雑記・雨は降るがままにせよ009
2006.10.01(日)晴08:00
快楽の動詞
山田詠美著「快楽の動詞」(文春文庫)を読んだ。
なかなかお呼びのかからない東京労災病院の待合室で読んでいた。
《「いく」「死ぬ」ではなく、もっと他に独自の表現方法があるのではないかと考えていた。エクスタシーの状態である。動詞を使わずに、形容詞、形容動詞を使いたいのである。すると困惑するのである。具体的なその状態を表す言葉がないのである。呻きや溜息の方がはるかに饒舌(ジョウゼツ)なのである。》
「いく」という言葉は男女が共に使い、「死ぬ」は女だけが使うらしい。
男は「いく」だけで女は「いく」と「死ぬ」があるらしい。
私には解らない。「いく」「死ぬ」を生で聞いた事がないのだ。私自身「いく」と言ったことがない。アダルトDVDとかでは聞くことはあるが、実際に生で耳にした覚えが私にはない。
数十分後、栄養士の問診が始まった。栄養士は女性である。
血液検査の結果表を見ながら、いろいろと質問をされたから、正直に食生活を答える。で、注意を受ける。こういうのって結構凹む。心の凹みを解消するためアルコールへ走る。これが悪循環というやつなのだが、懲りない私がいる。
さて、どこへ飲みに行こうか。夕方になると毎日考えることである。
アルコールを口にすることで快楽を得るのである。官能的な欲望の満足によって起こる感情ではなく、心地よい満足を得るためのアルコール性酔っ払い快楽である。私にとっての「快楽の動詞」とは何だろう。
飲みながら誰かと語り合いたい題目であるが、仕事でトラブルがあり、一人酒以外に飲む機会がなかなか作れなかった。そんなこんなの先週水曜日、二ヶ月ぶりに穴守稲荷駅近くの酒場に顔を出したら、カウンター席ですでに酔っ払っているO氏に遭遇。うるさいくらいに話しかけてくるから私もいっぱい話をした。そういう状況の中、めずらしく若女将が私に話しかけてきた。聞かれれば答える、というのが会話なのだが、私がしゃべりだすと怒るのである。
「話が長いから聞きたくない」
そう言われてしまったから、私のしゃべりは「はい」「そうです」「ビールどうぞ」の三つが基本形となり、サンドバック状態で聞き役に徹した。Butそういう状況が凄く楽しかった。
楽しい時は歌いたくなる(?)O氏と蒲田西口『T』、大森Beach『N』と流れた。
で、歌ってしまった。RCサクセションのか・か・か感じる禁断の曲「キモちE」EEE。うーん最高。快感、快楽だ。
で、「快楽の動詞」は? 見つからない。歌いきった後に出る溜息のような、「ふぅー」が快楽を表現しているようだ。呻きや溜息の方がはるかに饒舌と解った次第である。
万太郎