都響スペシャル「佐渡 裕&スティーヴ・ヴァイ」

                         東京都交響楽団   於 サントリーホール
                                        2002.7.26


【曲目】

レーナード・バーンスタイン
コミック・オペレッタ「キャンディード」序曲

野平 一郎
エレクトリック・ギターと管弦楽のための協奏曲「炎の弦」
(2002年版)世界初演
Tいきいきと速く、激して-遅く-最初のテンポで Uとても速く-中庸なテンポで-騒然と混乱の中で


イーゴリ・ストラヴィンスキー
バレエ音楽「春の祭典」
T大地礼讃――
1序曲 2春のきざし-乙女たちの踊り 3誘惑 4春の踊り 5敵の都の人々の戯れ 
6賢人の行列
 7大地へのくちづけ 8大地の踊り
Uいけにえ――
1序奏 2乙女たちの神秘なつどい 3いけにえの讃美 4祖先の呼び出し 5祖先の儀式 
6いけにえの踊り


指揮 : 佐渡 裕 SADO Yutaka
エレクトリック・ギター : スティーヴ・ヴァイ

ヴァイオリン : 松野弘明    ヴィオラ : 川本 嘉子




【コンサートの前に】

ついに私もサントリーホールデビューです。
音響が良くて、クラシックを聴くには、ここでなくちゃ!というイメージがあるんです。
もっとも私はスティーヴ・ヴァイを聴くために出かけるんですけどね。

溜池と六本木の間にあるサントリーホールは、全日空ホテルの隣りにありました。入り口の前が広場になっていて、幅の広い滝が流れています。滝が流れている中に、南洋の植物が生い茂り、そのまわりも低木が取り囲んでいて、とっても優雅なリゾート気分!
さすが、バブル期に建てられたホテルだけあるわぁ〜。
そこかしこに置かれたテーブルといすには、外人も含め観光客が多くて、写真を撮っていました。
近くのアートヒルズの建物のカフェみたいなオープンテラスも彩りをそえています。こう見ると、東京も洒落ていて捨てたもんじゃないわぁ〜。
ちょっと(かなり)来ないうちに変貌していた溜池をうれしく感じていました。

そうして6:20に到着すると、サントリーホールの上にあつらえてあるパイプオルガンのオルゴールのモニュメントから、開演時刻をお知らせするパイプオルガンの調べとオルゴールの回転が見られ、私を喜ばせてくれました。
今日のお客さんは、断然20代〜30代の男性が多いです。その格好もジーンズ姿!!
クラシックを見にきたというより、ヴァイを見にきた人が多いのね。

会場内も、すっかりホテルのロビーみたいで、高級感漂っていました。
新しくてきれい!!
(写真がそのエントランスホールです。)
会場は演奏者を中心に聴衆がぐるりと囲むような、ワインヤード型です。円形で歪みがないから、明るく暖かな音が響き渡るそうです。
そして後ろにそびえ立つパイプオルガン!!
実に大きくて荘厳です。こんな会場で幸せだぁ〜〜〜!!

今日の座席は、なんと最前列っ!!やたっ!!!
ただし、左はじから4番目なんです。
正面でちょっと遠いところと最前列と、どちらにしようかなと迷ったんですが、一度最前列っていうのをやりたかったのよね〜〜。
(写真はステージです。奥の中央がよく見えないけれどパイプオルガンです。)

ステージには、すでにスティーヴ・ヴァイのアンプやフットペダルが置かれていて、観客が次々と見に来ていました。小さめのアンプが2台にプットペダルは3台。見てもよくわかんないや!
ステージでは、リハーサルなのか自主トレなのか、演奏者が自分のパートを弾いています。早弾きの場所ばっかり。この日の曲の一部なのか、早くてこむずかしい、BGMにしては最高の部類の音楽でした。
指揮者が真ん中で、その左となりがヴァイの立位置のようです。
私の目の前は、第一ヴァイオリンのオバさま。手を伸ばせばすぐに届く位置です。こんなに近くていいのかなと不思議でした。


【いよいよ開演】
そうこうして、開演の時間になりました。
それぞれの楽器を持って入場です。そして指揮者の佐渡裕さんが登場!!
おおっ、結構長身なのね。しわしわの黒いシャツにこれまたよれよれの黒いパンツ!笑顔をたたえています。
なんか指揮者らしくないなぁ〜。威圧感はない。いろんなタイプがいるのね。

