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◆[第388回]暦の会例会レポート      


                                  平成25年10月26日()2時~4時
                                  会場=五反田文化会館 出席者=12名

アベック台風が日本に接近。交通機関の混乱など、今日はどうなることやらと大いに心配されましたが、幸いに小雨程度でほっと一息。出席者は、いつもよりはやや少なめでしたが12名の会員が来館下さり、例会が成立したことはたいへん喜ばしいことでした。もっとも、過去に台風で例会が中止になった記憶はない、とは岡田会長の弁。暦の会は〝運〟に恵まれているようです。

〈テーマ〉〝『新法暦書』管見~天保暦と木星~〟…………講師:石原 幸男 先生
  江戸時代最後の天保暦では二十四気(二十四節気)に定気法を用いる。これは西洋天文学の『ケプラーの法則』に基づくものである。そこでは二十四気は太陽黄経によって決められるが、それを正しく求めるためには木星や金星による摂動を考慮しなければならない。
 『新法暦書』によれば、天保暦の造暦者である渋川景佑(しぶかわかげすけ)はケプラーの(第3)法則のみならずニュートンの万有引力までをも正しく理解しており、「木星小星」(ガリレオ衛星)にそれを適用することにより木星の質量を知り、木星摂動を見積もっている。その値は現代でも通用するものである。
 一方、金星については衛星がないので同様の手法が適用できず、質量推定法には不明な点があり、誤差が大きい。
 なお、この「不明な点」については質疑応答において上原貞治氏(東亜天文学会会員)より、その根拠は間重富(はざましげとみ)『垂球精義』であろうという貴重なご指摘をいただいた。
 本講演の内容は
  http://www.asahi-net.or.jp/~jc1y-ishr/Kyuureki/Tenpoureki_Jupiter/
で読むことができる。

■その他
【配布物】
◎神宮司廳刊行「平成二十六年神宮暦」(大・小) …… 岡田会長より予約者に配布された。
◎「伊勢神宮式年遷宮と章法」(「歴史研究」2013年10月号掲載原稿に加筆) ……石原 幸男氏より
◎〈「終戦の詔書」を解読する〉〈「気」と中国医学・薬学〉ほか …………伊藤 章氏より 
【報 告】
◎12月3日(火)・「カレンダーの日」のイベントについて……(社)日本暦カレンダー文化振興協会〈暦文協〉による、明治神宮での〝新暦奉告参拝〟等のイベントについて、ポスターの回覧とともに解説がなされた。なお、近々、チラシが出来次第、暦の会会員宛に送付予定。
 9:40~9:55新暦奉告参拝(役員・関係者のみ)、10:00~神楽殿にて祝詞奏上、祈願(関係者・一般参加者)、10:30~本殿前で記念撮影(関係者)、 11:00~講演会・岡田芳朗「明治改暦から140年」
【会員新著紹介】
◎岡田芳朗・松井吉昭『年中行事読本―日本の四季を愉しむ歳時ごよみ』四六判上製・320頁・1900円+税・創元社刊
◎三須啓仙『暦のおしえ―季節と寄り添い、幸運を導く』(暦監修=岡田芳朗) 四六判並製・216頁・
1500円+税・徳間書店刊 *ちらしも
                                        (レポート=小川益男 暦の会理事)