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◆[第382回]暦の会例会レポート      


                                    平成25年2月16日(土)2時~4時
                                    会場=五反田文化会館
                                    出席者=12名

◎テーマ:〝仙台暦について〟……………………………………………………岡田芳朗会長 

【第一次仙台暦】
本来、仙台暦と称する暦は存在しなかった。しかし、江戸暦屋の訴状によれば、貞享元年改
暦の折に、仙台城下国分町の本屋治郎兵衛、板木屋九左衛門、同市兵衛の三人が密かに暦を版行し、江戸近在にまで販売したので、暦仲間から訴えられるという事件が起こった。渡邊敏夫著『日本の暦』(雄山閣) には「延宝4年暦」(1676)、「正徳2年暦」(1712)、「正徳5年暦」(1715)、「貞享丁卯(4)年暦(1687)」、「元禄9年暦」(1694) の5種類の折暦の写真が掲載されている。
また、宮城県図書館には、「元禄8年」(1695)、「正徳5年暦」(1715) が蔵されている。事件以後は、大和屋権兵衛、壺屋利兵衛という者が江戸暦を買い受け、仙台藩のみにとどまらず、奥州伊達藩領にまで売り捌くことになった。
【第二次仙台暦】
嘉永6年(1853) に仙台藩主が幕府に願い出ることによって、嘉永7年(安政元年・1854) か
ら明治3年(1870) までという短い期間ではあったが、天文方から暦原本(写本)を受け取り、仙台国分町の伊勢屋半右衛が開板し、仙台暦として版行した。

 岡田会長は、上記の訴状などのコピー資料に加えて、ご所蔵の仙台暦「文久3年暦」(1863)、「明治3年暦」(1870) の2点をご持参下さり、参加者は直接現物を目にすることができた。

                                  (レポート=小川益男 暦の会理事)