最初は、バーンスタイン作曲の「キャンディード」序曲。
軽快でメロディアスな曲です。
それを佐渡さんは、いかにも楽しそうな表情で、時に唇をとがらせていっしょに口ずさんでいるように、時に踊るように、時にジャンプして感情を発散させているように指揮しています。
私の席からは、オーケストラの内部が全然見えない反面、佐渡さんの表情がよく見えます。もう、今日は全体的な構成はあきらめて、最前列をフルに楽しもう!と決めました。
それには、佐度さんの指揮はうってつけ。うっとりと陶酔しているような表情は、この美しい曲に似合うものでした。
演奏技術は他に比較できないのですが、高いと思います。音響は完璧っ!!さすがです。

「キャンディード」序曲が終わると、会場のセッティングに時間がかかるので、その時間を利用して誰かわからん人と「炎の弦」の作曲者の野平一郎さんとの対談が行われました。「炎の弦」を、世界最高峰の一人と目されるスティーヴ・ヴァイ氏に演奏してもらって、大変光栄だとか、自分が作曲したものを、ヴァイはちょっと練習しただけで完璧に弾くとか、自分よりも技術が高いとかを話していました。だいたい、パンフレットに書かれていたことと同じかなぁ。
すると、突然ピアノによるパープルの「Smoke On The Water」のイントロがっ!!
見ると、佐渡さんが、茶目っ気たっぷりに弾いていたんです。ちょっとジャズフレーバーがかって。それも顔は野平さんを見て、笑いながらですよ〜。この余裕はスゴいわぁ〜。
野平さんの「来たなぁ〜」って顔を制して、佐渡さん、「オレにも話をさせてくれぇ〜〜!」舞台の中央に歩み寄ります。「オレは、昔はRockが好きで、クラシックなんか大嫌いだった。」という話をしていました。「エレクトリック・ギターなどという、電気を通した楽器を入れるのに抵抗を感じずに積極的に取り入れたのは評価できる。。」という話をしたのは、彼だったのかなぁ〜?ちょっと混乱しています。
何かわからないけれど、オーケストラにエレクトリック・ギターを組み入れるのは、画期的なことのようです。
どうなるのかなぁ〜、期待しちゃうわぁ〜。ワクワク。

【ヴァイ登場!!】
セッティングが終了して、ヴァイの青と白のアイバニーズが2台運び込まれました。
そして、「さぁ、行きましょうか」との声がしたら、演奏者が入場してきました。私の席は、入退場のドアに近いだけあって、そんな声も聞こえてくるのです。ドアを開けると私の方向へまず歩いて来るので、顔がはっきりとわかって楽しいです。
最後に、仲良く佐渡さんとヴァイが登場ですっ!!
ヴァイは若草色のニットの薄いセーターと黒いパンツのいでたちです。細いっ!カッコいいっ!!
髪は短く切りそろえられていて、黒髪と茶髪とオレンジ色の髪が混じっています。それが知的でよく似合っています。
手には、いつものアイバニーズのJEMを持っています。白くて、ボディに切り抜きがあって、ネックに唐草模様が入っている、洒落たタイプです。

始めの音合わせで、ヴァイは軽〜くさっきの「Smoke On The Water」を弾きました!
うきゃぁ〜〜!!シャレッ気もあるのねっ!!佐渡さん、すっかり喜んでヴァイと抱き合っています。なごやかでいいわぁ〜。
ヴァイは、譜面台が佐渡さんの方を向いていることもあって、私には背中を向ける格好です。私には、ヴァイの斜め後ろの横顔しか見えません。引いている左手は、完全に見えません。右手だけがかろうじてです。う〜〜ん、残念だぁ〜。
でも、ペダルを踏むのは文句なしに見えるから、それで我慢しようっ!!
今回は、ピックを使わずに、指だけでつま弾いていたようでした。

野平さんの「炎の弦」は、メロディがないような感じでした。前衛的というか、現代音楽というか。
弦を焼き尽くすまで弾きまくれぇ〜という思いを込めた曲らしいです。
私にはどうにも理解不能です。
始めのうちは、オーケストラとギターとも、3音くらいの短い音を並べて、交互に弾いているようでした。ギター音もクリアでなく、私にはノイズに聴こえました。メロディなんて、無きに等しいです。
それを、ヴァイは譜面を見ながら忠実に再現していました。なんだか単調なんだよね〜。何もエモーショナルに訴えかけるものがない。こんなものなのかと、軽い失望を覚えました。というのも、私はイングウェイのオーケストラの競演のような、ギターが感性のおもむくまま弾いて、それにオーケストラがついていくという形を期待していたからです。
でも、今回のは、野平氏の書いた曲を忠実に再現するヴァイがいるだけで、私の求めるヴァイではなかったのです。まさに演奏家としてのヴァイ。なにもヴァイじゃなくても良かったんじゃないのか??そんな気さえしてくるのです。

