PFM JAPAN TOUR 2002

                          2002.5.11 川崎クラブチッタ


CTLさんの素晴らしいレヴューとセットリストはこちら
しかも大阪公演二日分付き!!


一度はあきらめたPFMのライブ!
それがタナボタで急遽行けることになったんです。これをラッキーと言わずして何と言おう!!
「PFMはものすごくいいから、見ておいた方がいい」
と教えられても、PFMは2曲しか知りませんでした。あわててベストアルバムを買い、予習を始めました。できる限り聴いたけれど、間に合いません。
でも、やるだけのことはしたから、あとはライブの音をじっくり聴いて味わおう!!そう心に決めていました。

さて、開場の時間になったから並ぶと、結構20代〜30代の若い人が多いのに気が付きました。PFMは世代を超えた人気があるのかぁ?新しいファンを開拓し続けているのかぁ?わからないけれど、その客層だけですごいと思ってしまいました。
しか〜し、早い時間から来ていたのが若い層だっただけで、その後ぞくぞくオジ様たちが、50代と思われる方たちもいらしたので、すっご〜〜〜く納得してしまったのです。^^;
600人入れる会場は超満員でした。

さぁ、ライブが始まりました。“曲を知っていなくても絶対大丈夫!!ノレる!!”という、CTLさん&ドルちゃんの言葉を信じ、とにかく耳を澄ませて体中でライブを楽しもうと決めました。

メンバーは、さすがにもう50を過ぎた方たちです。ギターのフランコ・ムッシーダは、白髪を後ろになびかせ、まるでギルモア博士のようでした。
1曲目は、キーボードのフラビオ・プレモーリが歌います。「ハンスの馬車」という曲らしいのですが、静かに拝聴している人が多いです。手拍子はしないのかな?
う〜ん、今日はじっくり聴くライブなのね。椅子に座ってじっくり聴く、このようなライブもいいでしょう!
曲は深い森のように味わい深く、出だしからすっかりPFMの世界を演出していました。幾層にも重ねられた美しいサウンド。そのメロディラインはなんとも心地良く、身をまかせて聴いていられます。以前はメロトロンで再現していたんでしょうね。

2曲目....おおっ、これはわかる!!CTLさんのセットリストによると、「人生は川のようなもの」でした。「ほんの少しだけ」とも言うと、直前指導で教わりました。(^^)
このクリムゾンにも似たゆるやかなシンフォニックなキーボードの流れ!!美しいわぁ〜。私の好きなタイプの曲です。その再現力は想像をはるかに上回り、CDよりもずっと力強いのです。
ドラムのディ・チョッチョがすっごいハイテンションで、彼は水色のハッピをTシャツの上から着込み、腕を上から思い切り振り下ろして叩きます。それから、決めの時には、叩いたあとそのまま立ち上がっちゃいます。そのパワフルな演奏は、ドリームシアターのマイク・ポートノイを彷彿させます。ドラムスが強力なバンドは、演奏を引き締めるわぁ〜。
普通ドラマーというと、影の人で、どうしても目立たないんですけれど、彼は違いました。立ち上がると、目を大きく見開いて、“どう、どう、みんなノってる?”みたいな表情をするんです。

そんな彼がリードボーカルを取ったのは3曲目「幻の映像」です。ステージ中央に下りてきて、スティックを腰に挟み、マイクスタンドを持って動きながら情緒豊かに歌います。見ると、背中にもスティックを4本差し込んでいます。痛くないのか?
ああっ、何かいいなぁ〜、この人!!見ていて元気になるよぉ〜。 こういう人がひとりいると盛り上がります。
顔はアル・ヤンコビックみたいだけど。。(ごめんなさ〜い!m(_ _)m)
その間のドラムは、サポート・メンバーのピエトロ・モンテリジがつとめます。確実なドラムスなんですが、音の大きさ、ダイナミックさテクニカルさがディ・チョッチョと明らかに違います。比べたらかわいそうなんですが。。。

4曲目は「ペニンシュラ」。インストゥルメンタルです。
ムッシーダがレスポールをアコースティックギターに持ち替えて、穏やかに地味に弾きます。
ワタシとしては、ギタリストは派手めにアクションなんかをつけて弾いてもらいたいのです。
けれど、そこは安定性に勝っているムッシーダです。そのまま美しく弾きました。
私はこの曲が大好きなのです。控えめな中に渋さがあり、それでいてしっかり自己主張しています。なんとなくスティーヴ・ヴァイのアコギを思い起こさせます。順序からしては、PFMの方が断然早いんですが、音の間の取り方、余韻などが似ていると感じたのです。ヴァイが影響を受けたのでしょうか?

え〜、その後の曲はよくわからなくて、思いついたままに書きます。
ヴォーカルのディ・チョッチョは、歌いながらよく動きます。でもステージの向かって左の、ちょうど私たちのいる方ばかりです。右はギターのムッシーダがいて、それ以上行けないのです。右側にいた人達は、悔しい思いをしたかも。。。
こちらへ来ると、やっぱりうれしくなるのです
ディ・チョッチョ以外は淡々と演奏している気がしました 。なのに、総ての楽器が見事に揃っていて、音の大きさやバランスも申し分なくて、貫禄とオトナの余裕を見せ付けていました。

