横浜の市電は、横浜電気鉄道として始まり、1921年に横浜市が買収してから急速に路線が拡大した。戦後も路線の延伸があったが、1966年に廃止が始まり、1972年に消滅している。なお、地下鉄の開業は市電の廃止と同じ1972年の12月である。

  ○横浜電気鉄道→(1921.4.1)横浜市
   (横浜市内 51.8km  1904.7.15開業 1972.4.1廃止)
戦前
 500形
 戦前の代表形式で、1928年に60両製造された半鋼製単車。15両を戦災で失うが、残る45両は戦後も活躍し、市電廃止3年前の1969年まで使用されていた。
  
 2017.5 523号:横浜市電保存館
 1000形・1100形
 いずれも戦前に登場したボギー車で、1100形は一部クロスシートが設置されたが、戦時中に撤去されている。戦後も長く活躍し、1000形は1970年に消滅、1100形は5両ともに1972年の市電廃止時まで残っていた。
   
 2017.5 1007号:横浜市電保存館  2017.5 1104号:横浜市電保存館
戦後
 1300形
 終戦直後の車両不足を補うために製造された大型ボギー車。大阪市電1711形と同タイプの車体である。1971年に消滅している。
 
2017.5 1311号:横浜市電保存館 
 1500形・1150形
 1500形は、吊り掛け駆動ながら間接自動制御などの新技術を取り入れた中型ボギー車。そして1150形は同じ車体だが旧型車の機器を流用しているものである。市電晩年の主力で、廃止時まで残った42両のうち37両はこの2形式であった。
   
 2017.5 1510号:横浜市電保存館 2016.3 1156号:久岐良公園
 1600形
 横浜市電最後の新造車で、正面の大型窓と車体中央の4枚折れ戸が特徴。6両のみの製造で、異端車だったのか、製造から僅か12年後の1969年に消滅している。
 
2017.5 1601号:横浜市電保存館 
 電動貨車
 戦前の電動貨車は終戦までにほとんど廃車となったため、1948年から49年にかけて、300形・400形を改造した電動無蓋貨車3両と電動有蓋貨車10両が登場した。このうち10号は市電廃止時まで残り、最後の花電車としても活躍した。
  
2017.5 10号:横浜市電保存館 
種類 形式 番号  登場年 1921 1933 1963 1968 備考
単車 1形等 1-191
200-228
1904-24 115 37
300形 300-380 1924-27 61
400形 400-431 1925-26 32 8
500形 500-559 1928 60 45 5
600形 600-615 1947 15 8 500形戦災復旧
700形 701-717 1939-47 17
800形 801-823 1946-48 1
ボギー車 1000形 1000-1019 1928 20 20 20
1100形 1100-1104 1936 5 5
1200形 1201-1205 1942 5 5
1300形 1301-1330 1947 30 29
1400形 1401-1410 1949 10 10
1500形 1501-1520 1951 20 20
1150形 1151-1172 1953-55 22 22
1600形 1601-1606 1957 6 6

横浜市電(廃止)