「炎の弦」の第1楽章が終わり、第2楽章に入ると、それらが改善されてきました。ヴァイのソロが演奏されたのです。早弾きはさすがです。
第2楽章の中盤で、ヴィオリンの松野弘明さんとヴィオラの川本嘉子さんがステージの中央、ヴァイの後ろにやってきて、立って演奏しました。その3人での演奏。交互に音を5音ずつ弾いていたような印象です。私の位置からは、ヴァイオリンとビオラ奏者の顔が見えなかったんですが、なごやかそうでした。
でも、依然として技巧としての早弾きに終始していて、エモーショナルのかけらもありません。悪くはないんだけど、なんだかなぁ〜。ヴァイのギターがもったいないよ〜!!
今回は、そういったメロディよりも、いかに衝撃度を増すか、切り口の鋭さを表現するかがテーマなんでしょう。現代音楽には不可欠になるであろう、電気による楽器との融合を目指しているんだろうけど、私の求める方向性とは明らかに異なっていました。

私は、ロックとクラシックとの融合である、シンフォロックが大好きで、クラシックのメロディアスで優美な旋律と、ギターによる攻撃的でありながら音の伸びを生かした余韻を楽しむ叙情性の合わさった大仰なアンサンブルが大好きなんですが、それは今日のコンサートには望むべくもありませんでした。まったく残念なことです。
でも世間一般には、目の前に繰り広げられているこれが、クラシックの求める、Rockとの融合なんでしょうか?
そうだとしたら、あまりにも間口が狭いと思います。
ヴァイが弾いた、鉄工所のあるいは木工所の電気ノコギリのような音、赤子の鳴き声と間違えそうな音が真の音楽なんでしょうか?
これは、むしろ、こんな音も出せると表現してみせたような、音それ自体に対する挑戦のようで、作曲者の自己満足に終結していると思えたのでした。
クラシックファンは、メロディアスで美しい旋律は求めていないのか?
そこまで勘ぐってしまったのです。
私は野平氏がどんな人で、どんな功績を残して来たのか知らないので、こんな批判が書けるのですが、自分が間違っているとは思いません。
が、アヴァンギャルドな雰囲気も大切にするヴァイだからこそ、そんな野平氏の音楽性にも共鳴できたのでしょう。

【演奏が終わってから】
そうやって、早くメロディアスなパートを弾いてねとの期待もむなしく、「炎の弦」は終わってしまいました。
でも、ヴァイはいたく感激したようでした。
クラシック特有の、拍手をもらいながら何回も出たり入ったりしている間に、ヴァイが書いた感想文の日本語訳が読まれました。
それは、レポート用紙3枚に及ぶ、長文でした。
「今年の春に、野平氏が自宅へ奥様と訪れて、「炎の弦」の構想を聞いた時は、気楽な気持ちで引き受けました。しかし、野平氏から楽譜を渡されて自分にできるのかと不安な気持ちになりました。その後、一枚一枚と楽譜が送られてくるにつけ、不安は募りました。
それでも、何とか協力できて、今はほっとしています。
野平氏の作品は、ギターの音だけではなく、フットペダルまで指定してあって、ギターをよく研究しているなと思いました。彼は現代が生んだまさに天才です。そんな彼といっしょに演奏会ができて、ものすごく光栄に思っています。どうもありがとうございました。それから、佐渡氏や演奏者の方々、どうもありがとうございました。皆様に感謝しています。」
記憶に残っているのは、こんなところです。
ヴァイの謙虚さが前面に出た、素晴らしい感想文でした。

そうしてヴァイはまた引っ込み、拍手が鳴り止まぬ中再登場した時には、係りの人に2台のギターを運ばせていました。
それを1台は佐渡さんに、もう1台はワタシに。。なはずがなく、野平氏に渡していました。
野平氏は、この時、観客席から私の目の前を通ってステージに上がったのよね〜。これがヴァイ氏だったらなぁ〜。^^;
渡したギターは紺色の、ヘッドの小さいものでした。
二人は大切そうに、そのギターを抱えました。こんな光景は見ていてうれしいです。

