東京にはすでに営団地下鉄による地下鉄線が開業していたが、建設のペースを高めるため、都電等を運行していた東京都交通局が新たに地下鉄に参入した。4路線100km以上のネットワークになっているが、浅草線は軌間1435mm、三田線は1067mm、新宿線は1372mmで、大江戸線は1435mmのリニアメトロと、すべて仕様が異なっている。
 
2021.4 宗吾参道〜京成酒々井間
浅草線
 5000・5200形
 浅草線開業時の車両。全長18000mmで、WNドライブ、電動カム軸制御が採用された。1-2次車は2両編成、3-5次車は4両編成で登場し、1968年に6両化された。また、1976年に登場した5200形は、セミステンレス車体で別形式のように見えるが、機器がほとんど同じため5000形の6次車として扱われている。
 5000形は、当初はクリームとオレンジの塗り分けだったが、1981年頃からオレンジ帯の新塗装に変更されている。冷房化されることなく、1995年7月に営業運転を終えた。5200形は1988年から冷房化が行われ、1996年には8両編成1本に組み替えられたが、2006年11月に営業運転を終えている。5000形の5069が、東京消防庁消防学校において訓練用として残されている。

 1960.12.4 浅草線押上〜浅草橋間開業、5000形営業運転開始
 1968.11.15 浅草線押上〜西馬込間全通、6両編成化
 1976    5200形登場
 1981-   5000形の車体更新、新塗装化
 1988-89  5200形冷房化改造
 1991-   5000形の8両編成化開始
 1995.7.2  5000形の営業運転終了
 1996.12  5200形の機器更新、8両編成化
 2006.11.3 5200形の最後の営業運転
   
1993.9 5000形新塗装:品川駅  左:5000形旧塗装、右:5200形
 形式 番号 両数  登場  消滅  備考
5000形 5001-5040 152 1960.11-62.5 1996.1 1-2次、2両編成
5041-5152 1963.1-68.10 3-5次:4両編成
5200形 5201-5212 12 1976.4 2006.12 6次、ステンレス車、6両編成
 5300形
 5000形を置き換えるために登場したもので、8両編成27本が製造された。全長18000mmのアルミ車体で、VVVFインバータ制御が採用されている。1次車はスカートが短かったが、5次車から大型化されている。
 大規模修繕は行われず、すべて5500形に置き換えられる予定となっている。

 1991.3.31 浅草線にて営業運転開始
   
2018.7 1-4次車:北品川駅 2015.10 5-6次車:四ツ木駅
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Mc>5301-1、8
<M>5301-3、6
<T>5301-2、4、5、7
5301-14F 216 1991.3-93.6 1-4次
5315-26F 1994.5-95.6 5-6次
5327F 1998.3 7次
 5500形
 5300形を置換えるために登場したもので、歌舞伎をイメージしたデザインとなった。2018年6月に営業運転を開始している。

  2018.6.20 営業運転開始
   
2020.6 京成曳舟駅 2022.12 千葉ニュータウン中央〜小室間 
 形式 編成番号 両数 登場  消滅  備考
<Mc>5501-1、8
<M>5501-2、3、6、7
<T>5501-4、5
5501-27F 216 2018.5-21.9
 E5000形
 大江戸線の車両を、馬込の検修所まで牽引するために製造された、日本の地下鉄で唯一の機関車。2両連接車体で、大江戸線内でもリニアモーターではなく電気モーターで走る。
 
2017.12 馬込検修所
 形式 番号 両数 登場  消滅  備考
E5000形 5001-5004 4 2006.4
三田線
 6000形
 三田線開業時の車両で、全長は20000mm。都営では初のセミステンレス車となった。1次車は4両編成、2次車以降は6両編成で登場し、最終的には6両編成28本となった。
 1989年以降、2次車以降を中心に冷房化され、非冷房車は1996年までに廃車となった。冷房車も6300形に置き換えられ、1999年12月に営業を終えている。秩父鉄道に12両、熊本電鉄に10両、ジャカルタ市に72両が譲渡されており、秩父鉄道では三田線時代と同じ塗装のまま使用されている。

