼルバイジャンを失う
 1828年 トルコマンチャーイ条約、アルメニアを失う
 1925年 レザー・ハーン即位、パフラヴィー朝成立
 1979年 イラン革命、パフラヴィー朝滅亡
 
イラン・テヘラン州
 テヘラン(世界遺産)  
 テヘランは近年まで小都市にすぎなかったが、ここを本拠地としたガージャール朝が1796年にイランを統一したため、イランの首都となった。パフラヴィー朝、そして革命後の共和国でも首都となり、人口約700万人の大都会へと発展している。観光地は少ないが、イランの玄関口なので行きと帰りに少しずつ市内観光をした。
 初日に訪れたのは宝石博物館と考古学博物館。宝石博物館はカメラもバックも持ち込めないので写真は無いが、宝石の地球儀が印象的だった。考古学博物館はエラム王国、アケメネス朝、ササーン朝など各時代の出土物があって、旅の予習にちょうどよかった。
 
2012.4 考古学博物館内
チョーガ・ザンビルの牡牛
2012.4 考古学博物館内 ソルトマン 
  イラン最終日は、まずパフラヴィー朝の夏の離宮、サアダーバード宮殿に行く。ここはテヘランの北のはずれ、4000m級のアルボルズ山脈の麓にあり、広大な敷地に18もの建物が点在する。皇帝がいかに国民とかけ離れた生活をしていたか感じられるところである。朝ゆっくりだった上にガイドが20分も遅刻したので、11時にようやく到着した。
 はじめに、2代皇帝の王妃のために建てられたメラット宮殿に入る。背後に雪山が見えるが、晴れていないのが残念である。中は重厚な雰囲気の部屋が多かった。
2012.5 サアダーバード宮殿内 メッラト宮殿 2012.5 メッラト宮殿内部
  メラット宮殿から15分ほど坂を上って、ようやく緑の宮殿に着く。ここは初代レザー・シャーの宮殿で、内部は鏡と宝石だらけの眩い部屋だった。豪華絢爛な部屋にはあまり興味がないが、それでも一見の価値はある。途中の道にはかつての馬車やクラシックカー、軍用ヘリなどいろいろなものが展示してあって、緑の中の散歩も気持ちよかった。
2012.5 サアダーバード宮殿内 緑の宮殿 2012.5 かつての馬車
 午後は、本来は絨緞博物館の予定だったが、絨緞に興味がないのでゴレスタン宮殿に変更してもらった。ここはガージャール朝時代の宮殿で、街の中心近くにある。イランの観光地は昼休みが長い所が多く、ここも15時にならないと開かないので、開くのを待って入場した。
 パフラヴィー朝より古い時代だが、建物は凝ったつくりのものが多く、イスファハンのアリ・カプ宮殿を思わせる高層建築もある。庭園とも調和が取れていて、絵になる所だった。いくつかの建物は中を見学できるが、あまり興味のない絵画をガイドがゆっくり説明したために、面白そうな部屋は駆け足になってしまった。急いだのは最後のガラス博物館に17時までに入らなければならないためで、結局5分前に滑り込み。これでイラン観光の全日程が終わった。
 なお、訪問した翌年にゴレスタン宮殿が世界遺産に登録された。単体で登録されるほどの所とは思えなかったので意外である。
2012.5 ゴレスタン宮殿 2012.5 ゴレスタン宮殿
 ☆世界遺産「ゴレスタン宮殿」 2013年登録
イラン・ファールス州
 シーラーズ(世界遺産)  
 シーラーズは古くから栄えた街で、10世紀のブワイフ朝、18世紀のザンド朝はここを首都とした。また、多くの詩人や哲学者を生んだ学問の中心地でもある。今ではペルセポリスへの拠点となっていて、ペルセポリスに向かう前の3時間だけ市内観光をした。
 はじめはエラム庭園。ガージャール朝時代のもので、イラン国内の他の8つの庭園とともに「ペルシャ式庭園」という名で世界遺産に登録されている。8時を過ぎたばかりなのに、池のまわりに人が多いと思ったら、何と大勢で朝の体操をしている。中国ではよく見た光景だが、庭園の写真を撮るにはとても邪魔だった。バラの花はちょうど見頃だったが、思ったほど多くはなかった。
2012.4 エラム庭園
 次はキャリムハーン城塞で、9時ちょうどに到着。ガージャール朝と争ったザンド朝のハーンの居城で、シーラーズの街の中心に物々しい城壁があるのでよく目立つ。中に入ると景色は一変して、水と緑の中庭が広がっていた。部屋はすべて壁際で、中には何も建物がない構造はめずらしく感じる。ハンマーム(浴場)も入ることができた。
2012.4 キャリムハーン城塞 2012.4 キャリムハーン城塞内部
 ハーフェズは、イランで最も偉大といわれる14世紀の詩人。詩には全く興味がないので名前を知らなったが、参拝の人がとても多く驚いた。駆け足のシーラーズ観光は10時10分に終了。街の入り口になっているコーランゲートを見ながらペリセポリスに向かった。
2012.4 ハーフェズ廟 2012.4 コーランゲート
 ☆世界遺産「ペルシャ様式庭園」 2011年登録

ガージャール朝・パフラヴィー朝