古間木駅(現三沢駅)と三本木(のちの十和田市)を結んでいた路線。開業当初は762mmの蒸気軽便鉄道だったが、1951年に1067mmに改軌、電化した。晩年の輸送人員は1日1千人程度しかなく、2012年に廃止となっている。

  1922.9.5   十和田鉄道として全線開業 三沢〜十和田市 14.7km
  1951.12.31 十和田観光電鉄と改称
  1951電化・改軌(762mm→1067mm)
  2012.4.1   全線廃止
  1955 1960 1965 1970 1975  1980  1985 1990 1995 .2000 2005 2010
 輸送人員(千人/日) 2.4 2.7 3.9 4.5 4.0 3.5 2.9 2.6 2.5 2.0 1.5 1.3
 貨物輸送量(万t/年) 5.5 9.1 8.8 7.2 9.8 7.9 2.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
営業中
 1991年に一度だけ乗車。三本木平野をのんびり走るローカル私鉄だったが、終点の十和田市駅は立派なビルで少し驚いた。
 
1991.3 モハ3401:十和田市駅 
廃線跡
 三沢〜十和田市14.7km
 廃止から3年半、廃線跡を訪れた。十和田市駅のビルは取り壊され、広大な空き地になっている。ここから北里大学前駅あたりまでは、国道と川との間が廃線跡で、とてもわかりやすい。ただ、ホームなどは全て撤去されていた。
   
2015.11 十和田市駅跡@ 2015.11 ひがし野団地駅跡A
   
2015.11 工業高校前駅跡B 2015.11 工業高校前〜北里大学前間C
 北里大学前駅を過ぎると、廃線跡は草が生い茂っているところが多く、わかりにくくなってくる。駅の位置を特定するのに、思ったより時間がかかった。
   
2015.11 北里大学前駅跡D 2015.11 高清水駅跡E
   
2015.11 三農高校前駅跡F 2015.11 古里駅跡G
 七百駅は、駅舎・ホーム・レールなど駅構内がまるごと残され、十和田観光電鉄のおもな車両も保存されている。廃線後しばらくは車両が屋外にあったようだが、すべて車庫の中に入り、見ることができないので物足りない。
2015.11 七百駅跡H
 柳沢駅と大曲駅は、幹線道路から少し離れていて、見つけるのに時間がかかった。草が多く、廃線跡であることはわかるが、近づくこともできなかった。
   
2015.11 柳沢駅跡I 2015.11 大曲駅跡J
 七百駅にある保存車を見たいので、車庫の公開イベントに合わせて再訪。保存車も見応えがあり、駅構内も現役のように整備してあって雰囲気がよかった。
   
2016.5 七百駅跡H 2016.5 七百駅跡H
   
2016.5 七百駅跡H 2016.5 七百駅跡H
 三沢駅の駅舎は、バスターミナルとして使われているので、すぐには取り壊されないようである。レールは撤去されたが、ホームはかろうじて残っていた。
   
2016.5 三沢駅跡K 2016.5 三沢駅跡K
 
車両
 開業時
 開業当初の車両は3両のSLで、1930年にガソリンカーが3両導入された。1951年の改軌によって、軽便鉄道時代の車両は消滅している。
 改軌・電化後
 改軌・電化時に導入された2400形は、全長14.8mの半鋼製。続いてモハ3401、クハ4406が登場した。その後は新造車は無く、おもに東急からの譲受車が多かった。
種類 番号 両数  特徴 登場  消滅  備考
EC モハ2403・05
クハ2402・04
4 14800mm 1951 1981
モハ3401 1 18800mm 1955 2012
クハ4406 1 18796mm 1962 2002
モハ1207
クハ1208
2 17630mm 1970 1990 もと定山渓モハ1200形
モハ3809・11
クハ3810・02
4 17840mm 1981・89 2002 もと東急3800・3850形
モハ3603 1 16960mm 1989 2012 もと東急3650形
モハ7204・7305 2 18000mm 2002 2012 もと東急7200系
モハ7701-03
クハ7901-03
6 18000mm 2002 2012 もと東急7700系
EL ED301 1 10850mm 1951 2012
ED402 1 10950mm 1962 2012
 ED300・ED400形
 十和田観光電鉄が導入した電気機関車は、30t機のED301と35t機のED402の2両。1986年の貨物輸送廃止後も除雪などに使用され、廃止時まで車籍が残っていた。2両とも七百駅跡で保存されている。
   
2016.5 ED301:七百駅跡 2016.5 ED402:七百駅跡
 モハ3400形
 全長18.8mの全金製で、ローカル私鉄には珍しいデラックス車。十和田観光電鉄の顔となり、廃止時まで現役で残されていた。今も七百駅跡で保存されている。
 
1991.3 モハ3401:十和田市駅 2016.5 モハ3401:七百駅跡 
 3800・3600形  
 いずれも東急3000系グループの車両を譲り受けたもの。2002年の7000系入線によって置き換えられたが、モハ3603のみは動態保存車として残され、東急時代のグリーンに戻った。路線廃止後も七百駅跡で保存されている。
2016.5 モハ3603:七百駅跡
 7200・7700系  
 東急7200系と7700系を譲り受けたもので、十和田観光電鉄唯一のカルダン駆動車。7700系はVVVFインバータ制御だった。路線廃止後、7200系は大井川鉄道に譲渡されている。
 
2016.8 もと7200系:大井川鉄道金谷駅

十和田観光電鉄