セタンタ
                      2002.10.15(火) ダブナリーズ・アイリッシュ・パブ新宿


アイリッシュ・パブはいい雰囲気

風邪気味の良好とは言えないコンディション。
行きなれた新宿の南方面に、そのザ・ダブナリーズ・アイリッシュパブ新宿店がありました。
ひとりでライブを見に行ったことはあるけれど、ひとりで飲みに行ったことは。。。マスターが知り合いというのを除けばないよぉ〜〜!困ったわぁ〜。ライブが始まるまでは、何をして過ごそう?雑誌でも読むか?似たような境遇の人がいないかなぁ??

そんな弱腰のmasshでしたが、「セタンタのライブを見るんじゃぁぁ〜〜!!」と決心していたから絶対に行くつもりでした。
店の前にお店のおねぇさんがいたので、「ひとりでも大丈夫ですか?」と聞くと、「どうぞお入りください」とのこと。ここまで来て入らないわけいかない。よぉ〜しっ、覚悟は決まった!!


ダブナリーズ・アイリッシュパブは、店内が微妙に暗くていい雰囲気です。調度品はアイルランドからの取り寄せだし、料理もアイリッシュ感覚に溢れていました。
長細い造りになっていて、奥にバーカウンターがありました。
入ってびっくり、アイルランド人なのか、イギリス人なのかわからないんですが、外人がいっぱいいました。彼らは当たり前の顔をして座って話をしています。一見のお客さんじゃないのは見てわかります。高級なパブではないんですが、さりとて安っぽい感じは微塵もしなくて、仕事帰りにちょうどいいんでしょう。

私はひとりで来ている女性をみつけ、あわよくば同席させてもらおうと話し掛けましたが、あいにくあとで連れが来るそうです。ああ、残念!!
仕方なく、ひとりだけで見ようと心に決めました。

セタンタのメンバーは、店の真ん中に位置するボックス席のテーブルを3つ取ったところで、既にリハーサルをやっていました。それを気にして見ている人はいません。まるでお店のお客さんが楽器を持ち込んで練習をしているよう。
私は、彼らがセタンタなのかぁ〜と少しは注目しましたが、オジさんだったし狭苦しい所に3人押し込まれていたので、外タレの放つオーラは感じられませんでした。ひどい表現だと、音楽愛好家による生演奏ってところ。音楽チャージなしだったのでありがたみがそれほど湧かなかったんです。

ライブは8時からでした。私の席からは仕切りがあって見えません。仕切りがなければ1mくらいの所に彼らがいるというのに!!

ライブが始まるまであと30分ありました。さぁて、何をして過ごそう。。
オーダーを取りに来たので、「アイルランドのビールと言ったら何がいいの?」と店員さんに尋ねたら「ギネス」というので、それを頼みました。食事は、ビーフシチューのパイ包み焼き&チップスです。アイルランド方式なのか、品物と引き換えにその場でお金を支払います。

ほっと一息つき、いよいよどう過ごそうと思ったら、お隣りにおとなしくて親切そうな外国人男性がひとりで座っていました。そうだ、彼と話そう!
「ひとりで来ているんですか?」と英語らしきあやしい言語で語り掛けました。どうやらあちらもひとりです。よぉ〜し、それなら話が早い。
「私は連れが来れなくなってひとりなんです。良かったら今夜は私とお話をつきあってくださいね♪」とお願いし、快くオッケーをもらいました。彼は日本での滞在が1年3ヶ月で日本語が結構しゃべれるし、気さくな人で良かったわ。

ビールの話、住んでいるところの話、仕事の話、スポーツの話など、内容は多岐にわたりました。そのうちにライブが始まり、ようやくセタンタのライブレビューも始まるんです。


メンバー紹介
                
ハンズ・アラキ
Hanz Araki
アイリッシュ・フルート、ペニーホイッスル、ヴォーカル
父親は尺八演奏家五代目荒木古童

デイル・ルウス
Dale Russ
フィドル
フィン・マクギンティ
Finn Mac Ginty
ギター、ボーカル











ライブの感想

のっけからナンですが、知っている曲はセタンタのHPにあったMP3の4曲のみ!
さらにギネスビールを1PINT(550mlくらいだったかな?)飲んでいるので、ますます曲名はわかりましぇ〜〜ん。
おまけに、出会った外国人Cさんとの会話が楽しくて、初めの2曲くらいは聴き逃しました。;(^^ゞ
それでも、聴いていたら感じるものがありましたので、それを断片的に書いていきたいと思っています。

