富岡製糸場は、1872年に建設された、日本で最初の近代的な製糸工場。初期の建造物群が残っており、世界的にも富岡に匹敵する規模の製糸工場は無いこと、また日本独自の和洋折衷の産業建築様式が評価され、2014年に日本で18番目の世界遺産として登録された。産業遺産としては石見銀山に次ぐ2例目である。なお、当初は養蚕農家集落や鉄道なども構成資産の候補に入っていたが、最終的には4件に絞られている。

  
富岡市
 1.富岡製糸場 
 富岡製糸場は、1987年に操業を終えたが、保有していた片倉工業は建物群をほぼそのままの状態で保存した。そして2003年に富岡市には寄贈されることになり、2005年から一般公開が始まっている。初期の建物は重要文化財に指定され、さらに主要3棟は世界遺産登録と同じ2014年に国宝に指定されている。
 
2015.2 繰糸所(国宝)  2015.2 東置繭所(国宝)
 2015.2 西置繭所(国宝) 2015.2 首長館(重文)
2015.2 女工館(重文)  2015.2 検査人館(重文)
伊勢崎市
 2.田島弥平旧宅
 田島弥平は養蚕業者で、蚕種の品質向上に努めた。また、旧宅は典型的な養蚕農家の特徴を残していることから、世界遺産になっている。
藤岡市
 3.高山社跡
 高山社は、高山長五郎が設立した養蚕の研究・教育機関。蚕種の品質向上に努めたほか、養蚕学校も設立していた。高山社跡には、住宅のほか長屋門と桑の地下貯蔵庫跡が残っている。
下仁田町
 4.荒船風穴
 風穴は、蚕種を貯蔵するためのもので、蚕の増産に貢献した。荒船風穴は、その中でも最大規模で、蚕種を110万枚貯蔵できたと言われる。現在は上屋が失われ、石積みだけが残っている。

富岡製糸場と絹産業遺産群