すごいと思ったのは、赤い電子ヴァイオリンとキーボードとギター(アコギはちょっとツノ(?)が出っ張っていた珍しいタイプでした)、さらにはリコーダーまで演奏していた ルーチョ・ファッブリです。
彼のヴァイオリンは歌っていて、もう美しいこと!どーゆう人かわからないので、ここに、プログラムからの抜粋を書いてしまいます。
ルーチョ・ファッブリ・・・・オリジナル・メンバーのフラヴィオ・プレーモリ脱退後の1980年から1987年まで、PFMの正規メンバーとして、ヴァイオリン、キーボード、ギター、そしてヴォーカルと、フル稼動で活躍した。現在はプロディース業に専念し、イタリアではマエストロ扱いされている。今回は友情ゲスト参加となった。

そっかぁ〜、そんなにすごいゲストさんだったのかぁ〜。曲によってはPFMのメンバーが食われていましたが、それだけの力量を持つ人だから目だってしまうのでしょう。
でも、演奏していて音量が大きいと思うと、アンプのつまみをまわすという、細やかな気遣いもできる人でした。演奏面でも、ヴァイオリンの弓を弦の上で弾ませるといった奏法もしていて、しっかりいろんな表情を作り出していました。そして叙情性溢れるメロディラインの感動的なことったら!ぱっと見た目はスキンヘッドのコワそうなおじさまなんですが、やることは超一流!!さすがマエストロ!!

ステージ上での演出は、断然ディ・チョッチョが担当していました。よっ、フロントマン!!
彼は観客と掛け合いをしていました。
私はわかんないながらも、メロディを追って歌いました。でも、今日の客はおとなしいゾ!!みんな歌え〜〜っ!!よくわからない私が大声で歌うのが恥ずかしくなるじゃないかぁ!!
曲間で“ありがとうございます、東京クラブチッタ。。”と言ったので、“イエイ!”と言ったら、あまり反応してなくて、浮いてしまった。。う〜ん、そーゆうライブなのか??

それにしても、ディ・チョッチョはノリノリでした。ドラムセットから降りたあとや、歌の合間などに、パントマイムというか、両手をゆっくり動かす踊りというか、それを真剣な表情でやっていました。いつまでやるんだろうと心配しましたが、終わるまででした。(^^)
でも、それが強烈な個性を発していて、それのためにノレたのです。
中期の曲だと思われるポップな曲の時に、パントマイムをしていました。
ヴォーカルの声質は、ここでもラプソディのようにオペラの影響を感じました。さすがイタリア〜〜ンやね♪

舞台の照明は、赤、黄、青、白、紫、緑で、曲に合わせて変化していました。これがスモークで煙った空間にきれいに映えるのよ。幻想的で凝っていました。

印象的だったのは、やっぱり2部の終わりのソロとアンコールでしょう!
2部の終わりには、ギターソロをやったのです。その前にもベースソロとキーボードソロがあったのですが、このギターソロはすごかったです。どこにこんなパワーがあるのって感じで、弾きまくる、弾きまくる!それも美しく、時おり緊張感のあるフレーズを。そんなに早弾きではないのですが、ギターはその音色の美しさがあれば感動するのです。
それにかなり時間を割いたあとは、今度はヴァイオリンが入ってきました。
ヴァイオリンとギターのバトル!!息をつかせない緊迫感とノリ!ずっとやってくれぇぇ〜〜!!
もう細かいことは覚えていません。だけど、そこにはライヴを見に行った人だけが見せてもらえた最高のパフォーマンスがあったのです。
これだ〜!これがライブのノリなのよ〜!!思わず立ち上がって手を頭の上で叩いてしまいました。

けれど、それ以上のパフォーマンスがアンコールだったのです!!!
“セレブレーション”はなんというノリなんでしょう。ドライブ感と躍動感と感極まる感動がそこにありました。
もう、全員総立ち!!私はついに拳を振り上げました。隣のcinnamonさんも立って手を叩きっ放しです。
ヘヴィメタの時のように、頭を振って小刻みに踊っちゃったよぉ〜〜!!もう、人の目なんか気にしてらんない。昨日知った曲だろうと、いいものは体全身で体感したい!!
“セーーーレブレイショーーン!”のコーラスだって4回全部歌ったわ。ディ・チョッチョがステージ上を駆け巡ります。ドラムセットのところへ戻ってきて叩いたりもします。彼は本当に50代なんだろうか?あの元気さでパワーをもらっているようでした。
この曲だけアップテンポで、ノルのには最適でした。ああっ、いい曲だぁ〜!!


そうやって、PFMのライブはノリノリで幕を閉じました。
演奏は高度だったし、メロディは非常に美しかったし、音響も良かったしで、すごく満足のいくものでした。
シンフォロックのノリを期待してはいけないと思いつつも、その面でも満足させてもらって、めっちゃ充実感を味わいました。
今回のPFMのライブを聴くチャンスを与えてくれたcinnamonさんに、深く感謝いたします。


今回、なぜこんなにライブのノリのことを書いたのか自分でも不思議でしたが、ようやくその理由がわかりました。それは、PFMがあまりにもパワフルだったからです。
自分の感じたままに体で表現すると、あれは始めから立って声を掛け、手拍子をしまくってもいいテンションでした。周りがそれほどノリノリでなかったので、違和感を感じたのです。

でも、長年のPFMのファンの方たちによると、あのようにノリノリとは想像つかなかったようで、―それはうれしい誤算のようですが―、じっくり聴きたい部分とノリたい部分があって、はじめのうちは戸惑ったのではと思いました。(違っていたらごめんなさい)

それを考えると、あのライブは皆の想像をはるかに超えた極上かつ力がみなぎるものだったのでしょう!期待以上のものを彼らは応えてくれたのでしょう!
そんなものすごい奇跡のような瞬間と空間を共有できて、私は幸せなのです。

これから時間が経って、さらにPFMを知るにつけ、ライヴへ行けたことの“意味”がもっとわかって来るのでしょう。