ハンズ・アラキのフルートやリコーダー(ペニーホイッスル?)は全部で5種類ありました。
黒くていかにも高そうなフルートが、一番音程が低くて低音を豊かに表現していました。
フィドルとユニゾンで同じメロディを奏でると、フィドルの音に負けて全然聴こえて来ないのです。でも音の厚みは確実に増しているからそれはそれでいいと思います。
元気で踊りたくなるような曲は、フィドル全開です。アイルランドの音楽は、どうもみんな同じように聴こえてくるのですが、この日もフィドルがのべつまくなし弾きまくる曲はそんな感じでした。リズムとテンポが同じだし、変リズムがないからそう聴こえるのでしょう。メロディに全音符とか全休符とかあると、また違った印象になると思いますが、きっとアイルランドは寒いから冷えないようにフィドル奏者はずっと腕を動かさなくてはならないのだぁ〜〜!!と勝手に解釈することにしました。(((((((((;^▽^)。

ギターは、このバンドのリズム隊を一身に背負っています。軽快にコードを押さえて演奏を続けていきます。
ギターソロはありませんでした。
なんと途中で弦が2回も切れました。普通のライブなら替えのギターに持ち変えて、それをローディーが裏へ持っていて張りなおす手はずなんですが、全部3人でやらなくちゃいけないライブなので、フィン・マクギンティは、その場に座ったまま張り替えていました。その手つきの鮮やかなこと!さすがプロのミュージシャンです。1〜2分で張り替え終わりました。
弦を張り替えている間も演奏は続きます。でもギターがないと、曲のオープニング状態です。曲のテーマは奏でているものの、これは導入部分であって、不完全で浮遊していて、個別の練習曲のような感じでした。
そこにギターが加わると、演奏が締まること締まること!トリオだから、誰が欠けてもいけないのです。

演奏は、まったくして見事なアンサンブルでした。目をつぶってもできるんじゃないかと思えるくらい、それぞれの信頼感は強く、快適に楽しそうに演奏していました。セタンタは長いキャリアがあるんじゃないかなぁ。円熟味がありました。
特にむずかしいことはやっていないし、弾きながらちゃめっけたっぷりに楽器を回すこともなかったんですが、当たり前のことを当たり前にこなす余裕と貫禄を感じました。

歌が入ると変化がつきました。
セタンタには二人のボーカリストがいます。
ひとりがギターのフィン・マクギンティ。彼はなぜかアメリカ大陸を思わせる、開放的で陽気な歌声です。曲調も明るめです。カントリーがかっています。島国なのになんでカントリーなんだろう。。と不思議に思いました。
もうひとりがハンズ・アラキ。こちらは哀愁たっぷりです。マイナー調のメロディに乗せて、顔から体じゅうからもの哀しさを表現していました。彼の歌からは、風光明媚なアイルランドの山や海や自然をそのまま残した河口が見えるようです。私は断然哀愁派です。やけに陽気なアイルランド音楽にも、せつなくなるメロディがあるんだなと、胸を締め付けられていました。

メンバーの風貌なんですが、ぱっと見てハンズ・アラキが一番若いです。
黒髪で身長は166cmくらいにしか見えないんですが、フランス人のような甘さが顔にあります。日本人とのハーフですが、顔と才能は両親の良い面を引き継いでいると思いました。とフルートを演奏している時の情感を込めたせつなそうな表情が絶品です。見たトコ30代。
フィドルのデイル・ルウスは、いかにも人の良さそうなオジさまです。知的で穏やかそうです。フィドルを奏でている様子は、ちっとも荒々しさがなく、上品そのものでした。175cmで40代ってトコかな?
ギターのフィン・マクギンティは長身です。185cnくらいあるでしょう。ギターを弾いているためなのか、日本の家屋では天上に圧迫感を覚えるためなのか、やや猫背でした。横にも大きくて、北の大地に根を生やしてじっくり生きている雰囲気を持っています。金髪でギョロっとした目が印象的です。う〜ん、かわいそうだけど深い皺に50代を見ました。
年代が上がると身長も上がる??