 1968.12.27 三田線巣鴨-志村間開業、営業運転開始(4両編成)
 1972.6.30 三田線日比谷〜巣鴨間開業、6両編成化
 1989-   冷房化改造
 1999.11.28 最後の営業運転
   
2016.2 秩父鉄道譲渡後:寄居駅 2016.5 熊本電鉄譲渡後:北熊本駅
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Mc>6011-、6018-
<M>6012-、6017-
6011、21・・・41F  168 1968.11 1999.12 1次 
<M>6015-、6016- 1972.3
<Mc>6051-、6058-
<M>6052-、6055-
  、6056-、6057-
6151、61・・・6281F 1971.11-76.3 2-4次
<譲渡>
 熊本電気鉄道(1995.12-、10両)
 秩父鉄道(1999.11-、12両)
 インドネシア(72両)
 6300形
 6000形を置き換えるために登場したもの。ステンレス車体で、VVVFインバータ制御が採用された。1・2・3次車それぞれスカートの形状が異なっている。3次車は、東急目黒線との直通運転のため5年ぶりに増備されたもので、制御装置がIGBT素子に変更されるなど機器が見直されている。

  1993.6.23 三田線にて営業運転開始
   
2017.7 1次車:奥沢駅  2017.7 2次車:奥沢駅
  
 2015.11 3次車:多摩川駅
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Tc>6301-1、8
<M>6301-2、3、7
<T>6301-4
6301-13F 222 1993.6-94.7 1-2次
6314-37F 1999.8-00.8 3次
 6500形
 6300形を置き換え、三田線を8両編成化するために登場したもの。車体はアルミニウム合金製。制御はVVVFインバータ(ハイブリッドSiC素子)である。

  2022.5.14 営業運転開始
  
2022.9 奥沢-大岡山間
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Tc>6501-1、8
<M>6501-2、3、6、7
<T>6501-4、5
6501-09F 72 2021.7-22.3
新宿線
 10-000形
 新宿線開業時の車両で、26年にわたって製造された。試作車はセミステンレス構造の4両編成で、量産車とデザインが異なる。量産1次車からは6両編成、3次車からはオールステンレスの8両編成、4次車から新製冷房車と、仕様が変わっていく。最後に登場した8次車は、5年ぶりの製造となったため前面・側面のデザインが大きく変わっている。いずれも全長20000mmの電機子チョッパ制御である。
 3次車までの非冷房車もすべて冷房化され、1989年には8両編成で統一された。初期のセミステンレス車は2006年までに10-300形に置き換えられたが、車齢の低い中間車は10-300R形に転用されている。オールステンレス車も2018年2月に営業を終えた。

 1978.12.21 新宿線岩本町-東大島間開業、営業運転開始
 1980.3.16 京王線への乗入れ開始
 1998-   B修繕工事
 2004.12- 10-300R形への置換え開始
 2018.2.11 最後の営業運転
   
2015.11 4-7次車:笹塚駅  2017.5 8次車:仙川駅
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Tc>10010、019
<M>10011、012
01編成 144 1971.11 2006.10 試作車  
<M>10015、016 1978.11
<M>10017、018 1988.10
<Tc>10020-、029-
<M>10021-、022-
  、025-、026-
02-18編成  1978.11-79.12 1-2次 
<M>10027-、028- 1986.7-89.2
<Tc>10190-、199-
<M>10191-、192-、195-
  、196-、197-、198-
  
19-21編成 80 1986.4-86.7 2018.2 3次
22-26編成 1988.5-92.3 4-7次
27-28編成 1997.12 8次
 10-300形
 10-000形を置き換えるためのもので、制御はVVVFインバータ。1-2次車と10-300R形は初期のセミステンレス車置き換え用で、このうち10-300R形は先頭車のみを製造し、中間車は10-000形のものを転用した。3-5次車は、10-000形の残存車を置き換えるために7年ぶりに製造されたもの。1-2次車がJRのE231系ベースだったのに対し、3-5次車ではE233系ベースとなり、外観も別形式のように変わっている。また、6次車は全車10両編成化のために増備されたもので、8両編成の1次車を置換えている。

