天王寺支線(天下茶屋〜天王寺2.4km)
 南海本線と国鉄を連絡するための、僅か2kmあまりの支線。大ターミナルである天王寺に接続する路線が廃止というのも意外だが、地下鉄や阪堺など多くの路線がある中で、よく1993年まで残っていたという感じもある。

  1900.10.26 南海鉄道天下茶屋〜天王寺間開業
  1907.11.11 電化
  1944.6.1   合併により近畿日本鉄道となる
  1947.6.1   近鉄から分離し南海電鉄となる
  1984.11.17 天下茶屋〜今池町間廃止
  1993.4.1   今池町〜天王寺間廃止

 今ではほとんどの区間が高いフェンスに囲まれ、入るどころか中を見ることもなかなかできない。 
2008.8 天王寺駅付近@ 2008.12 今池町-飛田本通間A
 和歌山港線(和歌山港-水軒2.6km)
 和歌山港線は、和歌山港の臨港鉄道として計画された路線で、臨港鉄道と認められなかった和歌山市〜久保町間は南海が建設したが、残りの区間は和歌山県が建設して南海が借受けるという当時としては珍しい形態がとられた。現在は全国に広まっている上下分離の先駆けである。ただ、和歌山港〜水軒間は木材輸送を主目的に建設されたものだが、開業時から木材はトラックで輸送されて、鉄道は1日僅か10人ほどの旅客を運ぶ役割しかない。それでも21世紀まで存続したのは税金の無駄遣いを隠すためではないかという気がするが、地元から道路拡幅のため鉄道を廃止せよという陳情があって、ついに廃止された。

  1956.5.6 和歌山市〜和歌山港(のちの築港町)間開業
        (久保町〜和歌山港間は和歌山県より借受)
  1971.3.6 築港町〜水軒間延伸(全区間和歌山県より借受)
  1988.4.1 久保町〜水軒間は和歌山県が第3種事業者、南海が第2種事業者となる
  2002.5.26 和歌山港〜水軒間廃止
 2004年は、和歌山港まで乗車した際にホームから眺めたもの。廃止からまだ2年ということもあって、線路は途絶えているが、高架橋はその先までずっと続いていた。
2004.2 和歌山港駅より@
 11年後の2015年、ようやく廃線跡を訪れた。高架駅の和歌山港から続く築堤や高架橋はそのまま残っており、路盤には線路こそ無いもののバラストが敷いてある。しかし道路と同じ高さまで降りた所からは道路拡幅に呑み込まれて、痕跡が完全に消えていた。終点の水軒は、廃止後も長い間線路が残っていたようだが、訪れた時には整備されて公園になってしまっていた。
2015.2 和歌山港〜水軒間A 2015.2 和歌山港〜水軒間B
2015.2 水軒駅跡C

南海天王寺支線・和歌山港線