曲の合間に「これは一番新しいアルバムからだよ〜〜ん♪」と説明してくれるのですが、みんな同じに聴こえて、新しいってどこが?という調子で、バンドの音楽性の移り変わりはさっぱりわかりませんでした。一貫してアイルランド音楽を取り入れていています。

ライブを聴きに来たと思われる人は、20〜30人くらいでした。あとはお酒とおしゃべりを楽しみに来ている人ばかりです。
ちょっと離れたところにあるボックス席には、入れ替わり立ち代り外人や日本人が座っていて、ライブの間でも会話や笑い声が聞こえてくるんです。
う〜〜ん、もったいないな。少しは耳を傾けてみたら?
ただの生演奏だと思われているんでしょう。

そんな感じで、聴くのは自由、おしゃべりするのも自由だったので、私は彼らの横に座っていたこともあり、椅子をステージの近くに運んで座って見ていました。ライブを見ている人はほとんど立ち見だったから、誰も咎めません。風邪気味の私にはありがたいことでした。黒人も見ていたのが意外でした。

お客さんの中に、セタンタと仲がいいようなスーツを着た外人がいて、なにやら話し掛けていました。でも彼らにまた何か言ったあと、思いっきり途中で帰っちゃったので、ただの酔っ払いだったのかも。^^;
荒木さんの親戚と思われる年配の男性がいました。それから中年の熱心なオバさまも。関係者でしょう。



ちょっとブレーク

間に10分くらいのブレークを取って、一度は下がりました。
その間は飲み屋に戻ります。Cさんとお話ができて良かったぁ〜。じゃないと手持ち無沙汰だもん。
彼はエビスビールを飲んでいました。ビールはその国で作られたビールが一番おいしいというのが信条でした。「いろんな国へ行って、いろんなビールを飲んでみたけれど、その国のものじゃないと鮮度が落ちておいしくない。ギネスだってこんな味じゃない」と言うのです。う〜ん、そうかも知れないわ。ヨーロッパの輸入ビールでおいしいのに巡り会ったことがないものね。
それで私も2杯目はエビスビールに。
ギネスビールは黒ビールなので、あまり好きではないしね。黒にしては飲みやすいけれど。(ハーフ&ハーフくらいなのかな?)



ステージ再開

約束の10分を5分ほど過ぎてメンバーが戻ってきました。
アンコールくらいなのかと思いきや、しっかりと演奏してくれました。
女性が近づいて、テーブルの上に置かれたCDを一枚購入していました。何か話していたから、サインのおねだりかも〜。別の女性も1枚購入していました。
初めの女性は少ししてからペンとメモを片手にやってきましたので、無事サインをもらえた模様です。2000円でした。
再開後の演奏も変わることなく、大きな時代の流れと豊かな大自然をバックボーンに、堂々と乱れることなく正確に弾いていました。酔っ払った頭で考えてみたんですが、予習した4曲は演奏しませんでした。
40分くらい演奏したら、また演奏がストップしました。もう終わりなのかな?
時間も10時くらいになっていたので、帰ることにしました。自主的に終了!



ステージが終わってからの感想

彼らの演奏は、安定感があってゆったりとリラックスして聴くことができました。
生演奏を聴いて楽しむ人も、酒の席のBGMとしても会話を邪魔することなく聴けたと思います。
チーフタンズのDVDでは、彼らはよくパブで演奏をしていましたが、きっとこのような雰囲気でやっていたんでしょうね。お酒を飲みながら、お気楽に音楽を聴いて楽しむ。そしてついでにメンバーと会話して、リクエストなんかしちゃったりして。
実際、演奏中にメンバーのドリンクがなくなったら、お店にオーダーしてまた飲んでいました。ジンジャエールとコーラとあとはホットの。。レモネードかホットウィスキーでしょうね。肩肘張らずに、ごく自然な感じでやっていました。見ている方も、ちょっと楽器のお上手な人の演奏を楽しむって程度でまるっきり気楽でした。
アイルランドの雰囲気が漂ってきて、行って得したライブでした♪アイルランドの方面が祖国のCさんとも話せて、ますます異国情緒に浸れましたぁ。(^^)v 外国のパブでは見知らぬ人とも会話を楽しむから、私のしたことはこれに当たるのでしょうね。楽しい時を過ごせました。
一期一会でした。


今回は、セタンタのことをほとんど何も知らなかったし、アイリッシュパブは初めてだったこともあって、ライブレビュー&アイリッシュパブレポートのようになってしまいましたぁ。
音楽的に今イチ、今ゴですみましぇ〜〜ん。m(_ _)m