Bridge Across Forever
Transatlantic


これは紛れもなくプログレです!
Transatlanticは、4つのロックグループのメンバー達が一堂に会して作ったいわばスーパーグループです。全4曲です。
これが心地よくていいんだなぁ〜。
聴けば聴くほどそのサウンドにハマっていきます。

メンバーは、
  DREAM THEATERのマイク・ポートノイ (ドラムス)
  THE FLOWER KINGSのロイネ・ストルト (ギター)
  SPOCK'S BEARDのニール・モース (キーボード)
  MARILLIONのピート・トレワヴァス (ベース)

当然私はドリームシアター系のサウンドを期待しました。でも出てきた音楽はまったく別物でした。
1曲目のDuel with The Devilは、カンサスかと思うほどのキーボードが分厚く明るいサウンドでした。でも、26:43もある大曲なので、途中フロイドやジェネシスのような空間的広がりのあるサウンドも顔を出します。
それらが違和感なく自然に流れていきます。
サックスも飛び出してジャジー感覚も持ち合わせています。始め聴いた時はボーカルが弱いかと思ったのですが、ハードロックではないので、これでもいいのです。
さらにさらに随所でスティーリー・ダンのようなおしゃれな音が聴けるのも魅力です。これはキーボードのニール・モースのセンスによるものでしょう。
終盤のマイルドで反復のあるギターでゆったりと徐々にクライマックスに持っていく手法は、あまりにも感動的で私の心の琴線に触れっぱなしでした。
文句なしにいいっ!!

2曲目のSuite Charlotte Pikeは、もう少しビートが効いていて、聴きやすいクリムゾンのようなサウンドから始まります。
それが一転してボーカルが入ると、にわかにポップになります。むしろビートルズですね、これは。ギターフレーズとかコーラスとか、絶対意識しているよ。楽しいサウンドです。
終わり方は、ややドリームシアターのTake This Timeが入っているかな。(14:33)

3曲目のBridge Across Foreverは、タイトルナンバーです。静かなピアノソロから始まるバラードです。
この作品では珍しく短くて5:32で終わります。
ボーカルはキーボードのニール・モースが兼ねているので、ほとんど彼ひとりで作った作品でしょう。
このボーカルスタイルはジョン・ウェットンに似ているわぁ〜。

4曲目のStranger In Your Soulも30:00ある大曲で、ダイナミックなマイクのドラムに乗ってキーボードやギターがいきいきとプレイしています。
こちらはシンプルなロックのエッセンスが少しかかっています。複雑なことをやらない分メロディーの美しさが際立って、なかなか感動的です。
浮遊感の漂う美しいパートでは、幻想的でこのグループがロックグループの集団ということを忘れてしまいます。
ただ惜しむべきは、ハードな場面にここぞといわんばかりにギターの早弾きをギンギンにきかせてくれたらなぁ〜ということです。これだけが残念です。メロディアスなギターが美しいだけに、メリハリを利かせてもらいたいのです。

全体的には、プログレのさまざまな要素をふんだんに盛り込んでいて、聴く者をまったく飽きさせません。
次に何が飛び出すかわからないというワクワク感と、確かな演奏技術に裏打ちされた本物の味わいが魅力的です。


なお、限定版だったので、もう1枚CDがありました。

  1.Shine On You Crazy Diamond
2.Studio Chat
3.And Love Her
4.Smoke On The Water
5.Dance With The Devil
6.Roine's Demo Bits

おお〜っ、フロイドとビートルズとパープルだぁ〜。なぁるほど、彼らが好きなサウンドがこれらだから自然その影響が出ていたのね。
Dance With The Devilは誰の曲なのかなぁ?聴いたことがあるわぁ。
これらも、1は完璧な演奏をしたし、3はギグみたいな軽いノリだったし、4も遊び半分みたいな楽しさがあって、それぞれに味わいがあります。
中身が濃い、素晴らしいプログレが楽しめるCDになっています。また、オマケとして短い映像とフォトが付いているのもうれしいです♪