 2005.1.20 10-300R形の営業運転開始
 2005.5.21 10-300形の営業運転開始
 2010.6.1  10両編成による運転開始
 2017.2.14 10-300R形の営業運転終了
 2022.8.10 8両編成の運用終了
   
2017.5 1-2次車:仙川駅 2019.11 3-5次車:京王多摩川駅 
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Tc>10310-、10319- 31-36編成  12 2004.12-05.2  2017.2  10-300R形
<M>10311-、312-、315-
  、316-、317-、318-
36 10-000形編入
<Tc>10370-、379-
<M>10371-、372-、375-
  、377-、378-
<T>10376-
37-48編成 104 2005.5-06.7 1-2次
45-48編成
<M>10455-
<T>10453-
2010.5-10.6
<Tc>10490-、499-
<M>10491-、492-、493-
  、494-、497-、498-
<T>10495-、496-
49-64編成 160 2013.9-17.9 3-5次
<Tc>10650-、659-
<M>10651-、652-、653-
  、654-、657-、658-
<T>10655-、656-
65-68編成 40 2021.10-22.3 6次
大江戸線
 12-000形
 大江戸線開業時の車両で、大阪市の鶴見緑地線に次ぐ2番目のリニアメトロ車両。先頭16750mm、中間車16500mmのアルミニウム合金車体で、1-2次車は白く塗装されていたが3次車から無塗装になった。また、1-2次車は6両編成で登場し、1997年に8両編成化されている。
 白塗装の1-2次車は、12-600形に置き換えられて2016年に消滅した。なお、12-000形の試作車は1986年に登場したが、営業運転に使用されることは無く、豊島区にある千早フラワー公園で保存されている。

 1991.12.10 12号線練馬〜光が丘間開業、営業運転開始(6両編成)
 1997.5.25  8両編成の営業運転開始
   
2017.12 3-4次車:馬込検修所 2016.12 試作車:千早フラワー公園 
 形式 編成番号 両数 登場  消滅  備考
<Mc>12011-、018-
<M>12012-、013-
  、014-、017-
01-06編成 48 1991.12-95.2 2016.7 1-2次
<M>12015-、016- 1997.8-97.10
<Mc>12071-、078-
<M>12072-、073-、074-
  、075-、076-、077-
07-53編成 376 1997.5-01.5 3-4次
 12-600形
 12-000形の初期車を置き換えるために登場したもの。12-000形とは性能の違いは少なく、車内配置などが見直されている。2012年2月に営業運転を開始した。
  
2016.10 新宿駅
 形式 編成番号 両数  登場  消滅  備考
<Mc>12611-、618-
<M>12612-、613-、614-
  、615-、616-、617-
61-68編成 168 2011.11-16.6 1-2次
69-81編成 2018.9-22.2 3次-
形式別車両数
種類 形式 1964 1972 1981 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
浅草線 5000形 80 152 152 152 152 48
5200形 12 12 12 12 8 8
5300形 168 216 216 216 216 104
5500形 120
三田線 6000形 138 168 168 168 108
6300形 78 216 222 222 222 222
新宿線 10-000形 4 108 192 208 224 212 116 104
10-300形 12 108 134 264
大江戸線 12-000形 36 136 424 424 424 344
12-600形 128
EL E5000形 4 4 4
年表

  1960.12.4 1号線(現・浅草線):押上〜浅草橋間3.2km開業
  1968.11.15 1号線:押上〜西馬込間18.3km全通
  1968.12.27 6号線(現・三田線):巣鴨〜志村(現・高島平)間10.4km開業
  1976.5.6  6号線:三田〜西高島平間22.5km全通
  1978.12.21 新宿線:岩本町〜東大島間6.8km開業
  1980.3.16 新宿線:新宿〜岩本町間7.3km延伸
  1989.3.19 新宿線:新宿〜本八幡間23.5km全通
  1991.12.10 12号線(現・大江戸線):練馬〜光が丘間開業
  1997.12.19 12号線放射部:新宿〜光が丘間12.9km全通
  2000.9.26 三田線:目黒〜三田間4.0km延伸
  2000.12.12 大江戸線:環状部27.8km全通

東京都営地下鉄