若干のスタンディングオベーションがありました。私も立ち上がりましたよ〜。両隣の若いおにぃ〜ちゃん達もそう。
演奏はよくわからなくてやや不満でしたが、ヴァイがいいならいいやぁ〜。
そう言えば、ヴァイは彼の曲の中でも、情緒的でなく実験的な音色を取り入れたりするので、彼の中の部分ではそういう要素が多分にあるので満足しているのでしょう。ずっと穏やかな笑顔をたたえていました。
ここで、15分の休憩です。


【ヴァイのギター】
休憩になるとすぐに、観客がステージのヴァイのギターに殺到です。
私はステージに近い利を生かして早い到着。よくわからないのに、覗き込んでしまいましたぁ。
ヴァイのJEMは、ギターの表に1箇所、裏に3箇所くらい数字や文字がセロテープで貼られていました。そのために薄汚れて見えます。それは何を意味するものなのでしょう??
それがたった今までヴァイが手にしていたギターだと思うと感慨深いです。
一人の私と同年齢かそれより若いと思われるおしゃれで素敵な女性が、一番近くにあった青いギターのペグの部分を触っていました。私がそれをじっと見ていたので、私の方を振り向きました。笑うと彼女も笑い返しました。
それに勇気づけられて、私も青いギターのボディを触っちゃったんだなぁ〜。理性が勝てなかったの。^^;
ヴァイのギターには、私の指紋が残っているよ〜。(^^)v
触ったら指がしびれてしまいました。
これだからオバさんはぁ〜!と言われそうだわ。いいの。オバさんばんざ〜〜いっ!!

席に戻ろうとすると、私の5つ隣りくらいに座っていた外人が、サインをしていました。太めでナチュラルパーマの長く黒い髪、背はあまり高くなく、サングラスをしていました。ミュージシャンか関係者か??
さっぱりわからないのですが、そういう著名人らしき人と近くに座っていっしょにコンサートを楽しめることがうれぴいよぉ〜〜!!


【春の祭典】
休憩が終わると、今度はストラヴィンスキーの春の祭典が演奏されます。
これだけ唯一予習できた曲です。
伊福部昭氏が、札幌での学生時代に影響を受けた曲というのがチケットを買ったあとにわかったので、そのつもりで聴いておきました。

CDではわからなかった音がいっぱいでした。こんなにホルンやチューバが強調された力強い曲だったとは。いろんな情景がつながってひとつの曲を形つくっているのですが、打楽器が加わってあらゆる楽器がめいっぱい組み合わさった時の緊張感ったらないです。
CDを聴いて、これは主題がよくわからないし、流れもよくわからない。伊福部氏の音楽にもよく似た、攻撃的で分厚いサウンドだとずっと思ってきました。
でも、今日の演奏を聴いたら、『もうわかんなくてもいいっ!!』
どだい、こういう壮大な曲をわかろうとすることが無謀なんだと思いました。
耳で聴いて、肌で感じて、目で確認して。。そうして自分で感じたこと、思ったことがすべてです。頭の中で構築するのが無意味でした。
もう、すべて丸ごと受け入れる!自分の中にある音楽性というか、今までジャンル分けしていた部分に無理にはめ込もうとするから、その音楽が見えてこないのでしょう。こう思わせるほど、「春の祭典」には感性に訴えかけるパワーがあったのです!

私が感じたのは、その圧倒的な迫力です。
私の所からは、運良く第一ヴァイオリンの譜面が見えます。ページをめくる時にチェックすれば、リズムを追ってどこを弾いているのかがわかります。それを見ながらの演奏会ってちょっとないので、興味深く見つめていました。
ヴァイオリンがひと弾きしたあとに、連続する早弾き、またひと弾きしたあとの早弾き。めちゃくちゃメリハリがあります。が、それに負けない金管楽器の応酬。それを増長させる打楽器の脳天から叩いてくるかのような大音量!
変リズムが多用されているので、リズムにはなかなか乗れないのですが、それ以上のその場の緊迫感にやられっぱなしでした。それに躍動感がありました。リズムよりも躍動感の方が大切です。こちらから見えなかったチェロやオーボエもさぞかし忙しく弾き鳴らしていたんだろうなぁ〜。
そのような変リズム、早弾きがあるにもかかわらず、演奏は完璧でした。
演奏に圧倒されるって、このことを指して言うのでしょう。

