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◆[第386回]暦の会例会レポート      


                                    平成25年6月22日(土)2時~4時
                                    会場=五反田文化会館 出席者=20名

今月は、小野行雄先生に、世界および日本の日時計の歴史について、カラー画像を投影しながら、興味深いお話を伺いました。

テーマ:〝日時計の歴史と江戸時代―日時計の成立と発達の歴史〟
講 師:小野 行雄 先生(日本日時計の会幹事・元東京造形大学教授
                ・第7回国際日時計コンテストプロ部門グランプリ受賞[2002年])

■日時計とは?
日時計は、太陽の光や影の方向・長さ・高さを利用した時刻 (時間・季節) を知る道具で、今から3500年ほど前にエジプトで作られたといわれる、最も古い科学装置のひとつなのだそうです。
太陽の光の方向で時刻を知る日時計には、水平型・垂直型・赤道型などがあり、また、太陽の光の高さで時刻を知る日時計には巡礼が持つものや、羊飼いが使ったものなどがありました。

■世界、および日本の日時計の歴史
後半は、プロジェクターで画像を投影しながら、スイス、イタリア、ドイツ、イギリス、フランス、インドや中国故宮の日時計など、興味深い世界各地のいろいろな日時計をたっぷりと、わかりやすく解説していただきました。とりわけ、設置する場所によって日時計のデザインが様々に工夫されているのには興味深いものがありました。
日本では、江戸中期に長崎出島の商館長が居留地の花園に作ったのが最初とされているようで、安永4年(1775)に長崎に遊学した林子平がそれを模写し、のちに仙台の塩釜神社に設置したのが日本の日時計の始まりとのこと。江戸後期になって、不定時法に沿った三種類の日時計が考案されました。一つは凹型のボール状で、根付などに多用されたとのことです。もう一つは、月別による太陽高度の変化を応用したもので、しかも紙製ゆえに軽く、旅の七つ道具の一つとして重宝したようです。三つ目は正午計といって、方位磁石が内蔵されており、太陽の南中を捉えて正午の時間を示すものとのことでした。また、江戸時代の傑作〝旅の道具〟には、物差し・毛抜き・耳かき・キリ・毛筆・ソロバン・墨つぼ・小刀・磁石などと共に、日時計が組み込まれていたのだそうです。ありがたいことに、小型の実物をいろいろとご持参下さったので、会員諸氏は直接手に触れることができました。
最後にレジメの末文から――「太陽の光が日時計に当たっているのをジッと見ていますと、ゆっくりと、しかし着実に時が過ぎ行く様子に改めて感動します。太陽の明るさや暖かさやを、そして大いなる恵みを、五感を総動員させて子供たちに (もちろん大人にも) 感じてほしいものです。
私にとって〝日時計〟は〝太陽・地球・自然〟へのオマージュです。」と、小野先生は記しておられました。
〈その他〉
◎岡田会長より以下の2点の資料が配布、紹介された。
①諏訪湖博物館開館20周年記念展「The 引札! 広告チラシの美」のチラシ。
②国立天文台編「暦象年表 平成26年版」の中の[旧暦2033年問題について]の記事。
                                        (レポート=小川益男 暦の会理事)