別所線、青木線、西丸子線、真田傍陽線の4路線を開業させた上田温泉電軌(上田電鉄)と、丸子線を開業させた丸子鉄道が合併して上田丸子電鉄(のちの上田交通)となっていたが、別所線以外はすべて廃止されている。2005年に、上田交通の鉄道部門が独立して上田電鉄となった。
戦前
 旧上田電鉄  
 別所線開業時は2軸単車であった。1927年に登場したデナ101形(モハ4251形)、1928年に登場したデナ200形(モハ5251形)は、ともに半鋼製ボギー車で、戦後まで使用される。とくにデナ200形は扉の横の窓が丸くなっていたため、丸窓電車と呼ばれ、上田交通を代表する形式であった。廃車後も3両すべて保存されている。また、電気機関車のデロ301は、名古屋鉄道を経て岳南鉄道で2015年まで車籍を残していた。
 
2018.12 モハ5251:さくら高校 2018.12 モハ5252: 別所温泉駅
 
1991.8 モハ5253:別所温泉駅(現在は移転) 2016.6 もとデロ301:岳南鉄道譲渡後 
種類 番号(戦前) 番号 両数  前歴 登場 消滅  備考
EC デ1-9 モハ1111-13 9 玉川電気 1921 1961 別所
デ10-11 2 駿遠電気 1921 1944 別所
デ12-15 4 新造 1922 1939 青木
ハ1-4 4 玉川電気 1921 別所
ハフ1-4 サハ11-14 4 九州肥築 1939 1955
デナ101-04 モハ4251-54 4 新造 1927 1969? 真田
デナ201-03 モハ5251-53 3 新造 1928 1986.10 別所
EL デロ301 1 新造 1928 1940 真田
戦後〜昇圧前
 別所線・真田傍陽線等 
 戦後に導入された車両は、1両ごとに出自が異なる雑多なものである。1980年代に入っても、長野電鉄や東急電鉄から車両を譲り受けたが、1986年の昇圧によってすべて廃車となった。モハ4257とクハ271は、それぞれ登場時の姿に復元のうえ保存されている。
2016.1 富士山麓モハ1形(上田モハ4257):河口湖駅前
 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ5262-63 2 国鉄モハ11等 1954 1960 別所
モハ5361 1 東武モハ1003 1947 不明 真田
モハ5371-72 2 小田急1651形 1960 1986.10 別所
モハ4255-56 2 国鉄モハ15形 1958 1974.4 真田
クハ251→モハ4257 1 富士山麓モハ501 1962 1983.10 真田→別所
クハ252-253 2 相模クハ1501-02 1956 1986.10 別所
クハ272-273 2 相模クハ2501・05 1961 1963.3 別所・真田
サハ21-28 8 国鉄キハニ1形
東武キハ21 等
1949 1980.2 別所・真田
サハ41-42 2 国鉄キハ101-02 1950 1984.3 別所
サハ61-62 2 東急サハ3352・54 1967.6 1986.10 別所・真田
モハ5261 1 長野モハ201 1978.12 1986.10 別所
モハ5271 1 長野モハ612 1981.8 1986.10 別所
クハ261 1 長野モハ102 1980.3 1986.10 別所
クハ271 1 長野モハ604 1983.7 1986.10 別所
デハ3310 1 東急デハ3310 1979.4 1986.10 別所
クハ3661 1 東急クハ3661 1979.4 1983.10 別所
クハ3772 1 東急クハ3772 1983.11 1986.10 別所
クハ291-292 2 東急サハ5358・71 1983.11 1986.10 別所
 丸子線 
 丸子線で使用された電車はすべて消滅したが、機関車のED25-1が保存されている。これは、もとは1937年に宇部電気鉄道が新製したもので、国有化ののち1961年に上田丸子電鉄が譲り受けた。丸子線廃止後も1986年まで別所線で使用されていた。旧丸子駅から徒歩5分ほどの上田市工業百年公園で静態保存されている。 
2017.2 ED25-1:上田市工業百年公園
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
ED25形 251 1 国鉄ED25形 1961.11 1986.10 丸子→別所
昇圧後
 5000・5200系
 1986年の昇圧時に、東急5000系・5200系を譲り受けたもので、これによって雑多な旧型車をすべて置き換えた。片側のMc車を電装解除して、すべてMc-Tcの2両編成となっている。非冷房車であったため、1993年に7200系に置き換えられた。引退後は、モハ5001が東急に里帰りし、今は渋谷駅ハチ公口でカットボディになっている。また、5200系は下之郷駅で保存されている。
2017.1 5000系:渋谷駅ハチ公口 2018.12 5200系:下之郷駅
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ5000形
クハ5050形
5001-04
5051-54
8 東急5000系 1986.7 1993.9
モハ5200形
クハ5250形
5201
5251
2 東急5200系 1986.7 1993.9
 7200系
 非冷房の5000・5200系を置き換えるために、東急7200系を譲り受けたもの。すべてMc-Tcの2両編成である。2005年に2編成の扉の横を丸窓風にして「まるまどりーむ号」と呼ばれた。1000系への置き換えが進み、最後は「まるまどりーむ号」の1編成となっていたが、2018年5月に最後の営業運転が行われた。廃車後は市原市のちはら台で保存されているようである。
2016.3 下之郷駅
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ7200形
クハ7500形
7251-55
7551-55
10 東急7200系 1993.5 2018.8
 1000・6000系
 東急1000系を譲り受けたもので、上田電鉄初のVVVFインバータ制御車。6000系は、中間車を先頭車化改造したもので、前面の形状が1000系とは異なる。各車にさまざまなラッピングが施されている。
2016.3 1000系まるまどりーむ号
:下之郷〜中塩田間
2016.3 1000系ラッピング車
:下之郷〜中塩田間
2017.2 6000系さなだどりーむ号:上田〜城下間
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
デハ1000形
クハ1100形
1001-04
1101-04
8 東急1000系 2008.8-09.1
デハ6000形
クハ6100形
6001
6101
2 東急1000系 2015.3
形式別車両数
種類 形式 1940 1954 1964 1972 1981 1987 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
EC 戦前の車両 15 14 7 3 3
戦後旧型車 9 18 13 11
5000系 8 8
5200系 2 2
7200系 10 10 10 4 2
1000系 8 8 8
6000系 2 2
EL デロ300形 1          
年表

  1916.9.7  丸子鉄道設立
  1918.11.21 丸子鉄道:大屋〜丸子町間6.6km開業
  1921.6.17 上田温泉電軌:三好町〜青木、上田原〜別所間開業
  1924.8.15 上田〜別所(現・別所温泉)間10.8km全通
  1926.8.12 依田窪線(後の西丸子線)開業
  1927.11.20 北東線(後の真田・傍陽線)開業
  1938.7.25 青木線廃止
  1939.3.19 別所線、西丸子線が鉄道となる
  1939.9.1  上田温泉電軌が上田電鉄と改称
  1943.12.23 上田電鉄と丸子鉄道が合併し上田丸子電鉄発足
  1963.11.1 西丸子線廃止
  1969.4.20 丸子線廃止
  1969.5.31 上田交通と改称
  1972.2.20 真田・傍陽線廃止
  1984.11.1 貨物営業廃止
  1986.10.1 750Vから1500Vに昇圧
  2005.10.3 上田交通の鉄道部門が上田電鉄として分社化

上田電鉄