途中、第2ヴァイオリンのソロも弾く人の弦が切れてしまいました。いったいどうするんだろう?
すると、彼は切れたヴァイオリンを後ろに回し、その後ろの女性のヴァイオリンを借用しました。そして後ろの女性はそのまた後ろの人のを。。
そうやって4番目の女性が切れたヴァイオリンを持って楽屋に下がりました。
ソリストは、借り物のヴァイオリンでソロパートを弾き、事なきを得たのです。
一方4番目の彼女は、第2部の始まりでようやく弦を張り終わり、会場入りしました。そしてヴァイオリンは次々と手渡され、元に戻ったのです。
近くで見ると、そんなこともわかるのね。

「炎の弦」でもそうでしたが、佐渡さんはキャンディードとはうって変わって真剣な表情で、顎から大粒の汗があとからあとから滴っていました。それだけエネルギーを消費する曲なのでしょう。
この演奏は、誰がどう言おうと、素直に感激しました。

【コンサートが終わって】
帰りながら、耳に飛び込んできたのは、「最後の曲、良かったねぇぇ〜〜!」でした。
Rockファンでありながら、「炎の弦」よりも「春の祭典」を好きになった人たちが多くいたということです。
私の左となりの人は、その「春の祭典」を見ないで帰ってしまいました。よっぽど急いでいたのか、ヴァイ以外には興味がないのか。
ヴァイだって、「春の祭典」を客席で聴いたんだから、しっかり聴いてほしかったよ〜〜。

そして、あの5つ隣りの外人さん。
私が“誰なんだろう”とじっと見ていたせいか、帰り際、“Thank You!”と言って私を見て去って行きました。
それで決心しました。恥ずかしながら、サインをもらった人に、単刀直入に聞いたんです。すると。。
「スティーヴ・ヴァイのHPの写真家」と教えてくれました。
“ああ、そうだったのかぁ〜。やっぱり芸術家なのねぇ〜。”と、つかえ物が取れて、安心して帰れるようになりました。

今回は、やたらと敷居が低いコンサートだったと思います。
会場の構造のせいなんでしょうか?
ああやって、演奏を身近に感じられたのが、何よりの収穫だったと思います。


【追記】
8/23(金)のズームイン・スーパーに、この佐渡裕(ゆたか)さんが特集されていた。
彼はあの小沢征爾さんの愛弟子だったのである。

彼が24歳の時、小沢氏から直接指導が受けられるというオーディションがあり、それに応募したのがきっかけである。彼はママさんコーラスしか指揮棒を振った経験がなかった。。
しかし、それがなんだと言うのだろう。難関を撥ね退けて、見事オーディションに合格した。
その合格の際の小沢氏のコメントが、「汚い棒を振るんだけど、なぜかオーケストラが鳴るんだよね〜。」だった。理屈ではない、人を振り向かせる感性があったのだろう。
その小沢氏の指導方法というのは、技術もさることながら、人の話をよく聞くこと、同じ目線に立って考えてくれるもので、当時の佐渡さんは最大級に感激した。そのような指揮者を目指そうと言う道標となったそうだ。
その結果、佐度さんが指揮をする時、サッカーの音楽の場合にはユニフォームを着たり、演歌を一部取り上げて盛り上げたり、観客を舞台へ上げていっしょに参加させたりしている。

7/26の演奏会では、まったく知らなかった佐渡さんであるが、その実、ヨーロッパでは小沢氏と人気を二分しているとか、サドラーと呼ばれるおっかけがいたりして、大変な人気があったのだ!
うん、あのような飾らない気さくな人柄と、上背を生かした(187cm)迫力満点のダイナミックな指揮ぶりを見たら、そう思えてくる。
ところで、ノダイラーは存在するのか??



【訂正】
佐渡さんファンのmokkoさんによると、佐渡さんの師匠さんは、小沢氏というよりバーンスタイン氏だそうです。小沢氏は佐渡さんのデビュー当時を引き立ててくれた恩人ですが、ウィーンで直接カバン持ちをして楽屋で教えてもらい、大影響を受けたのは、バーンスタイン氏なのだそうです。
サドラーと自称されるmokkoさんの素晴らしいレヴューは こちら

(ものすごく詳しくて、佐渡さんの魅力を存分に伝えています)